あんガルリレー小説&あんガルリレー小説イラスト化(2016,06)
- choudenji_taka
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@ajimu_pest 「せ、先輩!どうしたんですかいきなり!」 わ、わけがわからない!何がどう…… 「転校生は忘れて、私と過ごしましょう?」 「えっ、そんな!ちょダーリン助けて!」 しかしダーリンがいない。ほんとに風邪だったのか…!安心したような不安な……いやそんなことより!
2016-06-25 21:45:59@ajimu_pest 「ダーリンはこれから私よ?これからあんたは私のハニーになるの」 「へ、変態だぁぁぁぁぁ!?」 「変態なんて失礼ね、私はただ純粋にあんたのことが好きなだけ…!」 頭が混乱しすぎてわからない!ど、どうすればいいの!
2016-06-25 21:46:37@ajimu_pest 「さ、転校生も空気を読んでいなくなってくれたことだし……」 そう言って、湖南先輩は上着を脱ぎ、次にスカートに手を掛ける。 「は!? え、ちょちょちょちょ……!」先輩を止めようとするも、拘束されているせいでガタガタと惨めに椅子を揺らすことしか出来ない……!
2016-06-26 01:29:31三波なつみ最大の危機! このままわたしたちはイヴとイヴとなり、貞操は無残にも砕かれてしまうというの……!? 「砕かれてしまうというのぉぉぉ!?」 「何言ってんのよ」 見ると、すでに湖南先輩は上半身をはだけて、わたしに覆いかぶさるように顔を覗き込んでいた。ああ、ダーリン……!
2016-06-26 01:33:30「見なさい」 先輩の声は、先ほどまでの熱に浮かされたような声ではなかった。いつもの、冷静さを取り戻した声だった。その声に導かれて、先輩の胸元を見ると、そこには折りたたまれた紙切れが隠されていた。 「条件のヒント」 湖南先輩は、ひそひそ話をするように続ける。
2016-06-26 01:34:42「この部屋、盗聴・盗撮されてるわ。あんたが椅子を解除する条件を満たしたかどうか確認してるのよ」 そこで先輩はより声を潜めた。 「あなたの転校生への気持ちが本物か試す……そう長居さんは言ってたわ。私はね、その計画が気に食わないのよ」 意地悪そうに口角を持ち上げる。
2016-06-26 01:38:28「そこでこのヒントよ。いきなり答えを言ったらさすがに不審がられるから、こんな形で悪いけどね。……今からあなたを襲うわ」 「はいぃ!?」 「いや、フリだから……そうやってヒントを見せるってこと。それで後はお任せ。私は転校生と連絡を取るフリをして退室するから、あとは頑張りなさい」
2016-06-26 01:40:34@oitaoita0222 なにやらクロスワードパズルのようなものが。 なるほど、これを解いたら拘束を解除するためのキーワードなり動作なりが分かるということね……。 やがて先輩が、宣言通り私を襲い始める(フリをする)。 先輩に襲われながら、私はそのパズルを頭の中で解き進める。
2016-06-26 20:37:36それにしても、なんで先輩はこんな七面倒なことをするんだろう? 先輩の言っていた「ゆうちゃんの計画」が気に入らないなら、なにもその計画に便乗するような形で干渉しなくてもいいのに……? そんな疑問が浮かぶ。 やがてパズルは解け、その答えが分かった。そこに示されていたのは……
2016-06-26 20:38:15@eg_msc 『こくはく』 …条件はとても単純で、簡単なものだった。 そして同時に、とても複雑で、難解なものだった。 それはわたしが避けてきた、逃げてきた、見ないふりをしていたこと。 何故なら、それと向き合うことは、幼馴染という特等席から、自ら立たなければならないことだから。
2016-06-26 21:10:47「…もう、我慢できないわ。三波さん…いいえ、なつみ、あなたをあたしのものにする」 わたしが暗号を読み解いたのを知ってか、湖南先輩が顔をぐっと寄せた。 …本当は、複雑でも、難解でもない。 必要なのはたった一歩の勇気。 それをわたしが勝手に理由をつけて複雑で難解にしているだけ。
2016-06-26 21:11:15「なつみ…」 どんどん先輩の顔が近づいて、吐息を直に感じた。 その吐息と、真っ直ぐな視線が、わたしから余裕を奪っていく。 条件をクリアしつつ、どう今の席から立たずに済むか、なんて姑息な考えをする暇を奪っていく。 …あんたは、本音を言うしかない。 そう、背を押されているのだ。
2016-06-26 21:11:41「い、嫌っ!…初めては…転校生くんじゃなきゃ…ダーリンじゃなきゃ、嫌!!」 薄暗い空間にこだましたわたしの声は、時を止めたかの如く周囲の全てを沈黙させた…わたしの手首を縛っていたワイヤーを除いて。 「…」 湖南先輩の顔が、名残惜しそうに遠ざかっていく。 称賛の顔と共に。
2016-06-26 21:12:10@EG_FooN 「ちょ,ちょ,ちょっと,何をやってるんですかぁ~!」 慌てふためきながら,涙目のゆうちゃんが彼とともに飛び込んでくる。 「あら,長居さんに転校生も。完璧に狙い通りのタイミングだったわね」 ど,どういうこと?
