オッサンによる化学と科学のおはなし

2016年のエイプリルフール企画です。元素学たんの研究室のボスがいらっしゃいました。化学と科学のお話をしてくれたのでまとめました。
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元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

化学はまだ発展途上の学問だ。数学や物理、生物、地学と比べてもその歴史は浅い。そしてさらに、化学はほかのどの自然科学分野よりも広大だ。ゆえに、未だに学問としてのまとまりは弱い。

2016-04-01 22:52:37
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博物学的にまとめられた様々な物質が、実はある共通の成分から成り立っているのではないか。その予想は古代ギリシャで始まった。アリストテレスが練り上げた四元素説はあくまで物質ではなく概念であるが、自然界のいくつかのルールを上手く説明していた。

2016-04-01 23:00:42
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西洋の科学の発展はアリストテレスによって遅らされたと言ってもいい。中世まで、アリストテレスの自然論はキリスト教と双璧を成す「絶対の理論」だった。みんなアリストテレスを信じていた。だから古代ギリシャから数えて1000年以上もの間、科学史には停滞期、空白がある。

2016-04-01 23:04:34
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アリストテレスの自然論を打破し、アリストテレス絶対の風潮をじわじわと覆した第一人者は、かの有名なガリレオ・ガリレイだ。彼はアリストテレスの「重いものほど速く落ちる」という言説に立ち向かった。そして実験を通じて論じ勝ったわけだ。

2016-04-01 23:14:09
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アリストテレスは広い範囲を一般に論じたがった。彼は自身の自然学で、物質の運動の全てに言及している。 ガリレオは違う。彼は物質の運動のうち、「落下運動」のみを扱った。一点集中型の反論だ。私は落下運動については確かなことを言える。それがガリレオの強みであり、勝因だった。

2016-04-01 23:18:24
元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

いいかい。これが「科学」だ。科学とは「一科の学」だ。狭い範囲でいいから、確かなことを言う。それを大勢でやって、分かっていることをじわじわと広げていく。そうやって今日の科学は成り立っている。その先陣を切ったのがガリレオだったのだ。

2016-04-01 23:24:22
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狭い範囲での確実性。操作上、これは条件を明確にして実験することに相当する。圧力、質量、温度などの様々な「数字」を重視しながら身近な現象が記述され始めた。錬金術ブームがこれに拍車をかけた。化学の発生までもう少しだ。

2016-04-01 23:35:05
元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

化学を錬金術から一歩進めた人物と言えば、ロバート・ボイルだ。彼は空気の実験を通してボイルの法則を提唱した。特に著書『懐疑的化学者』は有名だ。 面白いのは、『懐疑的化学者』が英語で書かれている点だ。学術文章なら、普通はラテン語で書く。

2016-04-01 23:46:59
元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

ボイルの化学もまた、新しい試みだった。当時の学界というのは前時代的な学派の人間が多かったから、ラテン語で書いて彼らに勝負を挑むよりも同郷の「学者でない人たち」を味方につけたほうが早いと考えた結果、彼は英語で書いたのだと言われている。科学のあり方がどんどん変わっていく。

2016-04-01 23:51:00
元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

ここから先が化学の歴史になる。ボイルは気体の研究から原子論の考えを強めていった。ボイルの潮流を汲んで気体の研究が進んだ。さらに、以前から知られていた鉱物が再度化学の手法で検証された。原子論は元素の発見を促し、それをメンデレーエフが表にまとめた。

2016-04-01 23:56:07
元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

ふむ。科学の歴史はこんな具合だ。御清聴、どうもありがとう。

2016-04-01 23:58:12

元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

さて、4/1日ももう終わる。私は寝ることにするよ。好奇心旺盛な諸君への講義なら、そう悪いものでもなかったよ。

2016-04-01 23:59:20
元素学たん@イヤリング販売中 @gensogaku

それではね。いつの日かまた会おう。

2016-04-01 23:59:53