舞踊家・俳優 金野泰史の『5years』

舞踊家・俳優 金野泰史の『5years』舞台資料+メモ+思考、志向…。event詳細http://newskonno.blog83.fc2.com/blog-entry-471.html … text:辺見庸著「瓦礫の中から言葉を」ーわたしの死者へー
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『5years』konno @5years_k

それらを考える手がかりを、風景を正視してわれわれがつかむことではないのでしょうか。そしてそれを言葉で表現すること、これが死者への敬意と悼みにつながるのではないか。言葉は人のモノ化への抵抗でもあります。・・・ 59頁「瓦礫の・・・」

2016-02-25 19:57:06
『5years』konno @5years_k

「言葉は人のモノ化への抵抗」 身体のモノ化は著しい それに伴い、言葉もモノ化していく 私の身体のモノ化への抵抗は俳優修行を始めた頃より続けて来たんだと思うし、舞踊を始めた頃からは、意識的に抵抗してきた。 しかし、言葉のモノ化への抵抗力は衰弱していたんだと思う。

2016-02-25 20:11:43
『5years』konno @5years_k

いや、私の身体もモノ化が進んでいたのだろう。 それを認めたくない私がいる。 あれだけ声高に叫んでいたにもかかわらず、私の身体はモノ化していたんだと。 あの叫びは、ただ単に身体がモノ化していく叫びだったのかもしれない…

2016-02-25 20:15:59
『5years』konno @5years_k

モノ化への抵抗という私のシミュラークルは、3・11によってボロボロと崩れ落ちた… 痛みを伴って 新皮はあったのだと思う だが、瓦礫として崩れゆく皮に新皮は張り付いたまま共に崩れていった…

2016-02-25 21:40:03
『5years』konno @5years_k

血は出たか? 血は流れたか? その感覚ないままに 瓦礫と化した身体の残骸の上に がらんどうの身体が茫然と立ち尽くしていた 残骸の身体を手に取れば 砂と化し 灰と化し 風に吹かれ消えていく まだ残骸は残っているか? まだ固く手に取れる残骸は…

2016-02-25 21:53:49
『5years』konno @5years_k

5年前に残したまま まだ風化してない残骸 の身体 それがあると思う。 私にとって、その身体を見つけ、その身体が何なのかを探ることが、3・11と向き合う作業だと思う。 もしかすると、その身体を私は抱え込んでいるのかもしれない…

2016-02-25 22:12:55
『5years』konno @5years_k

崩壊し、機能しない死に絶えた身体を、今生きている身体の一部であるかのように取り扱っているのかもしれない… だから、私は注意深く丁寧に自身の身体に深く潜り込んでいく必要があると思っている。 その際、生き芯に迫る言葉は行先を照らす灯となる。

2016-02-25 23:49:30
『5years』konno @5years_k

…三陸の浜辺に夜半、打ち上げられた屍体があった。それは首のない屍体であったり、手足や眼球をなくした屍体であったり、逆に首だけの、胴だけの、片眼だけの部位だったりする。それが真っ暗闇の浜辺に何体も何体も打ち上げられている。… 59頁「瓦礫の…」

2016-02-25 23:55:09
『5years』konno @5years_k

…理不尽なのは大震災、大津波、原発メルトダウン、放射能汚染そのものだけではない。それらの意味と歴史的位置、悲劇の深度を表すべき言葉がテクノロジーの進化に反比例して退化し貧弱化していることも現代の大いなる逆説であり、(続く)

2016-02-26 15:21:19
『5years』konno @5years_k

それが言葉をもちいる生き物であるわれわれ人間の心をますます疎外しています。… 60頁「瓦礫の…」

2016-02-26 15:22:22
『5years』konno @5years_k

…マスメディアは、人間の言葉ではなくコンピューター入力は可能だけれど死の深みなどとても表現できない、無機質な符牒のようなものをもちいるだけの、言葉なきシステムに化しつつあります。(続く)

