みことネプリ感想

みことネプリの感想をまとめました。
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奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

『みことネプリ』 未言を使った和歌集です。 総勢14名による未言の歌をお楽しみくださいまし。 セブンのプリント番号30430827/カラー・白黒選択可/両面短編とじ/3月13日まで/2つ折りにして冊子にしてください 感想には「#未言屋」をご利用ください。

2016-03-06 11:56:03
笛地静恵 Fueti Sizue @mundburg

#未言屋 待ちきれぬ指に裂かれし黒蝶のストッキングは羽襤褸となりぬ 月丘ナイル 上句のアレグロ。脱ぎ棄てられた傷ついた蝶のような黒のパンティ・ストッキング。下句のアダージョ。白い素脚がゆっくりと動いている。部屋の電気も消されていない。色彩と動きの対比が鮮明。

2016-03-06 22:11:15
笛地静恵 Fueti Sizue @mundburg

#未言屋 〈眞森悠〉2 一説に、「眞」は、逆さづりにされた人の姿をかたどる漢字とある。つまり、人間の生け贄がささげられることで作り上げた森。眞の森とは、自然が作り上げたものではなくて人間の手になる森である。反自然観が、さりげなく盛り込まれている。

2016-03-06 22:22:30
笛地静恵 Fueti Sizue @mundburg

#未言屋 〈眞森悠〉1 いざよひのふかけきやみの眞森へといざやゆかなむいづみもとめて 奈月遥 未言の提唱者である人の短歌。【眞森】は「何かを守るために人の手で形成された森林。」という意味の造語。「真」ではなくて、旧字体の「眞」を採用する。なぜか。

2016-03-06 22:19:27
笛地静恵 Fueti Sizue @mundburg

#未言屋 〈眞森悠〉 「いざよひ」。陰暦十六日の月。暗い。二句目で「深い闇」と念を押す。さあ、行こう。誰を誘うか。兄と弟か。いずれ超常の能力を持つ者たちだろう。泉がわく噂がある。何かの効力がある水か。伝記小説の冒頭のようだ。「いづみ」は「出づ」と「身」。そして「い」の頭韻。周到。

2016-03-06 22:30:31
笛地静恵 Fueti Sizue @mundburg

#未言屋 一杯の色無き酒でふらついて花酔ひさては奴の仕業か 小早川 「花酔い」は【一目惚れや片思いをして、のぼせている様子】。あれ、たったいっぱいの焼酎で酔うのか。俺は。そういえば、昨夜は眠れなかった。気も放った。男はつらいよ。切なさを一首に。未言は、さりげなく使うのが難しい。

2016-03-07 09:56:48
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

『みことネプリ』 雪煤の中を天使が降りてくるように瞬く着信ランプ(月丘ナイル) この次にブレスだろう、という音の調子があるのに、一度のブレスも許されずにまっすぐ降りる音の妙技がなんとも不思議ですばらしい。 天使の梯子のようにまっすぐ電波という光が指す光景が美しい #未言屋

2016-03-07 10:49:54
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

〈初恋の夜〉 花酔いの夜はとことん長いもの桜の花が舞うかのように(知己凛) 『長いもの』の『もの』を詠嘆の語尾として読むのがわたしの好み。ダンスを誘うかのような語りかけになる。 桜のように、長い夜を楽しく踊りましょう。散りゆく桜のように、今この時を存分に謳歌して。 #未言屋

2016-03-07 11:14:24
さとうひ @Z_Bozhi

そのひとの手杯、ふるえる夏の夜、翠月が二匹ぼうとひかりぬ   笹谷香菜「みことネプリ」 (翠月:月のように明るく、翠の光を放つことから、蛍のこと。 #未言屋) 夏の薄闇に光る二匹の蛍の照らす想的な雰囲気の中でそのひとと作中主体の距離が縮まる様子が、蛍に仮託暗示されて…。

2016-03-08 22:38:20
さとうひ @Z_Bozhi

にしのてのやねよりみゆるやまぎはに日がおちゆきて彩めく空よ   奈月遥「みことネプリ」 (彩めく:時間経過と共に連続的に時間の移らう様子。#未言屋) 大きな日暮れの情景を詠ふ。 大胆に仮名に開いた表記による景の大らかさ。

2016-03-08 22:46:02
さとうひ @Z_Bozhi

つらぬいてゆく一途さに雨花もまあるく波紋で頷いている   望月万里葉「みことネプリ」 (雨花:雨が水面に当って開く波紋を、花に例へた呼び方。#未言屋) 空から雨の雫が真っ直ぐに降り落ちるやうな一途に寄せられた恋心に、その恋心を受けて「雨花」で応へる自らの想ひを、雨の景色に重ねる。

2016-03-08 22:56:19
さとうひ @Z_Bozhi

雪煤の中を天使が降りてくるように瞬く着信ランプ   月丘ナイル「みことネプリ」 (雪煤:空を覆ひぼた雪を降らせる雲の灰色。#未言屋) 雪雲の下、閉塞的な気持ちを吹き飛ばす、着信ランプを天使に喩へる。 天使になり得る大切な人からの着信であらう、心情を仮託した天候からの転換が美しい。

