コミケ100で会場をどよめかせた「マンボウの干物」 作成した研究者に狙いを聞いてみた

マンボウ(魚類)研究一筋15年!マンボウ愛が止まらない
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8月に開催された「コミックマーケット100(以下、コミケ)」で、マンボウの干物が展示されたブースに注目が集まった。

え!?300,000,000(3億)円!?
付属のコメントは優しいがお値段は優しくない(編集部により画像を加工)

出展ブースにドーンと掲示されたマンボウの干物。背後のに座る方の頭をすっぽり覆い隠すほどの大きさ。アジやサバなど、一般的な魚の干物は日常的に見る機会があるが、そもそも生きている姿も見る機会が少ないマンボウとこんな形で遭遇する機会があるとは。

ちなみに、干物のお値段は「3億円」。一応?売り物のようだ。

コミケならではともいえるユニークな展示に、見た人からは「やはりこういう出会いがあるからこそコミケは面白いですね」「マンボウの干物!!!??普通、おかげ横丁位でしか見れないよ!!??」といったコメントが相次いだ。

こちらのブースの主は、マンボウ研究者の澤井悦郎(海とくらしの史料館特任マンボウ研究員)さん。マンボウのことが大好きで、日々マンボウの研究に明け暮れているプロのブースとして、これほどぴったりな看板もないだろう。

澤井さんが運営している『マンボウなんでも博物館』より

マンボウの干物について、詳しく話をうかがってみた。

マンボウの干物は自作

マンボウの干物はご自分で作られたのですか?

マンボウの干物は私が作りました。

マンボウの研究をしているので、講演会などに持ち運びができる実物が欲しいなと考えていました。スーツケースに入るギリギリの大きさの個体を漁師さんから入手することができたので、調査が終わった後に表皮を残す形で解剖し、この干物を作成しました。

コミケで干物を展示しよう思ったきっかけは

マンボウは水族館で見ることはあっても、触れる機会がなかなかありません。

講演会や同人誌即売会などのイベントに持って行き、お客さんに実際に触ってもらってどんな感じか体験してもらっています(今回のコミケはコロナ禍ということもあり、おさわり厳禁にしましたが)。サイエンスコミュニケーションの一環ですね。

今回はコミケ第100回目という記念だったので「C100でマンボウを見た!」という伝説が作れたらいいなと思って持って行きました。

お値段3億円のワケ

マンボウの干物を購入・もしくは自作するとなった場合、どれくらいの費用がかかりますか?

マンボウの干物を購入するとなると、高いと思います。大きさにもよりますが、1万円以上はするのではないでしょうか(実際、私は過去のイベントで1万円で売ったこともありました)。

マンボウは魚体丸ごとの入手がなかなか難しい魚ですが、小さな個体だと漁師さんに頼めば安く売ってもらえることもあります(数百円~数千円くらい)。費用としては、自作するほうがはるかに安いです。

そうなると、気になるのはコミケで掲示されていた3億円の値札。澤井さんが過去に参加したイベントをたどると、その値段はだんだん上昇しているようだ。

2017年時点では100万円だったみたい

お値段3億円の理由は?

この干物も最初は1万円くらいだったと思いますが、『タモリ倶楽部』に出演したことで、一気に付加価値が上がって1億円くらいになりました。

その後も、この干物がテレビやラジオに出て有名人とコラボするたびに付加価値が上がり、今は3億円になっています。

干物としての学術的価値だけでなく、著名人の目に留まるほどインパクトがある、という付加価値も考えれば3億円も納得だ!

マンボウの干物を見た人の反応のなかで、最も印象が残ったエピソードを教えてください

もう5年以上前の過去のイベントになりますが

「これ欲しい!」

と言って、ブースの前で母親に土下座を始めた少年がいたことですね。

Amazon.jp

澤井さんはマンボウに関する児童向けの著書も執筆されている。マンボウのことを知らない大人が読んでも楽しめそうだ。

また澤井さんは『マンボウなんでも博物館』というマンボウの情報を発信するサイトも運営している。澤井さんがふだんマンボウのどんな研究を行っているか詳しく掲載されているので、干物をきっかけにマンボウについてもっと知りたくなった方はのぞいてみては。

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書いた人
しのむ

トゥギャッターオリジナル記事編集部のライターです。

甘いものとスーパー戦隊を愛するアラフォーです。