初めてのトゥギャッター。小説まとめ

小説書いてトゥギャッターでまとめるやつをやってみたかった
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浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

1 ふと空を見上げると、二羽のカラスが頭上を越えていった。悠然と羽ばたくその姿は雄々しく、そして美しかった。 そのカラスの後ろ姿を追い、しばらく私も夕焼けを眺めていたが、どうにも空腹には勝てず、腰を上げる。 立ち上がると、頭が重く、目の前に無数の光が見えた。また、いつものやつだ。

2016-05-10 10:18:28
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

2 大丈夫、ちょっとクラクラするだけだ。いつも通りふらつく体を無理やり動かそうと、足を上げる。体が、傾く。 私は昔からそうだった。注意力が足りていないと、よく注意された。何かに注目すると、他の何かが意識の内から外れるのだ。 しかし、まさか今日この時この場所でやらかすとは。

2016-05-10 10:22:51
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

3 私は、体のバランスを崩し、背中から倒れるようにして、真っ逆さまに、マンションの屋上から墜ちた。

2016-05-10 10:24:04
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

4 走馬灯と言うのだろうか。過去の様々なことが思い起こされた。 両親に叱られたこと、 先生に怒られたこと、 友達と喧嘩したこと。 決して良いことだらけだった15年間ではなかったが、まあ、悪くはなかった。私は精一杯やったさ。それなりに全力だった。筈なのだか。この心残りは何だろう。→

2016-05-10 10:28:21
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

5 →何かが胸につっかえて、心地よくない。家の鍵をかけ忘れて家を出てしまった時のような不安感。 私は、一体何を忘れているのだろうか。 心が闇に溶けていく感覚と、何とかそれを引っ張り出そうとする感覚が、奇妙に交錯する。 「あ」 ふと、ある少女の顔を思い出す。泣き虫な彼女の事を。→

2016-05-10 10:33:40
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

6 → 私は彼女と、親友と、喧嘩をしていた。きっかけはくだらない、些細なことだったが、その小さな歪からお互いが日々積み重ねた不満が噴出し、これまでにない、大きな言い争いをした。 「仲直り、したかったなあ」 誰へともなく呟くが、それが誰かへ届くことはない。

2016-05-10 10:46:52
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

7 落ちていくさなか、それは不意に私を襲った。 「あ゛」 強い衝撃に一瞬、息が止まる。背中から何かに叩きつけられた。地面だろうか? いや、それにしては衝撃が少ない。 「あ……」 それは、落下防止用のネットだった。以前設置の工事をしていた事を思い出す。

2016-05-10 20:57:15
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

8 兎にも角にも、どうやら命は助かったらしい。 一息ついて、私は、ポケットの携帯を取り出す。 「壊れてなきゃいいけど」 ボタンを押すと、携帯は何事もなかったかのように起動し、彼女と二人で撮ったプリクラの待受を表示する。 「まったく君は役に立たんな」 LINEを起動し、彼女に→

2016-05-10 21:02:31
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

9 →通話をかける。 「あ、もしもし、ミキ? アハハ、ごめんね……ほんと、ごめん。ううん、私が……ああ、はいはい。私も悪かった。うん、うん。それでさ、ちょっと、屋上から落ちちゃって……いやいや、生きてるってうん、ネットに引っかかって。でさ、ちょっと来てくんない?胸痛くて……」

2016-05-10 21:05:59
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

10 程なくして私は洗濯物を取り込みに来た見知らぬおばさんに見つかり、通報され、駆けつけた救急隊員によって病院へと搬送された。 親友は泣きじゃくり、両親はひどく叱った。 私は、そんな喧騒に涙を流し、夕焼けを背に空を飛ぶカラスを眺める。 ああ、なんて雄大で、美しいのか。

2016-05-10 21:08:33
浅葱肴子 @00A3AF_Sakanako

あ、最後の文章反復にしたつもりなのに間違えた。

2016-05-10 21:11:34