2016-06-27 18:29:04「長居さんが三波さんに本当に嫌われるようなことするわけないでしょ。ああだこうだ口で言いながら,三波さんのことがどうしようもないくらいに好きなんだから。」 ゆうちゃんがヒッと言いながら顔を赤らめる。 漏れた声と顔の熱を取消そうとあたりをパタパタやっている。可愛い。
2016-06-27 18:29:59「長居さんが私たちに頼んできたの。でも,私が脚本を書き換えさせてもらったってわけ」 「本来の脚本だと単にあなたと転校生がきちんと向き合えるようにするだけ。 だけど拘束されて私が襲ったから,話が違うと転校生は長居さんに確かめに行ったのね」 「ヒントがクロスワード形式だったのは…」
2016-06-27 18:31:34「転校生が戻ってくるタイミングと三波さんの告白が被るようにするための仕掛け。でも,ちょっとだけ役得もあったわよ?」 「私はただ,合唱大会の借りを返したかっただけ。いつまでたっても人のことばかり考えている二人を,自分勝手な私たちが助けたかったんです」 とゆうちゃんは口をとがらせた。
2016-06-27 18:35:44@Lee_L1e エピローグ かくして、なんだかんだで色々あったが、 今日も今日とて朝日は昇る。 「あ、おはようダーリン」 登校路。 私は、いつものように、彼の隣に並ぶ。 「風邪はもう…大丈夫、みたいだね」 彼は、いつものように、言葉少なに頷く。
2016-06-29 21:54:05昨晩のドタバタ騒ぎの直後、 私たちは、駆けつけた看護師たちに、手際よくつまみ出された。 考えてみればあの病室は、曽根先輩の病室だったわけで。 本来の入院患者を追い出して、いつまでも私たちが占拠していては、ご迷惑というものだ。
2016-06-29 21:55:04『まあ、頃合ってとこかしら』 湖南先輩は片目を瞑って、そう言った。 あと、ゆうちゃんは、どさくさに紛れて逃げた。 今日会ったら、一発ぶん殴る予定である。 そして、私の告白も―――… あれ?その件は、結局どうなったんだろう?
2016-06-29 21:55:59「ち、違うんだからね!?あれは、しょうがなく…!そういうんじゃ、ないからね!?」 わたわたと手を振る私を、 『え?何が?』という感じで、きょとんと見つめ返す、彼。 「………っ!……っ!!」 顔が熱い。きっと残暑のせいだ。そうに違いない。
2016-06-29 21:57:02「でもね?元はといえば、きみもいけないんだよ?本当に反省してる?」 お小言をたれながら、わたしはふと気づく。 そう言えば…… 蓋を開けてみれば、彼は結局、ゆうちゃんの作戦に、一枚かんでいたわけだが、
2016-06-29 21:58:16『きみは、どこまで、知っていたの? 私に告白されたら、いったいどうする、つもりだったの?』 その言葉を、私は慌ててごっくんと、飲み込んだ。 危ない危ない。 何が危なかったのか、ぜんぜんわからないけど、あぶない危ない。
2016-06-29 21:59:15「なっつみちゃーん!転校生くーん!おっはようございまーす!」 あんなところから、どうやったらここまで声が届くのか不思議なくらい、 ものっそい遠くの方で、ななちゃんが手を振っているのが見えた。 その脇に、『ぎくっ』と固まる、三つ編みおさげの悪魔がいる。 会敵<エンゲージ>。
2016-06-29 22:00:23