ハウ・アイ・ラーンド・トゥ・ストップ・ウォーリーング・アンド・ラヴ・ザ・デーモン#1
- mpb_karate
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娘ほどの――そんなものいるわけがないが――年齢のミグミに毎日会い、仕事を教えてもらう。そのためならば、サダマツは嫌な仕事にも行けた。彼女と共にフートンを片付け、部屋の掃除をするこの瞬間、サダマツはこれまでの人生にないほど胸が高鳴っているのを感じていた。 51
2016-03-27 23:00:42「アリガトゴザイマス」ミグミはサダマツの三倍はあろうかという速度で、片付けをテキパキとこなした。「アノ、お礼というか…」サダマツはそこで一瞬まごついた。「どうしたの?」しかし彼は勇気を振り絞った。いつも言おうと思っていた言葉を、今。「ア…その、休憩時間に、少しオチャでも」 52
2016-03-27 23:04:02「アー、ごめんね。私別の用事があって。またいつか誘ってね」サダマツの人生で初となる女性に対するオチャの誘いは、軽く流されてしまった。「アッ…ハイ」小走りでその場を後にするミグミの背中を、サダマツはただ視線で追うことしかできなかった。 53
2016-03-27 23:07:18(またいつかということは、別の日なら良いということだろうか)モミジ。湖。岩。日本的な奥ゆかしい風景を眺めながら、サダマツはひとり考え込んでいた。『ミンシュク』は実際観光地にあるため、休憩時間にはオンセン・コテージを抜け出し、このように街並みや風景を楽しむこともできる。 55
2016-03-27 23:10:59サダマツ自身、あまり観光に興味もなかったし、また縁もありはしなかった。とはいえ、『ミンシュク』の中にいれば常にオカミサンの小言に晒され、心が休まらぬ。サダマツは人の寄り付かぬアナバ・スポットを見つけ、このように真の意味での休憩を取ることにしていた。 56
2016-03-27 23:14:12(まずはミグミ=サンの時間がある日を探らねばならなかったのか。急ぎ過ぎたな。慣れないから勝手が分からん)湖のほとりにあるベンチに腰掛け、水に落ちるモミジを眺めながら、サダマツは沈思黙考した。(いつなら暇なのか訊かねばならなかった。次ふたりになれるタイミングで…) 57
2016-03-27 23:17:41「…おや、先客があったか」サダマツの思考を遮るように、男の声。サダマツはびくりと反応し、咄嗟に振り向いた。「ああ、気にしなくていい。驚いただけだ、誰もいないと思っていたものでな」 58
2016-03-27 23:21:16熟成されたワインめいた声でそう言ったのは、年老いた男。だがそのアトモスフィアにはただならぬ威厳があった。ベルベットのスーツがよく映える、しゃんと伸びた背筋。気品を感じさせる顎鬚。燃えるような瞳。 59
2016-03-27 23:25:14「イチゴイチエの教えだ、隣に座ってもいいかね」「アッハイ」サダマツの返事を聞いた老人は、彼の隣へ静かに腰掛けた。この光景を見ている者があれば、隣り合う男同士、どちらが老人か分からず困惑しただろう。その男は、燃えるような生命力を、全身から泉めいて溢れさせていたのだ。 60
2016-03-27 23:28:44続きはこちら
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