作業療法士が作った「片手で開けられるペットボトルオープナー」に購入希望が殺到!込められた思いを聞いた

フタが開けられなくて困っているあらゆる人に
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作業療法士の川口晋平さん(@dMiJeGygKZy2NXh)が考案、作成した「ペットボトルオープナー」がTwitterで話題になっている。広まったきっかけは同じ作業療法士で大阪府立大学の竹林崇(@takshi_77)さんが「今まで使ったペットボトルオープナーの中で一番良い」と投稿したこちらのツイートだ。

オープナーの製作には3Dプリンターが使われている
突起部分を利用してクルクルと回すとキャップが開く

実際に開けている動画を見てみると、ペットボトルのキャップにはめ、クルクルと回すだけで不思議なくらい簡単にキャップが開いている。

ツイートが拡散されると、当初メルカリで販売されていたものはあっという間に売り切れに。さまざまな原因から片手が使えない、握力が弱くなったという人や家族からの購入希望が殺到したのだ。

購入して実際に使った人たちからは「素晴らしいアイデア商品」「とても便利」「キャップを開けるのに苦労していたのでありがたい」「もっと広まって欲しい」など、川口さんへの感謝の声が集まっている。

トゥギャッチ編集部では川口さんに、ペットボトルオープナーを作ったきっかけなどについて伺ってみた。

ペットボトルの開閉に困っている患者さんの声から発案

考案のきっかけはどんなことでしょうか。

脳卒中後に片麻痺(身体の片側の手足が麻痺してしまう症状)を受傷された方に対する回復方法や、彼らが幸せに日常生活を暮らすためのさまざまな方法について、大阪府立大学の竹林教授と約10年前から一緒に研究しています。共著論文もあります。

患者さんから、片手が使えなくて困っている動作としてよく挙がってくるのが「ペットボトルの開閉について」です。なんとか、使いやすい手のみで簡単に開けられるようにできないかということが、2人の間でよく議題に上がっていました。

私は元来、物づくりが得意でしたので、ペットボトルオープナーを考案して3Dプリンターで作った試作品を竹林教授にテストしていただきました。試してみた実感ですが「市販品で売られている従来品よりも明らかにキャップを開けるのに必要な力が少なかった」とのことだったので、竹林教授がTwitterにて公表しました。

開発にあたって、苦労したポイントはありましたか。

中心のペットボトルのギザギザとオープナーの噛み合いの寸法の調整です。片手で入れやすい寸法にすると、数回使っただけで空回りしたり、逆に噛み合わせを強くすると今度はキツすぎて片手で入れられなくなったりしたので、ここを調整するのに苦労しました。

作業療法士の仕事と聞くと、まず思い浮かぶのは病院でリハビリを行ったり、生活での動作ができるよう支援したりといった内容だが、こうした道具づくりの研究開発も仕事の一環。そして近年3Dプリンターが普及したことで道具づくりのハードルやコスト減につながっているのは間違いないようだ。

以前は木工で自助具や訓練道具など作製していました。3Dプリンターがあれば図面さえ描ければあとは自動で出来上がるので、患者様の障害に寄り添ったものがより簡単に作れるようになったのではないかと思います。

生活を診る作業療法士の武器として、もっと普及してもらいたいですね!

「ペットボトルオープナー」そのものは市販品が多数発売されているにもかかわらず、川口さん作のものが支持されているのは、ひとえに「どれよりも片手で簡単に開けられる」ところにある。作業療法士だからこそ考えられた工夫が生きたプロダクトなのだ。

現在、製作したものは随時BASE とメルカリ(ユーザー名:めや)にて販売しているとのこと。売り切れの場合でも、BASEとメルカリ内で再出品時に通知が届くのでぜひフォローして欲しいとのことだ。知人や家族で片手の動作に困っている人にすすめてみては。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。