食事が難しい患者さんに緩和ケア医師がすすめる「ガリガリ君」その理由を聞くと
もしも病にかかってしまったとき、最期に食べたくなるもの、食べられるものはなんだろうか? そんな疑問に対する一つのアンサーを示してくれたのは、緩和医療専門医の廣橋猛(@hirohashi_med)さん。
みんなに知って欲しい🧑⚕️
緩和ケアは末期の人だけの医療ではないということ。
がんや心不全など、生命を脅かす様々な病を抱える患者や家族の、つらさを和らげる医療なんだ。
病気の進行は関係ない。どんな病状でも、つらさを我慢していたら治療とうまく向き合えないはず🤲
だから緩和ケアを避けないで‼️
— 廣橋猛@二刀流の緩和ケア医 (@hirohashi_med) 2022年10月11日
普段コンビニやスーパーで当然のように目にする「アレ」に着目したツイートが話題を呼んでいる。
体力が弱って飲み込みが悪くなり、食事が難しい終末期の患者にとって、救いの神がこれ。
ガリガリ君
味が分かりやすくて美味しく、固いけどサッと溶けて口に含みやすい。患者さんも笑顔になる。
病院の売店に必ず置いておいて欲しい
赤城乳業さん、日本緩和医療学会とコラボしませんか?
@akagi_cp https://t.co/IRk5jEYBiF
— 廣橋猛@二刀流の緩和ケア医 (@hirohashi_med) 2022年11月5日
子どもから大人まで誰にでも愛される「ガリガリ君」が、噛んだり飲み込んだりしにくくなった患者さんにおすすめだという。たくさんある食品の中から、どのようにして「ガリガリ君」がベストだという答えにたどり着いたのだろうか。廣橋さんに話を聞いてみた。
ソーダ味を食べた患者さん「とても美味しかった」と笑顔に
どのような症状の患者さんを診ていますか?
病院や自宅で過ごされている進行がん患者さんと接することが多く、なかには病状が進行し歩くことができなくなり食欲も落ちてきてしまった患者さんもいます。
患者さんそれぞれが抱えている痛みに対して適切に医療用麻薬を使用し痛みをやわらげ、穏やかに過ごせるように治療をしています。
「ガリガリ君」が患者さんの食事にぴったりだと気付いたきっかけは?
ある男性の入院がん患者さんが、嚥下(えんげ)する力の低下によって誤嚥性肺炎を繰り返し、食事をすることができなくなってしまったんです。
彼は点滴を打って過ごしていたのですが「どうしても何か食べたい」と言うので、これなら食べられるのではないかと思いガリガリ君(ソーダ味)を食べてもらうことにしたんです。
自分で食べるのは難しいので、お椀に入れて小さめに砕いたものを口に運びました。すると、意外にも上手に食べることができ、笑顔で「とても美味しかった、もっと食べたい」と求めてきたんです。たくさん食べると痰が絡んでしまうので、様子を見つつ、慎重に量を増やしていきました。
ガリガリ君を食べている時の笑顔、そしてその様子を見つめるご家族も嬉しそうで、本当に良かったと感じた経験でした。
発売元の赤城乳業さんとコラボするとしたら何を作りたいですか?
「ガリガリ君」は硬めで味もサッパリ、かつ濃いめの分かりやすい味なので、口が乾いて味覚が鈍っている末期患者さんの食事に適しています。
ただ、大きいため自分で棒を持って食べるのは難しいので、小さめの個包装で一口大の「ガリガリ君」があるといいなと思います。味というより、少しでも栄養も摂りたいという患者さんの気持ちにも配慮して、ビタミンやアミノ酸などを含んだ製品もあるといいですね。
コラボできるならば、日本緩和医療学会の会員にアンケートをとるなどの対応もできると考えています。
他の食品でおすすめはありますか?
「ガリガリ君」以外だと、患者さんには「アイスの実」が人気のようです。
「少しでも栄養を摂りたい」と、オロナミンCのような栄養飲料を凍らせて砕いて少しずつ食べている方もいます。
廣橋猛(hirohashi_med)さんの、どんな状態になったとしてもおいしいものをおいしく食べてほしいと願う気持ちが産んだアイデア。ガリガリ君を病院の売店に常備すること、そしてもちろん、赤城乳業さんとのコラボ実現にも期待したいところだ。