@ToshioOkada Presents  #otakingex 『逝きし世の面影』・・・江戸時代とは何だったのか、近代化とは何だったのか レビューツイート

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岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

異人が近づくと、駕籠書きや力車引きはくじ引きをはじめる。しかし異人が通り過ぎて客ではないことがわかると、いっせいに彼らは笑い出す。期待して仕事にありつこうとした自分たち自身を笑ったのだ。 #otakingex

2011-02-04 23:04:40
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

同様に、異人が来ると聞かされて数千人の見物客が境内に集まった。混乱が起きそうだったので、幕府の役人が退去を命じた。世界中の国で、役人が数千人の野次馬に退去を命じれば、その場で起きるのは怒声とブーイングだ。それが普通だ。 #otakingex

2011-02-04 23:06:25
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

しかし、日本人たちは違った。役人に怒られると、みんな笑い出した。役人も笑っている。「こんなにいっぱい集まったらダメにきまっているだろう?」「そりゃそうだ」という呼吸だった。これは高度な知性のみに可能なユーモアだ、と当時の旅行者は記録している #otakingex

2011-02-04 23:07:58
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

ロシア人捕虜、ゴローニンはたびたび日本人の「笑い」を記録している。取り調べで「ロシア語を知っている」という人足が雇われた。しかし人足のロシア語はデタラメで、話せないことがその場でばれた。奉行と役人は大爆笑した。他の国なら、この人足は罰せられただろう #otakingex

2011-02-04 23:11:29
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

また、逆に日本女性が悲鳴をあげないことも彼らを驚かせた。フランス海軍士官デュバールは政府高官の家に泊まった。隣室は夫人の部屋だったが、夜中に物音がした。翌朝デュバールは「昨夜は騒がしかったでしょう。家内が出産したのです」と言われた #otakingex

2011-02-04 23:14:04
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

デュバールは「物音は聞こえましたが、辛そうな声や鳴き声は聞こえませんでした」と答え、後日夫人にその勇気を賞賛した。すると夫人は言下に答えた「そのような時に声を立てる女はバカです」 #otakingex

2011-02-04 23:15:38
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

その他、この本の中には「失われた文明」の具体的エピソードがこれでもか!とばかり詰まっている。第一章「ある文明の幻影」第二章「陽気な人々」第三章「質素と豊かさ」第四章「親和と礼節」第五章「雑多と充溢」第六章「労働と身体」・・・ #otakingex

2011-02-04 23:18:57
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

第七章「自由と身分」第八章「裸体と性」第九章「女の位相」第十章「子どもの楽園」・・・。ちょっと「労働と身体」についてツイートしてみる #otakingex

2011-02-04 23:20:33
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

異邦人たちがなにより驚いたのは、日本人の誰もが「栄養が足りている」ように見えたことだ。どの国でも貧民はいる。もちろん日本にもいた。しかし諸外国の貧民は、病気と無気力の中に暮らし、教養もなく礼儀もなかった。それに対して日本の貧民は「単に家が狭いだけ」だった。 #otakingex

2011-02-04 23:22:34
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

日本の貧民たちは清潔で礼儀正しく、よく笑い幸福そうだった。なによりも彼らは痩せこけていなかった。異邦人たちを驚かせたのは、当時の日本では上流階級は貧弱な体格で病弱であり、下層階級は体格がよくて元気だったのだ #otakingex

2011-02-04 23:24:21
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

「この国では下層階級・労働者階級が、西洋の貴族のような立派な体格をしている。そういう階級のものたちは遊び場も多く、毎日が楽しそうだ。それに比べて武士階級はまぎれもなく支配者階級なのに貧弱で、生活も退屈で楽しみも少ない」 #otakingex

2011-02-04 23:27:12
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

江戸の金持ち息子は病弱、というのは定番だよね #otakingex RT @sg_orz: @ToshioOkada これはなんか聞いたことある。お殿様は白米食ってて逆に病弱っていう。

2011-02-04 23:28:38
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

これら幕末〜明治初期の異邦人たちの手記が真実なのか、それとも誤解なのかはこの本の語るところではない。ポイントは「なぜ、彼らの目にそう映っていたのか?」。それを考えると、どれほど異質かつ魅力的な文明があったのかがうかがえる #otakingex

2011-02-04 23:30:13
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

さて、そろそろ2時間が過ぎました。このあたりで終わりにしましょうか。 #otakingex

2011-02-04 23:30:58
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

とりあえず、いまブログに載せた毎日新聞寄稿の「いまや消費は労働である」を描いている時も、この本のことが頭から離れなかった #otakingex

2011-02-04 23:32:09
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

この本は「かつての江戸文明はよかった。それに比べて・・・」という本ではない。どっちかというと、「これまでの江戸や幕末観がいかに一面的かつ開国万歳主義だったか」に対する批判の書なんだよね #otakingex

2011-02-04 23:33:52
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

でも、この本の巻末の膨大な引用文献見てると、バードのを鵜呑みにはできなくなっちゃうよ #otakingex RT @tfcfc: @ToshioOkada イザベラ・バードの『日本奥地紀行』なんか読むと、農村部は栄養状態悪かったみたいですね。ほとんど全員脚気だったとか。

2011-02-04 23:35:02
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

あ、イザベラ・バードの引用も16箇所もある!w #otakingex RT @tfcfc: @ToshioOkada イザベラ・バードの『日本奥地紀行』なんか読むと、農村部は栄養状態悪かったみたいですね。ほとんど全員脚気だったとか。

2011-02-04 23:35:56
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

しかし本当に読み応えがある本だよ。というより、読む人間の世界観や価値観を問う本。だから読書体験は人によって絶対に違う。どれだけ多くのことが学べるかは、読み手次第なんだろうなぁ #otakingex

2011-02-04 23:38:34
岡田斗司夫@オタキング @ToshioOkada

ではお疲れ様でした。来週のこの時間はちょっと趣向を変えて「公開対話」というシリーズを始めたいと思います。第一回2月11日(金)は「映画『ソーシャルネットワーク』を語ろう!」です #otakingex

2011-02-04 23:41:07