2015年ノーベル平和賞受賞団体「チュニジア人権擁護者連盟」副代表アリー・ゼディニ氏が語る「対話」のプロセス

内戦の予防と平和の構築に「対話」が重要なのはなぜか。昨年のノーベル平和賞受賞団体「チュニジア国民対話カルテット」構成団体の一つ「チュニジア人権擁護者連盟」の副代表アリー・ゼディニ氏が来日、19日に東京で開催のシンポジウムで語った内容とは?
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浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

「みんなのTICADフォーラム」の開会式、ノーベル平和賞を受賞した「チュニジア国民対話カルテット」の一団体「人権擁護者同盟」のアリー・ゼディニ副代表、チュニジア現代史を語る。「中絶の権利」まで認めた民族主義のブルギバ政権は後継者をめぐって揺れ、ベン・アリー権威主義政権に席を譲る。

2016-03-19 11:19:56
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

23年間続いたベン・アリー政権は露天商モハメド・ブアジジの焼身自殺を皮切りに起こった人民蜂起で打倒され、チュニジア初めての民主的選挙が行われる。その選挙は、組織力のあるイスラーム勢力と、各分派に分かれた民主派・世俗派の二項対立。勝ったのはイスラーム勢力、アンナハダであった。

2016-03-19 11:23:19
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

しかし、アンナハダは絶対多数を取れず、連立政権となる。制憲作業の中で世俗派はイスラーム法に基づく統治を目指す宗教的保守派、サラフィストたちの影響拡大を恐れた。ベン・アリーの下で徹底的に抑圧されてきた宗教的保守派が、自由に動けるようになるからである。

2016-03-19 11:25:20
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

内戦の瀬戸際となったチュニジアで、労働総同盟、人権擁護者連盟、弁護士協会の3団体が、「救国」を旗印に「国民的対話」を開始し、そこに「産業連合会」を組み入れ、「カルテット」を結成する。「産業連合会」はこれまで権力側についていた団体。これを組み入れたことで「全国民」の枠組みができた。

2016-03-19 11:34:23
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

ここでなされた「対話」は、選挙の結果も踏まえ、全社会勢力が協力する、というものであった。そこでカルテットは「ロードマップ」を形成し、3つの柱を提示。元々政権についていた者は立候補できないようにする、合意に基づいて憲法を作る、選挙法を制定し、独立した選挙管理委員会の下で選挙を行う。

2016-03-19 11:40:09
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

結果、23の政党が参加して国民的対話が進んだ。テクノクラート主導の政府を作り、選挙を行うというプロセスが進められた。その結果出来上がった憲法は、世界でも最も民主的なもの、と認識される中身となった。人権擁護者連盟の立場から言えば、死刑を廃止していないなど問題も残っているが。

2016-03-19 11:42:55
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

しかし、チュニジア憲法は、男女平等、国際的な人権規範を守る、市民的自由のために国家の権力を制約するという立憲主義を確保するものとなった。そのもとで選挙が行われ、2015年のノーベル平和賞にたどり着くこととなった。しかし、課題はある。一つは経済社会の状況、二つ目はテロリズムである。

2016-03-19 11:44:53
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

テロリズムを、民族自決や民主主義を求める闘いと混同してはならない。テロを考えるときに重要なのは社会、教育、そして開発である。教育は批判精神を養うものでなければならない。もう一つの課題は、リビアから大量の武器が密輸入され、これがテロリズムに結びついているということ。

2016-03-19 11:47:06
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

我々は未来に対して楽観的である。日本も含め、世界が我々を支援している。皆さん、ぜひとも、チュニジアに、そしてアフリカに来てほしい。自然、歴史、人々があなた方を待っている。市民の間での友情、協力を広げていこうではないか。(以上)

2016-03-19 11:48:57
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

(質問)チュニジアでは社会運動が活発で、これが社会の安定化につながっている。カルテットの中で市民社会運動はどう位置付けられているか。(答え)チュニジアの民主主義確立はカルテットのみならず、チュニジア市民全体の功績である。これはチュニジア市民の力。外国の支援は一切受けていない。

2016-03-19 11:52:25
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

カルテットの第1番目の団体、「チュニジア労働総同盟」は1945年にできた伝統ある団体。私(アリー・ゼディニ)の所属する「人権擁護者連盟」は1970年にでき、ブルギバ、ベン・アリーの政権下で民主化を求める活動をやってきたほぼ唯一の団体で、国民への正統性も確立していた。

2016-03-19 11:55:16
浜崎 伊南 HAMASAKI Ina @HAMASAKI_Ina

弁護士協会も歴史的な正統性あり。チュニジア革命のプロセスの中で、実際にデモを組織し、革命を推進した。この3つの団体のリーダーはいずれも女性である。革命と対話の中で女性は大きな役割を果たした。チュニジア社会で女性は、遺産相続を認められないなど問題多い。若者の組織も役割を果たした。

2016-03-19 11:58:31