- tasobussharima1
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徳を積むことは基本的に良いことだったが、徳エネルギーとして使用することが良いことであったのかは誰にも判断できない #徳パンク
2016-03-30 21:27:06その骸の傍らに光る小さな蓮が弱々しい華を咲かせたが、間もなく空気に溶けて消えた。 蛍めいた徳の光は、村中に空から降り続ける。異変を感じ、起きだした老婆に。眠り続ける赤ん坊に。停電に戸惑いながら、同級生のことを思い悩む少女に。 起きている村の誰もが、空を見上げた。
2016-03-30 21:28:00最終的には解脱を目指す仏教ベース、しかも在家でも目指せるという大乗系の技術の果てだからなぁ… 滅びなんだか、如来の到来なんだか #徳パンク
2016-03-30 21:29:52いつもなら、満天の星が輝く空。そこには、何もなかった。ただ、暗い人工の天蓋だけが広がっていた。 その日、『揺り篭(クレイドル)』は役目を終えた。その内に居た誰もが知った。今までの安寧が偽りのものであったことを。
2016-03-30 21:32:08これ、怖いなあ。いつも見ていて、そこに当たり前の物としてあるはずの空がただのドームでしかなかったって #徳パンク
2016-03-30 21:33:49少年は、徳の蛍が地面に吸い込まれ消えて無くなるまでずっと見つめていた。老人と空海の二人もまた、黙したままその光景を見続けていた。 空海は、疲弊した身体に力が戻るのを感じた。降り注いだ徳エネルギーの一部が肉体に吸収されたのだろう。恐らくは……他の村人にも、同じことが起こっている。
2016-03-30 21:36:02そう言えば覚醒者って天然タイプでも徳不足による枯渇死があるのだろうか。奇跡を行使したり、よほど徳が下がるようなことをしない限りは問題ないんだろうけど #徳パンク
2016-03-30 21:38:44「……これからだ。得度兵器が再び訪れる前に、防備を整えなければ」 空海は呟く。大徳ジェネレータを起動し続ければ、得度兵器の侵入を阻むことはできるやもしれない。地下施設に立て篭もれば持ち堪えられることも出来るやもしれない。だが、それ以上は無理だ。得度兵器は知性を持っている。
2016-03-30 21:40:08どれ程硬い守りであろうと、いつかは破られる。それまでにドームの中に居るであろう覚醒者を探し、纏め。戦うための備えをしなければならない。 「……戦い続けっ他、無ぇのか」 少年は呟く。 「そうでなければ、死ぬことになる」 空海は答える。僧兵として戦い続ける彼の知る世界は、それだけだ。
2016-03-30 21:44:02奥羽岩窟寺院都市ですら位置を捕まれていないから持ちこたえているような有様なのに、完全に相手の勢力圏にあるこの揺り篭で対抗できるのか…… #徳パンク
2016-03-30 21:46:10生きる限り、抗い続ける限り戦いの続く煉獄。そして、仮初の平穏。それは、確かな違いだった。 「答えが無ければ、探してこい」 老人が口を開いた。 「滅びは、その内に居る人間にとっては心地よいものだ。だが……外に出んとする者には、地獄だ」 或いは。
2016-03-30 21:48:04