ホットミルクとエリみほ

多分に自己解釈が含まれます。期間が開いてしまったので設定にいろいろ齟齬がありますが,ご了承下さい。
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鞄莫迦 @kaban_baka

ホットミルクを飲まないと寝れないエリカさん。

2016-05-01 19:42:20
鞄莫迦 @kaban_baka

普段は家だから自分で入れられるんだけれど,問題になるのはそうでない時。もともと黒森峰では,寮制であることもあり,合宿というものがなかった。言うなれば毎日が合宿である。しかし,大洗との一戦後,黒森峰は変わり始めた。言うまでもなくみh…元副隊長の影響であろう。 →

2016-05-01 21:02:19
鞄莫迦 @kaban_baka

密度の高い練習と適度なリラックスということで,黒森峰でも合宿が始まった。しかし,前例がなく,学園艦という限られた範囲内ではそう都合よく場所が見つかるというものでもない。さて,どうしたものかと皆で頭を巡らせ,結局決まらず明日までの宿題となった。 →

2016-05-01 21:17:46
鞄莫迦 @kaban_baka

「合宿ねぇ…」 中学まで,そのようなことがなかったわけではない。しかしそれは,先生や保護者がお膳立てしてくれたものに従っただけで,そんなものを計画するセオリーなど持ち合わせていない。ふととある人物の顔が浮かんだ。元副隊長である。 →

2016-05-01 21:23:44
鞄莫迦 @kaban_baka

以前彼女が黒森峰に戻って,もとい訪問してきた時,彼女たちは合宿をしたと言っていた。どのようにしたのだろう。聞いて見るのが最も手っ取り早いのであろうが,自分で考えずに人に頼るのはなんとも情けない。まずはもう少し自分で考えよう。 →

2016-05-01 21:34:13
鞄莫迦 @kaban_baka

その後数刻悩んだが,一向に答えは見えず。当然といえば当然だ。知らないものの答えを自分の内にいくら聞いても出るものではない。今日のところは諦めて寝よう。そう考え,いつもどおりホットミルクを入れようとしてふと気づく。寝る前のこの習慣はどうするべきか。 →

2016-05-01 21:46:29
鞄莫迦 @kaban_baka

そもそもこの習慣は,小さい頃からの習慣というわけではない。とある理由からであるのだが,まぁその時くらい飲まなくても問題無いだろう。なんなら,まだ入れていないことだし,今日試しに飲まずに寝てみようか。踵を返してベッドへ向かう。 →

2016-05-01 21:51:50
鞄莫迦 @kaban_baka

電気を消してベッドに潜り込む。時間は22時を少し回ったくらいだろうか。普段より少し早いくらいだが,まぁたまにはいいだろう。目を閉じて,眠気が訪れるのを待つ。しかし,一向にその時は訪れない。まぶたに浮かぶのは,一年前のこと。そして,いつも直ぐ側にあるはずだった顔。 →

2016-05-01 22:00:06
鞄莫迦 @kaban_baka

体を起こす。今晩はそれほど暑くないはずだが,汗が止まらない。頬を水滴が一筋伝う。自分はこれほどまでに弱い人間であったのだろうか。 嗜好が堂々巡りを始めた。やめよう。悩んでも仕方がない。どうしようもない。とりあえず落ち着かなくては。自然と足は冷蔵庫へと向かう。 →

2016-05-01 22:09:44
鞄莫迦 @kaban_baka

牛乳を取り出し,鍋に入れ火にかける。焦げてはいけないので弱火でじっくりと。目は鍋を見つめるが,どこか上の空。程よく温まり始めたところで棚に置かれた黄金色の瓶が目に入る,普段は入れないが,たまには入れてみようか。今はそんな気分。 →

2016-05-01 22:20:15
鞄莫迦 @kaban_baka

棚に手を伸ばし,その瓶,蜂蜜の瓶を手に取る。長らく使っていなかったが,腐らないらしいので問題無いだろう。スプーンでひとさじ,このくらいだったろうか。記憶を探り,それを鍋に入れる。温め終わったら,それをいつものマグに入れる。本当は鍋はすぐ洗ったほうが楽なのだが今日は良いだろう。 →

2016-05-01 22:25:27
鞄莫迦 @kaban_baka

すぐに眠ることは出来なさそうなので,携帯を取り出す。パソコンを開くのも億劫だ。いつも見ているサイトを巡る。とは言っても,今日はもうあらかた見てしまった。ふとある記事が目に留まる。大洗の学園艦に関する記事だ。廃校は撤回されたが,まだ様々な業務が残っているのだろう。 →

