下平レイソルの可変システムへのネルシーニョの対策&2人の監督による頭脳合戦 @ 柏vs神戸
ネルシーニョ監督「HTに攻撃のチャンスを作る意味でクリエイティブな選手を投入したんですが、その選手がアクシデントで怪我をして交代を余儀なくされ、次の選手を入れるときにシステムを433でやっていたものを2トップにして、ペドロとレアンドロを前線に置く形を取りました(KFJより抜粋)」
2016-05-03 19:54:50なお、前田が松下に代えられたのにも当然理由がある。ネルシーニョは「攻撃のチャンスを作る意味でクリエイティブな選手(松下)を投入した」と説明しているが、具体的な理由は次のシーンに集約される
2016-05-03 19:54:5520分。反時計回りに3人が旋回しながらサイドから柏の守備網を崩そうと試みるが、千真が持った時に前田が縦に抜けるのではなく斜め後方でフォロー役になろうとしてしまい、攻撃が詰まってしまった pic.twitter.com/2QIwJ0XkqE
2016-05-03 19:56:08前田はこのシーンの前後にも同様の判断が見られ、SBからサイドに張ったWGが受け、柏のCBSB間が空いて「そこに前田が抜ければチャンス!」というシーンでも斜め後方でステイを選んで攻撃を詰まらせている。前半で交代となったのはその消極性を見咎められて、だったと思う
2016-05-03 19:56:1339分。伊野波から岩波が受けた際に柏のDHSH間に落ちるPJ。サイドには峻希。柏のCBSB間をサイド奥へ抜ける藤田。CBSB間は茨田がカバーリングに入ったが、PJが更にそこを狙う pic.twitter.com/wgYg7gvXkx
2016-05-03 19:56:49このシーンの意図は、PJがDHSH間に落ち、柏のDHSHが閉じようとすればサイドの峻希が空く。SHが峻希のケアに行けば門が開いてPJが空く。PJにSBが付いて行けばサイド奥に抜けた藤田はフリー。全部ダメでも岩波に戻す事で安全に攻撃をやり直せるor逆サイドへのサイドチェンジを狙う
2016-05-03 19:56:57このように藤田は同様のシーンでもサイド奥へ抜けるプレーが見られたし、前田と代わった松下にも同様のプレーを求めつつ、柏の442ゾーンを攻略するために左足でサイドチェンジを蹴れる松下を、というネルシーニョの考えだったのだと思う。負傷交代は残念としか言いようがない…
2016-05-03 19:57:14(ちなみにこれはメンデス政権下の柏が多用していた崩しとほぼ同じである。大宮戦でのこのシーンを見てみよう) pic.twitter.com/WEMQTeOZMg
2016-05-03 19:57:5649分。柏の442ゾーンを一度サイドに寄せてサイドチェンジ。峻希が受け、PJが武富を引き連れてサイド奥に流れた事で中央のスペースが空き、レアンドロに向かって斜めに入れるもコースが逸れる pic.twitter.com/uPPoKxnFPq
2016-05-03 19:58:3439分のシーン同様、神戸はこうしてサイドから柏の442ゾーンを攻略する意図は見えたが、ことごとく精度を欠いた。49分のシーンもレアンドロに届いていればフリックで千真が裏抜けなども考えられたが…
2016-05-03 19:58:38また、ただ単純に神戸の攻撃が精度を欠いただけではなく、柏の守備も素晴らしかった。特にディエゴと中川の2トップが矢継ぎ早にプレッシングを掛け続け、神戸のCB2人を自由にさせなかった事と、伊東がその快速を活かして対面の相馬から幾度もボール奪取を成功させた事が非常に大きかった
2016-05-03 19:58:4344分。伊野波が持った際に柏のDHSH間に落ちようとするレアンドロ。しかし、中川が内側のコースを消すように横からアプローチに行き、伊東が大外のSBに釣られずに内側へ絞った事でパスを遮断 pic.twitter.com/PbyA9icTFX
2016-05-03 19:59:30また、こぼれ球を伊野波が拾って岩波に預け、神戸から見て右サイドに柏の守備が寄っていた&大外の相馬がフリーだったためサイドチェンジを試みるが、岩波が1度目で蹴れずに2度持ち出した事と、その目線でパスを読み切った蒲田がいち早くスライドして対処に成功した
2016-05-03 19:59:41このように柏の守備はオーガナイズされており、隙を与えなかった。また、柏が2-0としてからはラインを下げて深く構え、伊東を中心としたカウンターを幾度も繰り出した事と、縦に間延びしつつあった神戸の2列目3列目の間でスペース察知に優れる中川が躍動した事もあり、神戸にとっては苦しい展開に
2016-05-03 20:00:29なお、「神戸が442で来るならウチは325に戻すよ?」と柏は再び時計回りボトムチェンジを用いて神戸の数的同数プレスをいなす動きも見られた。戦術運用が実に柔軟。相手あってのサッカーなので、相手の出方に応じて柔軟に形を変える。ネルシーニョが率いていた頃の強かった柏を思い出す展開だった
2016-05-03 20:00:4385分。山中を左SB→左WBへと上げ、再び325でのビルドアップ。442の神戸は前線のプレッシングの枚数が足りず、左CB中山から裏に走る山中にいい形でボールを出されてしまう pic.twitter.com/b6EBjYudF1
2016-05-03 20:01:16神戸の光明は負傷の松下に代わって442の右SHとして途中出場した松村の存在だったが、いい形でボールを受けた時はドリブルでの打開でチャンスを作れたが、ボールの受け方、その時の体の向きに少々課題があり、能力を十全に発揮できたとは言いがたい。この辺りは伸びしろとも言えるが…
2016-05-03 20:01:20このような感じで90分が終了。下平監督の時計/反時計回りボトムチェンジを打ち破る為に策を用意してきたネルシーニョと、そこをスタートとした2人の監督の知力の応酬、といったとても見応えのある試合内容だった。9月のリベンジマッチが今から非常に楽しみである
2016-05-03 20:01:22