- tasobussharima1
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「無人トラックか……」 『無人』というところに坊さんはやや引っかかりを覚えている様子だ。つい先程、暴走し人に牙を剥く機械の話を聞いたばかりだ。無理もないだろう。 「あとは、軽トラぐれぇか……でも、俺まだ免許持ってねぇんだ」 来年になれば取れる。農機の運転を畑でやってるのは内緒だ。
2016-03-15 21:24:02素直にここが2010年の日本であるとは思えないけど、話を素直に受け取れば免許を交付する何らかの機関・組織があるということになる…… #徳パンク
2016-03-15 21:27:59「……無人運転車輌があるのに、免許を取るのか?」 「都会は技術が進んでんだなぁ」 ……言われてみれば、ちょっと違和感もある気がするが。自動運転車は高いとか、決まったルートしか走れないとかそういう理由があるのだろう。そんな感じのニュースを、新聞やテレビで見たような気もする。
2016-03-15 21:28:01やっぱりなんか怪しげなアトモスフィア……何らかの手段で2010年だという認識に誘導されている? #徳パンク
2016-03-15 21:30:34「……まずは、トラックを見せて貰おう」 「今からか!?ってか坊さん免許持ってんのか?」 「運転経験ならばある」 言われるまま、ガレージへ向かう。そろそろ、爺さん婆さんが起き出す時刻の筈だが。 「……見っだけだぞ」 見るだけなら構うまい。鍵は手許にないから、動かせはしないだろう。
2016-03-15 21:32:08運転経験ならばある(ただし300年くらい後の車) ここが作られた環境だとして、どこまで数百年前のテックを再現してるんだろうか #徳パンク
2016-03-15 21:34:27「……随分と古い型だ」 「そりゃ当たり前だ」 数百年先の未来から見れば、一昨年買い換えたトラックなんて人力車同然だろう。 坊さんは軽トラのフロントに手を当てて、目を瞑る。 「この車を修理をしたことは?」 「少し前に、爺さんが畦道から踏み外してぶっ壊れた。メーカーに送り返したとか」
2016-03-15 21:36:02というか軽トラの動力は何だろう。ガンジーたちが乗っていたように水素なのか、それともディーゼルとかなのか #徳パンク
2016-03-15 21:36:05だが、坊さんは俺の返答をよそに何か考え込み始めていた。 「……最後に、聞きたいことがある」 「なんだ?」 「この街の電気は、何処で作られている?」 「山の発電所だ。こっからだと結構歩くなぁ……」 山の水力発電所。確か、昔遠足だか林間学校だかで近くまで行ったような記憶がある。
2016-03-15 21:40:08水力発電自体は別に珍しくはないか。電気自動車なら燃料の確保に困ることはないけどこの環境でメンテナンスできるとは思えないぞ #徳パンク
2016-03-15 21:42:53「そこへ向かって欲しい。恐らく、全ての答えはそこにある」 「答えって何だ」 だが、坊さんは答えない。 「着いてから説明する。ここからは、私の手番だ」 ここからも何も、俺はずっとこの坊さんに翻弄されっぱなしな気もするのだが。同時に、俺の中でも何か小さな違和感が膨れ上がっていた。
2016-03-15 21:44:02