2016-02-26 15:29:19
『5years』konno @5years_k

そこからは予感はたちあがってきません。死と屍体は、しかし、わたしたちに過去よりも未来を予感するよう誘っているようです。… 61頁「瓦礫の…」

2016-02-26 15:30:43
『5years』konno @5years_k

…「知らず、生まれ死ぬる人、何方より来りて、何方へか去る」(『方丈記』)の心象は、現代にもつうじるものではないでしょうか。… 61頁「瓦礫の…」

2016-02-26 15:34:05
『5years』konno @5years_k

…ものごと、あるいは世界の事象は、次の三つに大別できるのではないかと。 ひとつは、ありえないこと=the impossibleなこと。二番目は、あるかも知れないこと=the probableなこと。それから三番目、避けられないこと=the inevitableなこと。(続く)

2016-02-27 06:42:24
『5years』konno @5years_k

けれどもいま、3・11は、われわれに根源的な認識上の修正を迫っているとわたしは感じています。わたしたちは、かつての世界認識、宇宙認識を、修正する作業にかからなければならない。(続く)

2016-02-27 06:45:41
『5years』konno @5years_k

…中略…一番目のthe impossible、ありえないこと、はこう修正されなければならない。…中略…これからはすべてありうる、と。… 62頁「瓦礫の…」

2016-02-27 06:48:50
『5years』konno @5years_k

「予覚」という項にて、辺見氏が2010年の夏に書いた「標なき終わりへの未来論」を抜粋しているのだが、その中で、大地震、言語と思想の幼稚化、原発事故を予見している。 それは、時代の流れ、襞を注意深く見つめ、感じていれば、立ちのぼって来る予見なのかも知れないと今は思う。

2016-02-27 06:59:53
『5years』konno @5years_k

その「予覚」は、「ある老人が二〇一〇年の夏に熱中症でひっそりと亡くなったことがきっかけでした。…」と書いている。 「魂は細部に宿る」ではないが、身近にある事件の中にも、世界の流れは反映している。 それを掴むには、様々な経験も知識も必要だが、何より身体の内観的感覚が必要だ。

2016-02-27 07:12:59
『5years』konno @5years_k

世界と呼応する身体。 世界と連続している身体。 この様な身体観がこれからの時代をsurviveする為には重要だと私は強く思っている。 外在は内在し 内在は外在する 内も外もない… だが、この感覚を得るには、「個」に深く立脚することが重要なのだ。

2016-02-27 07:18:43
『5years』konno @5years_k

…なにが壊されたのか。そしてなにがまだ壊れていないのか。わたしはこの問いをいまも自分にむけて発しています。… 67頁「瓦礫の…」

2016-02-27 07:22:57
『5years』konno @5years_k

…9・11に、わたしたちは、度肝を抜かれた。目を疑った。これ以上の光景、スペクタクル、悪夢をわれわれは今後生きている間に見ることはあるまいと感じもした。ボードリヤールは、それを端的に「9・11の後では、すべての出来事は退屈に見えるだろう」と、… 69頁「瓦礫の…」

2016-02-27 07:28:10
『5years』konno @5years_k

…あらゆる出来事は、あるいは、あらゆるスペクタクルは、必ず後のものに凌駕されていくのではないか。乗り越えられていくのではないか。だから、スペクタクルはスペクタクルなのではないか。それが、出来事というものの宿命ではないかと、心のどこかで感じたのです。 69頁「瓦礫の…」

2016-02-27 11:12:49
『5years』konno @5years_k

…旧約聖書の「コヘレトの言葉」は示唆的です。 かつてあったことは、これからもあり かつて起こったことは、これからも起こる。 太陽の下、新しいものは何ひとつない。 見よ、これこそ新しい、と言ってみても それもまた、永遠の昔からあり この時代の前にもあった。 (続く)

2016-02-27 11:17:09
『5years』konno @5years_k

昔のことに心を留めるものはない。 これから先にあることも その後の世にはだれも心に留めはしまい。 (新共同訳)… 71頁「瓦礫の…」

2016-02-27 11:19:00
『5years』konno @5years_k

…「コヘレトの言葉」はだから言うのです。「なんという空しさ、すべては空しい」と。そして、その空しさのわけについて、こう告げるのです。 何もかも、もの憂い。 語り尽くすこともできず 目は見飽きることなく 耳は聞いても満たされない。 … 72頁「瓦礫の…」

2016-02-27 11:23:09
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