2016-03-08 23:08:49
さとうひ @Z_Bozhi

花酔いの夜はとことん長いもの桜の花が舞うかのように   知己凛「みことネプリ」 (花酔い:一目惚れや片想ひをして、のぼせてゐる様子。#未言屋) 桜の花は期間の短さを古来詠まれ続けてきたが、ここで敢へて長いと詠む。 「花酔い」の幸福感の刹那的永続性は、桜花の瞬間的な美の永遠に通じる

2016-03-08 23:21:04
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

『みことネプリ』 星々と一緒に混ぜる月溶湯 溜め息までもぬくもりを持つ(御園) 星の映り込んだ月溶湯には、優しさと甘さと、温かさと酸っぱさとが溶けこんでる。微かに煌めく星は、孤独を見守ってくれる。その温かさを飲み込んで、吐き出した息が癒してくれる。しんみりした世界 #未言屋

2016-03-08 23:25:40
さとうひ @Z_Bozhi

あかつきの世ははかなしと木揺れせば野辺の宝石あわれとも見よ   笛地静恵「みことネプリ」 (木揺れ:雨上がりに吹く風が木を揺らし、葉から落ちる雫のこと。#未言屋) 未言に綴られる和歌的な情緒。 朝の露は古来はかなく美しいものの象徴であったが、草露より木の露での美の広がりが面白い。

2016-03-08 23:37:45
深影コトハ @cotoha_mikage

待ちきれぬ指に裂かれし黒蝶のストッキングは羽襤褸となりぬ(月丘ナイル)「みことネプリ」#未言屋 蝶と未言との相性が抜群。もー、千原こはぎさんのびりびりストッキングの歌(←略すな)といい、この歌といい、最近スト短のドストライク率がやばいです(´Д`*)

2016-03-10 00:24:40
深影コトハ @cotoha_mikage

月の蜜はち腰のひとくちびるを舐めて蜜酒(ミード)をすすりけるかも(笛地静恵)「みことネプリ」#未言屋 男の視線が女性に注がれる瞬間の濃密さを「蜜酒」「蜜はちの腰」「くちびる」という言葉が見事に紡ぎだしていてくらくらします。大人の魅力です。

2016-03-10 00:26:37
深影コトハ @cotoha_mikage

猫夜泣きあるいはおばけ本当にひとりぼっちで温めるラム(ゆら)「みことネプリ」#未言屋 猫の発情期は春。ちょうど今くらい。昼間は妙に浮ついているし、夜の風はまだ痺れるように冷たいし。「本当にひとりぼっち」を感じる気持ちにすごく共感してしまいました。

2016-03-10 00:28:22
深影コトハ @cotoha_mikage

月草の恋ほど燃ゆるものなれば我もモンハニ君もモンハニ(月丘ナイル)「みことネプリ」#未言屋 ナイルさん二度目w。どれを引くかめっちゃ迷った上にやっと2首に絞ったんですよこれでも。 前半の文語調と「モンハニ」とのギャップにやられました。勢いでイイネ連打したくなる系短歌です。

2016-03-10 00:29:13
深影コトハ @cotoha_mikage

以上、みことネプリやっと読めました!すごく面白かったです~(*´ω`*) 番外編ですが、個人的にツボだった未言ランキングは 1「月溶湯(レモネード)」 2「モンスターハニー」 3「綾めく」 カタカナの未言がすごく新鮮でした! #未言屋

2016-03-10 00:34:38
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

「みことネプリ」 氷より眩しきものがあるという岸のふちまで光冷えたり(風橋 平) 氷や雪は、内側に取り込んだ光を乱反射させて眩しく光る。それよりも眩しいものが岸を冷えた光で明らかにする。流氷の迫る岸に光冷ゆる旭が目に浮かぶ凛とした景色がなんとも雄大です。 #未言屋

2016-03-11 13:49:45
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

「みことネプリ」 〈霞ヶ浦は海だった〉 つくばねに雪かもふらる夢波のよせるかすみにきゆるしら帆の(笛地静恵) 縄文のころ、筑波山の麓に海の波が寄せていた。それを彷彿とさせる霞は、雪とも見紛う、眠気を誘う。その夢に垣間見た白い帆。消えてしまったいつかの景色。 #未言屋

2016-03-11 14:16:59
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

「みことネプリ」 水擦らず 絶えなば絶えね 我が涙 主もながると 音には聞こえず(名無し) 水の流れる音もねく静かに流れる涙が、流し尽くされて絶えるようでも、かまわず泣き続ける。大切な人との関係が流れてしまっても、音もなく誰にも知られずに失われる。悲しく辛い別れ歌。 #未言屋

2016-03-11 14:42:35
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

「みことネプリ」 けふ一日(ひとひ)融け残りぬる錆雪の傍へに佇み君待つ夕(佐藤博之) 明日には消えてしまう錆雪、来るかわからない君を待つ自分、そんなみじめな存在ふたつを全く他と区別せずに赤錆色に染め抜く夕焼け。どこか切なく、なんとなく応援したくなる姿。 #未言屋

2016-03-11 14:53:15
奈月遥:未言屋店主 @you_natskey

「みことネプリ」 暮れ炉にて手繋ぎ歩く祖母と児(こ)と 懐かしい香(か)が我に降りおり(衣未) 郷愁を感じる風景とすれ違った詠み手の、思わず目で追ってしまった感動が伝わってくるよう。懐かしい香は、擦れ違った祖母の香りか、思い出が呼び覚ましたデジャブか。梅の香を想った。 #未言屋

2016-03-11 15:48:41