#もだもだ文学散歩

文学作品をジタジタもだもだしながら読んでゆるーい感想をタレ流すタグの、主に自分用忘備録的まとめ。
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根守兎 @Lino_nest

泉鏡花「婦系図」。 まずはねぇ、女性陣の綺麗さですよ。コレは外見が美人ぞろいとかそういうことじゃなくて、心根が綺麗!まあ、必然的に物語上果たす役割が「作り物」「できすぎてる」感にはなるんだけど、それが不快じゃないの。 #もだもだ文学散歩

2015-01-17 15:28:49
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 例えば、先生の娘・妙ちゃんがイヤミの一片も無いのが奇跡。ちょっとぐらいドロドロしてもいいのよ、と不安になるぐらい。同じ男を軸に、このいいトコのお嬢さんと元芸妓という身分違いの女二人が出会うシーンが、鏡花にかかればコレよ。胸が痛むほど美しいね。(次へ)

2015-01-17 15:31:30
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest …頬を薄蒼う染るまでその半襟を咽喉に当てて、頤深く熟と圧えた、浴衣に映る紫栄えて、血を吐く胸の美しさよ。 「私が死んだら、姉さん、経帷子も何にも要らない、お嬢さんに頂いた、この半襟を掛けさしておくれよ、頼んだよ。」 【泉鏡花「婦系図」】

2015-01-17 15:33:00
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest その心底からの好意をキチッと受けた上で、恋人である主税の、先生に対する義理を立て、自分の想いを殺すお蔦さん。先生に「別れろ」って言われたからって、互いに互いを想ったままホントに物理的に別れる(主税は単身静岡へ行った)んだよこの二人!

2015-01-17 15:37:02
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 「姉さん、私は浮世に未練が出た。また生命が惜くなったよ。…(略)…  お嬢さん、もう早瀬さんには逢えなくっても、貴女がお達者でいらっしゃいます内は、死にたくはなくなりました。」 【泉鏡花「婦系図」】 そして、お蔦さんは病に…(中盤のねすと号泣シーン)

2015-01-17 15:39:35
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest ダメなんだよ…こういう 「自分なんか生きてても仕方ない、いつ死んだって構わないんだって思ってたのに、いざ死ぬ間際になって、こんなに生きたいって感じるなんて…」 ってキャラ、もう、こういうの弱いんす…;; ちなみに、「姉さん」こと小芳さんも色々あるのよね。

2015-01-17 15:42:06
根守兎 @Lino_nest

「いいえ、貴下(あなた)、この花を引張るのは、私を口説くのと同一訳(おんなじ)よ。主があるんですもの。さあ、引張って御覧なさい。」  と寄ると、英吉は一足引く。 「さあ、口説いて頂戴、」 【泉鏡花「婦系図」】 序盤、「嫣然と」一笑して主を助けるお蔦さん。 #もだもだ文学散歩

2015-01-17 15:44:21
根守兎 @Lino_nest

ゼェハァ。息切れしながらもういっちょ。

2015-01-17 15:47:35
根守兎 @Lino_nest

…半開きにして来た扉の前に、ちらりと見えた婦の姿。――出たのか、入ったのか、直ぐに消えた。…(略)…  バサリと音して、一握の綿が舞うように、むくむくと渦くばかり、枕許の棚をほとんど転って飛ぶのは、大きな、色の白い蛾で。 【泉鏡花「婦系図」】 深夜二時。 #もだもだ文学散歩

2015-01-17 15:48:25
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest この「蛾」には「ひとりむし」とルビがふってあって、コレがまた泣けるんだ! …ちなみに、鏡花に「ルビをちゃんとふるように」と指導したのも、師匠尾崎紅葉だったそうな。

2015-01-17 15:52:55
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest この作品の幻想(ファンタジー)要素は、さっきの深夜に蛾とヤモリを見てお蔦を幻視するシーンだけだけど、ラストシーンもなかなか厨二心をくすぐられる。 ソレが、コレだ!

2015-01-17 15:57:37
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 「発狂人!」 「ああ、狂人(きちがい)だ、が、他の気違は出来ないことを云って狂うのに、この狂気(きちがい)は、出来る相談をして澄ましているばかりなんだよ。」 【泉鏡花「婦系図」】 日蝕の光を浴びて、河野巨閥の首領と対決する主税!