2016-05-01 22:34:21
鞄莫迦 @kaban_baka

ブラウザを閉じる。時間を見ると11時を回っていた。ハニーミルクはもうほとんど残っていない。これを飲めば落ち着くかと思ったが,今の私にはどうやら逆効果であったようだ。連絡先を開き,目的の名前を探す。その名前はすぐに見つかった。 「西住 みほ」 →

2016-05-01 22:48:42
鞄莫迦 @kaban_baka

画面を眺め,考える。時刻はお世辞にも常識的とはいえない。普段ならばこんなことはしないだろう。しかし,今晩はどうしようもなかった。携帯番号をタップし,携帯を耳に当てる。無機質なコール音がなる。心臓は早鐘のようになり,時間が鈍化したようにも感じられた。 →

2016-05-01 22:59:52
鞄莫迦 @kaban_baka

最早何回コールしたのかもわからない。もう寝てしまったのかもしれない。切ってしまおうか。履歴は残ってしまうかもしれないが,適当なことを言って誤魔化せば,あの晩年ほわほわなみほのことだ,なんとかなるだろう。そう思って耳から携帯を話した時,電話がつながった。 →

2016-05-01 23:07:38
鞄莫迦 @kaban_baka

「も,もしもし。」 携帯の向こうから,みほの声が聞こえる。半ば諦めていたため,こちらから掛けたはずであるのに,息が詰まるほど慌ててしまった。呼吸を整える。 「もしもし,ごめんなさいね,こんな夜中に。」 →

2016-05-01 23:19:49
鞄莫迦 @kaban_baka

「ううん,大丈夫。それよりエリ…逸見さんが電話かけてくるなんて珍しいね。どうしたの?」 言葉に詰まる。この間は特に問題なく返すことが出来た。しかし,今日は無理だった。 「だ,大丈夫?逸見さ…」 「エリカ。」 「え?」 「エリカでいいわ。そう呼んでいたでしょ。」 →

2016-05-01 23:25:01
鞄莫迦 @kaban_baka

「そ,それじゃあ,エリカ…さん。」 まだぎこちないが,久しぶりに名前を読んでもらえた。その事実に心が穏やかになる。 「それで,どうしたの?」 「え,えぇ,ちょっと聞きたいことがあるのだけれど…」 →

2016-05-01 23:34:57
鞄莫迦 @kaban_baka

「…って言う感じかな?まぁほとんど会長がやってくれたのだけれど。」 「相も変わらず破天荒な人ね。」 「本当にね。」 クスクスと笑い声が聞こえる。ちょっぴり気に食わないがまぁ良いだろう。宿題はこなせそうだ。 →

2016-05-01 23:48:12
鞄莫迦 @kaban_baka

「こんな夜中にありがとうね。」 「いいえ,お役に立てたようで何よりです。」 「それじゃ,おやすみなさい。」 「おやすみなさい。」 電話を切る。時間は11時半を少し回ったところ。歯を磨いて寝よう。 布団に入り,まどろむ意識の中で独り言つ。今日の夢見は良さそうだ。

2016-05-01 23:55:57
鞄莫迦 @kaban_baka

ミーティングが終わった。みほの話はとても有意義なものではあったけど,いかんせん大洗と黒森峰では団体としての規模が違いすぎる。そのまま適用することは難しそうだ。結局今日も結論は出なかった。早期に決めなくてはいけない事案というわけでもないので,今週末までの課題ということになった。 →

2016-05-02 13:16:45
鞄莫迦 @kaban_baka

今週末までと機嫌は伸びたが課題は課題だ。残したままというのはどうも落ち着かない。今日も今日とて頭を悩ませるが、人の思考がそうすぐに転換するわけもなく、すぐに行き詰まってしまう。今日は先日の反省も踏まえ、すでにホットミルクを入れてある。対症療法とはいえ今はこうするほかない。 →

2016-05-03 02:03:47
鞄莫迦 @kaban_baka

結論は出ず。カップを洗い、ベッドへ向かう。頭はスッキリしないが、今日はもう寝るほかないだろう。目を閉じ、眠気が来るのを待つ。 →

2016-05-03 02:08:36
鞄莫迦 @kaban_baka

… おかしい。 眠気が一向に訪れない。よく神経質だと言われることはある。自覚はしているが、特に否定しても意味はない。しかし、ここまでだっただろうか。ちょっとへこむ。 いや、そんなことを言っている場合ではない。皆の前で寝ぼけ面を晒すわけにはいかない。黒森峰副隊長として… →

2016-05-03 02:39:50
鞄莫迦 @kaban_baka

副隊長 携帯を手に取る。時間は10時を少し回ったところ。迷いはあったが、申し訳ないと思いつつ電話をかける。その時が待ち遠しく、コール音一つ一つが間延びして聞こえる。長く思えたが、ほんの一瞬だったかもしれない。コール音が途絶えた。 →

2016-05-03 03:05:54
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