かるの(クリスピー)のツイッター小説まとめ

ツイッター小説大賞に応募開始して以来、140字の世界が段々と面白くなってきました。 しかしツイッターという性質上、書いたものは流れてしまう……。 自分で何を書いたかの確認を含め、こちらにまとめていきたいと思います。しかし#twnovelはいれたのほうがいいのかな。文字数がさらに圧迫か・・・
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かるの @karuno_crisP

眼下に眩い星空が広がっている。見上げれば赤々と煌めくテールライトが列を成して輝いている。飛び降りてからいったい何秒が経過しただろう。思えば短い人生だった。少し人生を振り返り、死にゆくまでの退屈しのぎとしよう。あれはそう――そういえば冷蔵庫のプリン、まだ食べてなかっ#twnovel

2011-02-01 20:34:23
かるの @karuno_crisP

彼は無口な煙突。いつももくもく口から煙をたてている。「煙草、止めないの?」私の問いに彼はもくもく煙をたてた。彼の身体が心配なのに、彼はもくもくするばかり。結果彼は煙突を通った。火葬場もくもく煙になった。「だから言ったのに」煙の彼はようやく答えた。「心の心配もしてくれよ」

2011-02-01 20:47:27
かるの @karuno_crisP

私は個性派最先端。無個性なんて大嫌い。学校へ着ていくものも勿論個性的。ピンと張ったネクタイ。アイロンをしっかりかけたシャツに、襟元もしっかり止めて。短いスカートはありえない。膝下7でも短すぎ。校則は厳密に。髪は短くおかっぱがいいね。だって私は個性的。こんな子今じゃ見ないでしょ?

2011-02-01 21:18:48
かるの @karuno_crisP

「どうして人を殺しちゃいけないの?」幼い彼女が無邪気に言った。僕はどう答えてよいか分からず無難に答える。その人にも家族がとか、法律でダメだとか。大体お決まりの台詞を伝える。「よくわかんない。お腹がすいたな」伝わったところで意味はない。「だから少し食べさせて?」虎の耳に念仏だ。

2011-02-01 21:32:56
かるの @karuno_crisP

彼は決意した。人生は苦しい。この命を果てようと。決意したなら行動は早い。彼の部屋は高層の一室。ただ飛び下りればいいのだ。……落ちてみた。木に引っ掛かった。無傷で着地。死ねない。ガス、電車、首吊り、毒物。……死ねない。彼は決意した。どうすれば死ねるか、研究するため生き続けようと。

2011-02-03 00:43:27
かるの @karuno_crisP

彼は恋をしていた。愛したものは美しい横顔、清らかな肌、鋭い瞳、強気な性格に温かな男義。彼は彼に恋をしていた。嗚呼、だが何故だろう。彼は彼の恋心を知らず、彼は彼女になってしまった。彼は嘆いた。取り返しのつかないことをしたと悟り、嘆いた。彼のためにと、折角彼女は彼になったのに、と。

2011-02-03 00:48:13
かるの @karuno_crisP

私は鏡の部屋にいた。周囲には驚いた様子の人々がいる。顔を洗おうと鏡を見て、ここにいた。他も同じような経緯なのだろうか。ふと近場にいた女を見ると、彼女は鏡と共にばらばらに砕けた。凄惨な光景。恐怖から、私は鏡を見やる。鏡の先には私の姿。その手には、叩きつけようとする石が握られていて

2011-02-03 00:57:39
かるの @karuno_crisP

今日この時、彼は人生の終焉を迎えようとしていた。順風満帆、畳の上で死ねる幸福。それでも彼は死にたくはなかった。だからこそ彼は『巻きもど死屋』に依頼した。「始まりまで、戻しますよ」彼の人生が巻き戻される。老人、青年、少年、幼児。彼は思う。生まれる前の死。始まりも終わりも、同じだな。

2011-02-03 01:07:37
かるの @karuno_crisP

「博士、ついに完成ですね」「うむ、これが歯車人間だ」世界初の人造人間。カチカチ歯車と核動力で出来ている。人は働かずとも歯車人間が全てやってくれるようになった。だが博士は後日逮捕された。仕事に向った世界中の歯車人間が、定刻通り到着した電車に飛び込んだのだ。罪状は、世界同時多発テロ。

2011-02-03 18:57:29
かるの @karuno_crisP

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんとその息子と娘と息子の嫁と孫と孫の旦那と三兄弟のひ孫とひ孫の別れた女房とその子供とその甥の娘と甥の娘の旦那と、その息子の生き別れた妹に騙された旦那とその子供達と幸せに生きるアナタが住んでいた土地があったそうな。どんとはれ。

2011-02-03 19:02:58
かるの @karuno_crisP

「次は君の番だ。このバトンを受け取ってくれ。早くしないと間に合わなくなる。僕は区間賞をとってしまったが、君は走らなければ。遠い道のりをひた走らなければいけないよ。――受け取ったね。がんばって。さようなら」目を覚ました私は手術が成功したことを知った。彼のバトンが、鼓動を鳴らした。

2011-02-03 19:09:41