「名古屋めし」アレンジクッキング ういろうをワッフルメーカーで焼いてみたら新しいおいしさを発見した

愛知出身ライターによる新たな「名古屋めし」の開拓
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こんにちは。愛知県出身のライター、米田梅子です。


地元大好きな筆者は上京して約7年。故郷を偲んでヒマがあれば愛知県に関するキーワードをWeb検索したり、愛知県企業のTwitterを覗いては情報を噛み締めている。


そうしていると、あることに気づいた。

かけ味噌や台湾ラーメン、小倉トースト、そしてういろうなど、名古屋の名物料理「名古屋めし」をアレンジする試みが個人・企業を問わず、じわりじわりと増えつつあるのだ。


慣れ親しんだ料理から、新たな料理を生み出す。そこに既存の料理に対するリスペクトの精神と、名古屋めしへの愛を感じる。なによりめちゃくちゃ楽しそう。


よし、名古屋めしアレンジ、私もやろう。やり場のない故郷愛を創作意欲として爆発させるぞ。

そこで思いついたのが、名古屋土産「ういろう」をワッフルにした料理、略して「ういッフル」。ういッフルを作り出すまでの過程をご紹介する。

「ういろう」は焼くとやわらかくなる

ういろうとは主に米粉・小麦粉・砂糖を混ぜ合わせ、蒸した和菓子。

小豆やさくら、抹茶など味の種類はさまざまで、基本的に細長い角柱状で販売されている。

コンパクトだがずっしり重い。

ういろうのアレンジ料理は既に多く存在していて、特に有名なのがういろうを焼いた「焼きういろう」だ。

焼きういろう

焼きういろうは、名古屋土産「青柳ういろう」で有名な青柳総本家が、2020年に開発。

強い弾力を持つ本来のういろうからは想像もつかないほどやわらかく、もちもち・ふわふわな料理である。

ういろうを焼くという点で、焼きういろうは既に完成されたレシピ。

これを参考にして、ういろうワッフル、略して「ういッフル」を作ろう。


お茶碗にこびりついた米粒のような硬さ


焼きういろうの作り方を参考にしつつ、ワッフルメーカーで焼けば、ういッフルができるはず。

こんなにかんたんでいいのだろうか。そう思っていた時期が私にもありました。

まずういろうを厚めに切る。

味にはさまざまなバリエーションがあるが、今回は代表的な「白」味をチョイス。

「白」は、主な原料である米と砂糖の素朴な味わいが特徴である。

説明がむずかしいが、三色団子や「すあま」に近い味だと言えばなんとなく伝わるだろうか。

つづいて、切ったういろうを油をしいたワッフルメーカーにのせる。

青柳総本家 公式のレシピでは、焼くときの油に米油を使っているので、私も米油を用意した。多分サラダ油などでも普通にできると思うが、お米原料のお菓子ということで米油との親和性が高いのだろう。


準備はこれだけ。

ういろうの厚みに一瞬抵抗があったものの、ワッフルメーカーはスムーズに閉じた。

蓋をしめてスイッチおん。まもなく「キュー」やら「ジュー」と音がして、室内にミルクを煮詰めたような甘い香りが広がった。


数分後、音が小さくなったところでオープン!

嫌な予感がする

開けた瞬間、瞬間的に「掃除したくないな」と思った。

辛うじてワッフルの形を保ってはいるものの、ういろうが鉄板にこびりついてしまっているではないか。その粘着力は想像以上に強力で、瞬間接着剤で指をくっつけた時のようだ。

自信満々だっただけに、絶望感もひとしお。成功を疑わず、初手でふたつもういろうを乗せた数分前の自分を殴りたい。

鉄板から必死に剥がしたういろうのかけら。

張り付いたういろうをちびちびスプーンや箸で剥がしてみる。剥がれたかけらを食べてみると、ややカラメルのような香ばしさがあり、カリカリとしていた。指先ほどのサイズでも、通常のういろうよりも甘味を強く感じる。

やわらかな甘さ・もっちりとした食感が特徴のういろう本来の面影はないものの、これはこれでおいしい。


ワッフルとしては失敗だが、「成功したら絶対おいしいやつ」という確信は強まった。

次は「型通りにきれいに剥がす」を目標に、ういッフル作りを続行することにした。

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