2015-01-17 15:59:56
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 鏡花の物語は、運命や時間経過や社会的立場などの、一人で足掻いてもどうにもできない理由で弱者となってしまった男が、強者である者に決然と対決するシーンがホント素晴らしい。

2015-01-17 16:04:38
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest なおかつ、単に「勧善懲悪」…この作品で言えば主税が名誉を取り戻して河野が落ちぶれる、という結末に「ならない」ところが、物語として古びず、今でも人気作家であり続けるひとつの要因なのかもしれない。

2015-01-17 16:05:35
根守兎 @Lino_nest

最後に、主税が師匠・酒井に拾われた時の回想シーンから。 (晩の飯を内(うち)で食って、翌日の飯をまた内で食わないか、酒井の籠で飼ってやろう、隼。) 【泉鏡花「婦系図」】 繰り返すが、「酒井≒尾崎紅葉」「隼=主税≒泉鏡花」。文学沼にハマる人が増えますように! #もだもだ文学散歩

2015-01-17 16:28:55
根守兎 @Lino_nest

はあ。怒涛の主税オンステージなラストシーン。映画や演劇で何度も何度も取り上げられるのわかるわ。

2015-01-17 16:30:56
根守兎 @Lino_nest

そろそろまたエアロバイク漕ぎながら「もだもだ文学散歩」するよー。泉鏡花1巡4作目は「おばけずきのいわれ少々と処女作」。タイトルに惹かれた。おもしろそう。

2015-01-18 18:40:25
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 何せ冒頭が「僕は随分な迷信家だ。」で始まる。

2015-01-18 18:41:58
根守兎 @Lino_nest

僕は明かに世に二つの大なる超自然力のあることを信ずる。これを強いて一纏めに命名すると、一を観音力、他を鬼神力とでも呼ぼうか、共に人間はこれに対して到底不可抗力のものである。 【泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」】 ふむふむ。泉鏡花の超自然の捉え方とな! #もだもだ文学散歩

2015-01-18 18:50:00
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 妖怪変化の類、人智を超えた怪異を「鬼神力」、人を守護する超自然の導きを「観音力」と分け、双方を畏怖していたという鏡花のユニークな思考が前半のテーマ。言霊的な物も観音力と考えてたのかな? で、ここでまた、鏡花にとって絶大なる観音力の使い手・紅葉先生が出てくるw

2015-01-18 18:56:27
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 紅葉先生の連載原稿を投函する大役を担っていた鏡花。原稿の紛失を恐れ、ポストまでは肌にピッタリつけて歩き、ポストに着いたら奥まで手を突っ込んで封筒を手放す。その後、ポストの周りにウッカリ落としてないかぐるぐる三度廻る、というのを毎回やってたとか。カワイイぞw

2015-01-18 19:06:48
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest しかるにある時この醜態を先生に発見せられ、一喝「お前はなぜそんな見苦しい事をする。」と怒鳴られたので、原稿投函上の迷信は一時に消失してしまった。 【泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」】 …ということで、この一喝は正しく観音力の発現だった、と…。

2015-01-18 19:16:15
根守兎 @Lino_nest

二十七八年戦争当時は実に文学者の飢饉歳であった。まだ文芸倶楽部は出来ない時分で、原稿を持って行って買ってもらおうというに所はなく、新聞は戦争に逐われて文学なぞを載せる余裕はない。いわゆる文壇餓殍ありで、惨憺極る… 【泉鏡花「おばけずきのいわれ少々と処女作」】 #もだもだ文学散歩

2015-01-18 19:24:52
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 鏡花の「夜行巡査」や「外科室」が載った「文芸倶楽部」。 掲載仲間が 広津柳浪「黒蜥蜴」「今戸心中」 樋口一葉「にごりえ」「十三夜」 国木田独歩「源叔父」 たち。他に田山花袋、幸田露伴、永井荷風、もちろん尾崎紅葉先生も。同じ時代を生きてたんだなあ…( =_=)

2015-01-18 19:34:19
根守兎 @Lino_nest

@Lino_Nest 明治27〜8年の日清戦争当時、新聞は文学なんぞ載せてる場合じゃなかったので、文士は仕事がなく飢えていたという話。こういうの読むと、どういう時代にどんな人たちがどういうものを書いてたか…とかが立体的に見えてきて、日本史的にも楽しい!! 【終わり】

2015-01-18 19:39:48
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