ドボク鎮守府 起重機船と駆逐艦のこどもチャレンジ事業 其の六 甦える大地
ドボク鎮守府でこれから鹿島を主題に書きますが… ド ボ ク になります。 鹿島秘書艦の提督の皆様お許しくださいっ!(ボルガ式 pic.twitter.com/nKXWbBRGAi
2016-03-27 23:47:52前回のまとめ
あらすじ
2016年4月 大潮の第二次改装計画が来るとの情報に提督の股間が対馬オメガ塔に。
更なる国土強靭化と国生み神話の教えによりて造艦工事を行った。
無事に相互直通運転が成功。
その造艦工事を見学していた鹿島と新時代鎮守府の「ゆら」に思わず提督が逆上するも、それは提督の不安全行動が原因だった。
「ゆら」をICBMで帰したのち、鹿島との70年前の約束を果たす事になる。
川蒸気 鹿島丸
ドルンドルンドルン ガァァアア ダッタン ダッタン タッタン タッタン 小気味よいディーゼルエンジンらしき響きと ゆらり ゆらり 左右にゆっくり揺れる感覚… #ドボク鎮守府
2016-03-29 01:19:26ダッタン タッタン タッタン 列車に揺られている感覚のもと目を開く。 目の前には車窓に薄茶色の景色。雑木林と田園や畠。丘陵地帯を抜けて たった一両のディーゼルカーが歩みをゆっくりと進めて行く…。 #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/4PN7pRWjut
2016-03-29 01:24:17隣の席には艦娘がいた。 彼女は練習巡洋艦鹿島。 私は起重機船三光。 「起きられましたか?」 ゆるくウェーブのかかった銀髪の艦娘が、珍しく白い海軍二種軍服を来た作業船娘へ声を掛ける。 #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/LTr7hmtB4K
2016-03-29 01:30:53私は彼女を見つめる。 「ここは…」 「鹿島参宮鉄道線の車内ですよ。3324号さん」 車窓には薄野の向こうに大きな水面が見えてきた。 「どこへ往こうというのかね?」 「約束の地へ、ですよ」 #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/EB4TEonhxe
2016-03-29 01:35:09タッタン ダッタン タッタン 車窓の外は冬らしく荒涼としている。 やがて水面が近づくと放送が流れた。 「まもなくぅ浜、浜です。 潮来浜町・鹿島大社への汽船はお乗り換え…」 汽船…。鹿島大社…。 #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/zIZd4iIvGZ
2016-03-29 01:41:58キキキ-ン プシュ- <<ご乗車お疲れ様でした。浜ぁ~浜です。汽船お乗り換え~>> 「さぁ、お乗り換えです。一緒に行きましょう」 鹿島に手を曳かれて私も釣られてプラットホームへ降りる。 #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/U0m71cMyIm
2016-03-29 01:48:11一緒に降りた数人ばかりの乗客たちと共に構内踏切を渡り、駅の外へ出る。 先ほど見えた水面…湖へ行くようだ。 「この先で、私の祖母が貴方をお待ちしております」 鹿島に祖母が…? そして此処は…? #ドボク鎮守府
2016-03-29 01:50:47「提督は、鹿島参宮鉄道をご存知ですか?鉄道マニアの方とお聞きしましたので…」 鹿島が私を『曳航』、手を引きながら質問する。 「鹿島神宮への参拝客を運ぶ為に引かれた地方私鉄だったな。結局その夢は数年で終わったと聞くが?」 「ご名答。でもこの世界では少し違うのです」 #ドボク鎮守府
2016-03-29 01:55:47鹿島参宮鉄道。 大正時代に茨城県石岡~鉾田を結ぶ鉄道として開通。名前の通り鹿島神宮への参拝客を運ぶべく、鉄道延伸計画と共に霞ヶ浦において鉄道と汽船で鹿島神宮を結ぶルートを運航するも、鉄道経営も厳しく撤退したのだ。 #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/ztyv73FpVE
2016-03-29 02:07:54「3324号さん、このウォー・ゲームの目的は何でしょう?」 鹿島が悪戯ぽっく微笑んで尋ねる。 「海軍艦艇の船魂とそれを纏いし少女らの蒐集だ…」 「ええそれが主題、副題もありますよ」 そして湖の岸壁に辿り着いた。木製の桟橋があり、一隻の船が停泊している。 #ドボク鎮守府
2016-03-29 02:30:08「前世で成し得なかった事のリベンジ、それがこの戦場世界の副題です」 気動車から降りた人達が桟橋を渡り、船へと吸い込まれてゆく。 「せっかくのウォー・ゲームですもの。3324号さんもこの世界を選んだのですから 愉しみましょう」 トコントコン 桟橋の木の板を踏む音。 #ドボク鎮守府
2016-03-29 02:35:29桟橋に泊まっていたのは外輪式蒸気船だった。 シュッシュッと煙突から白い煙をあげている。 白と黒色のツートンカラー、船体の脇の真ん中に大きな円い水車が着いている。 その水車を覆うカバーには旧い書体で「鹿島丸」と書かれていた。 客室の形は鯰の様に平べったい。 #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:10:00「ようごそおいでくだせえました。おら、蒸気船鹿島丸という者です。 娘の鹿島がいづもお世話になっております…」 蒸気船の甲板入口前に立っていた和装の老女が恭しく挨拶。 頭には手拭でほっかむりをしている。 背部には二本の黒い煙突艤装を背負っていた。 #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:15:18>1927年(昭和2年)5月17日 - 汽船参宮丸、霞丸、
鹿島丸により浜 - 麻生 - 牛堀 - 潮来浜町 - 鹿島大社間の営業開始。
「ああ、どうも海軍設営隊の提督をしとる三光というモンです。こちらこそ色々と…」 「まぁ、ごごで立ち話もなんですがら客室さ、お入りぐだせえ~」 挨拶もそこそこに桟橋から揺れる船体へそろりと足を掛け乗船。 老女の後をついて船内へ。 #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:18:24「おまえ…、バァちゃん居たんか…」 「ええ、鹿島丸一族の大祖母です。他にも鹿島丸を名乗る姉妹は何隻か居ますが お婆ちゃんは海へ出た事のない船娘です。ずぅっと湖と川で生きてきたんですよ」 #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:23:49関東の内陸部、特に利根川と霞ヶ浦では明治から大正に掛けて蒸気船が地域の交通機関として活躍した時代があった。鉄道の延伸とともに廃れていったはずだが…。 「3324号さん、先程も申し上げた通り、この世界は船魂の復興という使命もあると貴方が着任当初に仰られてましたね?」 #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:28:50「ああ」短く答える。 「統合海軍設営隊の目標は艦隊のみならず全ての海洋コレクションですわ」 船内へ入ると板の間にゴザが敷いてある。靴を脱いで上がる。 #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:34:08鹿島が続けて話す。 「3324号さんの『おくりぶね』は海のみならず、全ての河や湖沼の水運に生きるモノ達を復興させることではなくて?」 ゴザの上に胡座をかいて座る。鹿島は正座だ。痛くないのだろうか #ドボク鎮守府
2016-03-29 03:35:34