大宮の崩しのメカニズム(と昨季比での課題)と名古屋の守備の問題点まとめ @ 名古屋vs大宮
442の名古屋と442の大宮。同じシステムでのマッチアップなので、何もしなければピッチ上のそこかしこで1対1が頻発する事に。その場合、個人能力に優る方、質的有利のチームが試合を有利に運ぶ事ができる。それでは面白くないので、大宮は名古屋の守備を掻い潜るための工夫をする必要がある
2016-04-15 22:30:37大宮はJ2でプレーしていた昨季、渋谷監督の下で本格的にポゼッションサッカーの導入へと舵を切った。大まかな内容は「SH/SBのサイド張っとけを活用し、サイドでスクエア(四角形)を形成する事で相手CBSB間の縦のレーン(インサイドレーン、トレーラーレーン)を攻略する」ものである
2016-04-15 22:30:44DFラインでボールを持った選手がインサイドレーンに位置している時、その選手(時と場合によってCBだったりSBだったりボランチ)を頂点としてサイドでスクエアを形成し、縦(スクエアにおける対角線)を意識させる事でボールを斜めに運んでいき、最終的に相手CBSB間からPA内侵入を図る
2016-04-15 22:30:51小難しいけど、上記が大まかな大宮の崩しのメカニズム。で、名古屋の守備のメカニズムがこれととても相性が悪かった。それを動画交えて解説していったりしなかったりしようかなと
2016-04-15 22:31:01442で守備をする際、まず問題になるのが2トップの脇のスペース。ピッチの横幅68mを4人で守る事ができるDFラインと中盤はともかく、1列目、FWのラインは2人しか居ないので、必然的に相手が活用できるスペースがある。それが2トップの脇 pic.twitter.com/Vqy2rdOFhA
2016-04-15 22:31:102トップの脇のスペースをFWに管理させると、体力の消耗も激しい上に、最もパスを通されてはいけない中央が空く事になる。ボランチも中央が空く。なのでSHが出て行く事がベターだが、後ろの連動性に欠くと、芋づる式に最終ラインにスペースを与える事になってしまう。攻撃側はそれを逆に利用する
2016-04-15 22:31:14大宮はCBやSBを2トップ脇に位置させ、アウトサイドに泉澤。ゴールに最も近い対角線に家長。内側にDHを1枚置いてスクエアを形成。家長への縦パスを相手SHに意識させてコースを切らせ、泉澤へ斜めのパスを通してビルドアップを行っていった
2016-04-15 22:31:22この時、名古屋は泉澤に対してSBが出てきて応対するが、小倉監督は「CBはPA幅からできるだけ動かしたくない」と考えているらしく、アプローチに出たSBとの間のスペースを埋めるためのスライドをCBがしておらず、CBSB間を容易に明け渡すケースが多発した
2016-04-15 22:31:28そこはDHがカバーリングに入る事でギリギリバランスを保っていたが、物理的に間に合わないケースや、DFが動いてできた中央にスペースを与えるケースがこれまた多発し、バランスが良いとは言えない状態。442ゾーンで守っているのか、マンツーで守っているのか曖昧なケースが散見された
2016-04-15 22:31:342分。中央の河本が2トップ間に位置する岩上に1度当て、2トップを中央に絞らせる。2トップ脇の金澤がパスを受け、サイドに張った泉澤へ。CBSB間には家長が走りこんでおり、泉澤のスルーパス。DHが後追い。最終的にPA内侵入まで pic.twitter.com/WwWEsOXM8Y
2016-04-15 22:33:427分。CB間に落ちた金澤が2トップ脇の河本へ。河本は縦に持ち上がり、サイドに張った泉澤へ。CBSB間には家長が裏抜け。家長とのワンツーで泉澤がサイド奥へ pic.twitter.com/a5HoqoBm51
2016-04-15 22:34:118分。2トップ脇の河本からサイドに張った泉澤へ。SBとSHがアプローチに来るも、斜め後方でフォローに入っていた家長とのワンツーでサイド奥へ裏抜け。CBが引っ張りだされ、エリア内でムルジャがフリー。ムルジャのヘディングは枠外 pic.twitter.com/KoCmajDExG
