行為の自律性と後期クイーン的問題

操りと後期クイーン的問題とは表裏の関係にあるという話
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@quantumspin

真犯人による探偵の操りの構図を多用する背後にも、作者クイーンの同様の意識があるように思われる。真犯人の意図が込められた手掛りを機械論的に解釈してしまう状況が操りならば、これは、真犯人の意図を隠す為、犯人が死体に装飾する行為と類似の問題系であり、意図の決定論的解明を目指すものだ。

2016-05-23 20:20:12
@quantumspin

フェア・プレイ原則という、かつての探偵小説の設計規範の拡張を模索する一方で、クイーンは同様の問題意識を犯人役に対しても適用する。それは、かつて『真の犯人は一人でなければならない』という形で表現された、自律的犯人像をあえて逸脱した探偵小説への作者クイーンの挑戦であると言えるからだ。

2016-05-23 20:29:10
@quantumspin

そこでクイーンが目指すのは、単なる操りの構図にはならない。そこで目指すのは、操りの構図を導入しなお、犯人役の自律性を維持しようとする、作者クイーンの模索であると言えるのではないか。そうしたクイーンの問題意識が〝Yの悲劇〟〝盤面の敵〟のような、特殊な操りの構図を生んだのではないか。

2016-05-23 20:44:18
@quantumspin

〝初期クイーン論〟以降、後期クイーン的問題は〝アクロイド殺し〟など叙述問題に対し適用され探偵小説形式の分析が進展していく。しかし、クイーン作品を起点とするこれら問題系を掘り下げた先に、クイーン自身が真に追求した問題は恐らくないし、それを、フェア・プレイの認識の違いでも説明できない

2016-05-29 10:23:34
@quantumspin

「自白と後期クイーン的問題」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1003451

2016-07-23 09:33:17