【赤い実じゃなくて】福間健二 #k2fact146
同じ言葉を並べるだけなのに紙が必要な局長の目からコウモリが飛び、浅い夕暮れの顔を引っ掻く二階の爪、子どもの爪。病んで、汚れた水から逃げられない腰が悲鳴をあげる。これ以上動けない。でも動け。どんな分析も破綻させるこの先がある。火星を見た。(赤い実じゃなくて1)#k2fact146
2016-06-03 12:10:27哺乳類。遠くから見ればみんな小さな黒い点だけど、簡単には空を飛べない。頭を押さえつけてくる隊員たちの手にかみつく歯をもった夢が必要だ。奴隷船の反乱のこと、かれらはどう教えられたのか。塞がれる寸前の隙間をいくつも通って、眠る人の目のなかに。(赤い実じゃなくて2)#k2fact146
2016-06-04 11:23:26体を洗い、あたたまって、くつろいで満ち足りた気分。出発点はどうでもいい。この欲望がどうなるかが問題なのだ。少女に帰った泣き顔とトマトジュース、ありがとう。人間的すぎる七色の声で破滅してまだ笑っているミュージシャンのお兄さんによろしく!(赤い実じゃなくて3)#k2fact146
2016-06-06 12:26:01死者の世界から取り返した「古い友人」。何を壊してほしいアピールなのか、いい天気じゃないとうまく機能しない。きのう、ぼくは客。お金が足りるかなと心配した。きょうは働く。意地悪な彼が来る。反論できない火をこっちが棄てたつもりの心に点じていく。(赤い実じゃなくて4)#k2fact146
2016-06-07 09:45:46「古い友人」を政治的にしたい週末。思い出せないけど、ありきたりの悪夢だった。骨を隠した紙ゴミの袋と、いま発情できる傘の下の、ならざるをえない状態。楽しい議論ができるか。斜線を使わないで。できるかどうかじゃない。本当にやりたいかどうかだ。(赤い実じゃなくて5)#k2fact146
2016-06-08 09:16:34ブリティッシュ・サウンズ。プラウダ、真実(チェコスロヴァキアについての)。イタリアにおける闘争。一九六九年のゴダール。よくないなと思うのは、人に出会おうとしてないこと。アンヌはまあ悪くない。Pの母親の「議論はいいからごはん食べなさい」も。(赤い実じゃなくて6)#k2fact146
2016-06-09 09:57:31フタなし。フタあり。一九六九年の通り魔には容器なのだ。宇宙の彼方からの、何十回目の同じおみやげでも、おいしそうに食べる島。波が来て去って、一粒の、言いたかったことの結晶が残る。気づいても理屈だけで皿を割りたがる発信は全部カッコわるい。(赤い実じゃなくて7)#k2fact146
2016-06-10 08:25:59たまには詩の女神にあいさつ。ケースに大小あるらしいが、よくわからない。いつの光かわからない光、我慢して。感情を生産するために排泄されるジュース、味わうまでにはいかないぼくの黒い死を読むオルガンがきこえる日曜日。ジュースじゃなくて水でいい。(赤い実じゃなくて8)#k2fact146
2016-06-12 08:40:43時の裏側でおいしい水を飲むのは。渇きをいやして背筋を伸ばすのは。背筋を伸ばして店のおねえさんに「ちょっといいな」と思ってもらうのは。許されること、黒く塗らなくていいこと、こうして書いてみたくなることだが、裸になれない島を不機嫌にしている。(赤い実じゃなくて9)#k2fact146
2016-06-13 09:20:29ほとんど死んで、まだ傷つく。飛べないバットマン。この路線では隙間からの弱い光が愛撫なのだ。夢で読む手紙に地図が付いている。ここにすぐ来て。挫折の得意な「古い友人」が書いて、発信人は署名の代わりに×印。行くよ。おまえの正体見破るために。(赤い実じゃなくて10)#k2fact146
2016-06-14 09:06:39