「キモノがきれい」と「キモノはきれい」の違い

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くみかおるの冒険 @ElementaryGard

1)あるアメリカ人のコミックエッセイを読んでいたら、元旦に自分の教え子の振り袖姿を「キモノはきれいですね」と褒めたら機嫌を悪くしてしまったという話がでてきた。「キモノがきれいですね」というべきだった、というオチ。

2016-03-30 22:35:37
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

2)この「は」と「が」の使い分け理解は正しくない。まずこのシチュエーションでは「きれいなキモノですね」と褒めるのが正解なのです。「が」でも「は」でも相手はへそを曲げる。

2016-03-30 22:37:46
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

3)「きれいなキモノ」と「キモノは(が)きれい」の対比で理解すべきです。

2016-03-30 22:39:08
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

4)「強い男」と「男は強い」は全然ニュアンスが違うけれど、とにかくどちらも成り立つ。

2016-03-30 22:40:33
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

5)Life is beautiful. はありえても Beautiful life はありえない。なぜかわかりますか。日本語で「きれいなキモノ」という場合「ということは醜いキモノもこの世にはあるわけね」と裏読みを誘う機能はないのに対し、

2016-03-30 22:42:28
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

6)Beautiful life だと「じゃあ ugly life もこの世にはあるわけですか」と裏読みを誘うニュアンスが生まれてしまうのです。

2016-03-30 22:43:29
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

7)文法用語で叙述用法と限定用法の違いといいます。今の例は後者で、前者は Life is beautiful.

2016-03-30 22:44:36
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

8)形容詞の限定用法にはこのように裏読みを誘う機能があるわけです。

2016-03-30 22:46:45
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

9)そういうわけで beautiful life では裏読みを誘ってしまい、そして裏読みによって生まれてしまう ugly life なるものが現実にはイメージしがたいことから、beautiful life も不自然な言い回しということになります。

2016-03-30 22:48:49
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

10)日本語では形容詞にこういう裏読み機能は薄いけれど、その代わりといいますか、助詞の「は」と「が」で同種の裏読み機能の違いが生まれるのが面白い。

2016-03-30 22:50:22
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

11)「私は行きます」だと「ほかのひとたちはどうかわかりませんが」と裏読みを発生させる。ね、英語の形容詞における限定用法と似てませんか機能が。

2016-03-30 22:51:36
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

12)「私がいきます」にも裏読みが発生しますがこの場合は「ほかのひとたちではなく」のニュアンス。つまり違う裏読みが生まれるわけです。

2016-03-30 22:52:52
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

13)ここで「キモノはきれいですね」と「キモノがきれいですね」の違いについて考えてみましょう。前者は「あなたが今着ているそのキモノはきれいだけど着ているあなたはきれいといえるかどうかよくわかんないですね」の裏読みを誘発するし、

2016-03-30 22:54:43
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

14)後者は「あなたのキモノがきれいなのであって実際に着ているあなたはきれいではないね」な裏読みを誘発します。つまり「は」でも「が」でもこのアメリカ人は相手の女性を怒らせてしまう運命だったのです。

2016-03-30 22:56:26
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

15)どっちを選んでもだめなら、どっちも使わなければいい。「きれいなキモノですね」にすれば「は」も「が」も使わずに済むから、相手に裏読みを誘うまねをしなくて済む。

2016-03-30 22:57:28
くみかおるの冒険 @ElementaryGard

16)こんな複雑な計算を、日本語ネイティヴである私たちは一瞬で行っているのです。すごいですねすごいですね。

2016-03-30 22:58:11