「山形市内のお地蔵さんファッション写真集」に読んでみたいとの声 作成した研究者に調査のきっかけを聞いた

お地蔵さんの「ファッション」にも地域性が!?
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研究者の君島彩子さん(@kimi_aya_)がTwitterに投稿した「世界に一冊しかない地蔵のファッション写真集」に「読んでみたい」と多くの関心が集まっている。

「写真集」のタイトルは『山形市内における地蔵の赤衣』。その通り、山形市内のお地蔵さんの写真と服装の解説が書かれているもので、山形市の東北芸術工科大学が主催する芸術祭「山形ビエンナーレ」に関連した展覧会「現代山形考-新・郷土史の編み方:成果発表展」で展示されている。展示のために作られ、頒布していないためこの一冊のみだ。

興味深いのはその内容だ。お地蔵さんと言えば、赤い布のよだれかけや帽子を被っている姿を想像する人も多いだろう。だが君島さんによれば、山形市内のお地蔵さんは全身を覆うような服を着ていたり、僧侶の着衣や袈裟を着ていたりといった特徴があったのだという。

君島さんTwitterより。お地蔵さんたちは、全身を覆うように赤い布を被っている

君島さんの投稿を見たTwitterユーザーからは「素晴らしい、そのまま民俗学資料になる」「お地蔵さんのファッションという視点が斬新」「写真集を読みたい。どう解説されているのか気になる」などの声が集まっている。

日本学術振興会特別研究員である君島さんに、「お地蔵さんのファッション」に着目したきっかけなどを伺った。

お地蔵さんの「赤布」は疫病除けの意味がある

「お地蔵さんのファッション」に着目したきっかけは。

新型コロナウィルス感染症が流行する中で、新聞などの報道でマスクをつけたお地蔵さんが話題となりました。このような報道をうけて「マスク地蔵」についての論文を執筆したのですが、その論文を執筆するなかで、地蔵の前掛けや頭巾に用いられる赤い布も疫病除けの意味があるとわかりました。

そこで地蔵のファッションにおいて赤系のものがどの程度あるのかを調べ始めました。

調査結果を「写真集」にまとめられた経緯は。

山形市の東北芸術工科大学が主催する芸術祭「山形ビエンナーレ」に関連した展覧会「現代山形考−新・郷土史の編み方:成果発表展」で展示するためです。

「現代山形考」では、山形を中心にフィールドワークを行い、山形の郷土史だけでなく、地形や建築、疫病などについても学び、これらの知識を踏まえて、各自がテーマを定めて、調査・研究を進めて発表を行っています。


山形市のお地蔵さんは「全身を覆う着衣が多い」「僧侶の着衣や袈裟を身につけている」とのことですが、他地域のものと並べて大きな特徴になるのでしょうか。

全国すべてを調査したわけではないので断言はできませんが、これまで私が各地のお寺を訪ねてきた中で、「ファッション」と言えるくらい、全身を覆う着衣を身に付けた石のお地蔵さんが多く集まっている地域は山形市以外にはありませんでした。

なぜ、僧侶の袈裟をつけているのかなどはこれから調査を進めていきたいと思っております。

君島さんの展示がある「現代山形考」の会期は11月23日(火曜・祝日)までなので、お近くの人は訪れてみて欲しい。

また、写真集に掲載されているお地蔵さんの写真が君島さんのInstagramに投稿されている。こちらも23日まで公開とのことなので、関心のある人はお地蔵さんの服装を眺めてみては。

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