2016-04-15 22:34:3417分。2トップ脇の和田がサイドに張った泉澤へパス。CBSB間へ裏抜けすると見せて家長はDHSHCBSB間にステイ。CBが引っぱり出される。中央にスペースがあると察知した金澤が吶喊。DHが釣られ泉澤がカットインするスペースが生まれた pic.twitter.com/elGBKc5FMH
2016-04-15 22:35:3220分。インサイドレーンで持った菊池が対角線へのサイドチェンジ。相手への強制的なスライドを促し、横を間延びさせる。2トップ脇の岩上が再度サイドチェンジを試みるが、横谷は大外には張っておらず、奥井は届かずで終了 pic.twitter.com/YS5br1m4U9
2016-04-15 22:36:2121分。2トップ脇の和田がサイドに張った泉澤へパス。この時、SHは和田へアプローチ&名古屋の横スライドが遅れていたため、SBへのカバーリング不在。それを見逃さずに泉澤は内側へターンし、裏抜けする家長&ムルジャへスルーパス pic.twitter.com/Z8nxWcdR8j
2016-04-15 22:37:1040分。中盤まで落ちて受けた家長、ピッチを斜めに横切りつつサイドに張った泉澤へスルーパス。大きく空いたCBSB間へ家長が裏抜けし、泉澤からのリターンを受けるが、CBがギリギリで対処 pic.twitter.com/SUt4kFUVSt
2016-04-15 22:37:2868分。2トップ脇で岩上からのパスを受けた家長。サイドに張った奥井へパス。サイドに流れ、CBSB間に位置していたムルジャへスルーパス。ムルジャはドリブルでPA内侵入しながら大外から飛び込んできた泉澤へグラウンダーのクロス pic.twitter.com/wqlFxkIqng
2016-04-15 22:37:41ご覧の通り、大宮は再現性の高い攻撃を何度も繰り出している事が解る。相手2トップ脇のスペースからサイドでスクエアを形成し、戦術兵器である泉澤&家長の個性を利用して、相手守備を1枚1枚剥がして突破を図る。エリア内にはムルジャと逆サイド大外から飛び込んでくるSH、という形
2016-04-15 22:37:46対する名古屋は一応442ゾーンを志向しているが、守備のコンパクトさと連動性に欠け、後手後手でしか守備ができていない。インサイドレーン上に位置するCBSB間のスペースを幾度も突かれていることでも解る通り、横圧縮は皆無。加えて、マンツー意識が強すぎるために人の動きに振り回されている
2016-04-15 22:37:49このように、大宮の崩しのメカニズムと名古屋の守備の問題点が見事にマッチングしてしまったので、大宮のバックラインが時間とスペースを得た際には名古屋はとても苦しむ事になった。ただし、この試合の大宮の得点はセットプレーとカウンター。ポゼッション時に崩せなかったのにも理由がある
2016-04-15 22:37:58動画を見て解る通り、大宮の攻撃は左サイドに偏っている。左利きの泉澤と家長を中心とした崩しなので、それは已む無し。ただし、左利きで低く早いサイドチェンジが蹴れたDHカルリーニョスが移籍してしまったため、右サイドへのサイドチェンジが極端に減っている。これが昨季との大きな違い
2016-04-15 22:38:06「サイド張っとけ」の利点として、『相手守備を片方のサイドに寄せる事で(横圧縮)、逆サイドである大外に時間とスペースを得よう』がある。大宮は片方のサイドに寄せても、そこから展開できる選手が居ない。なので、泉澤が「昨季と比べてサイドチェンジが少なくてスペースが狭い」と言い出す結果に
2016-04-15 22:38:15右サイドへのサイドチェンジがあれば、右サイド高い位置でペチュニクor横谷と相手SBの1対1という局面を多く創りだすことができるし、相手守備に何度も横スライドを強制する事にもなるので、消耗を促して横を間延びさせ、結果左サイドでもスペースを得やすくなる。ところがこれが現在足りていない
2016-04-15 22:38:22「ペチュニクが馴染めていない」ように見えるのはこれが理由で、開幕から暫くは右サイドに張って左右のバランス改善に貢献していたペチュニクだったが、張っていても中々右サイドにボールが来ないので、中央に入ってくる事が多くなってしまった。それが結果的にバランスを悪くし、現在に至っている
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