「僕が本好きになった原点」27年前におばあちゃんが作ってくれたオリジナル絵本から学んだこと

「何度も何度も読んだ宝物」
0

Twitterに投稿された、おばあちゃんが自分のために作ってくれたオリジナルの絵本に注目が集まっている。

作者の名前の下に書かれた(おばあちゃん)が味わい深い
登場するのは幼き日のほんじまさん

こちらの絵本は、投稿者のほんじま(@honjima1228)さんのお祖母さまが、絵やストーリーをはじめ、すべてオリジナルで創作したもの。

絵本の主人公はほんじまさんで、さまざまな動物たちとプールを楽しむ様子が水彩画でイキイキと描かれている。

 

何度も読み返されたであろう絵本は、紙がすこしだけ黄色くなっている

投稿をみた人からは、そのクオリティの高さに「絵もお上手ですが、優しく温かなおばあ様のお人柄が伝わってきます」「タイトルの『プール』が水滴で滲んでるのが凝ってますね~」と称賛のコメントが寄せられている。

「僕が本好きになった原点」「何度も何度も読んだ宝物」と語るほんじまさんに、贈られた絵本や今でもしげく続いているというお祖母さまとの交流について、詳しい話を聞いた。

思春期にツラいことがあると読み返していた

お祖母さまはどのような経緯で絵本を作られたのですか?

もともと祖母は、ことあるごとに市販の絵本を贈ってくれる人でした。物語を愛する人で、私がまだ物心つく前から古今東西の絵本を読み聞かせてくれていたそうです。

絵本を作ったとき、祖母は水彩画を習いだした頃だったと後に聞きました。本を贈ることや手紙を書くことが好きだったので、「絵本を作って孫とコミュニケーションをとろう」という気持ちだったんじゃないかなと思います。

また、しょっちゅう絵を添えた手紙を送ってくれました。「どこどこの山に登った」「家の庭に○○って鳥が来た」など、近況を知らせる文とともに絵が描かれていましたね。

どんな時に、どんな気持ちでこの絵本を読んでいましたか? 

もらった当時は1歳と幼かったので記憶もおぼろげですが、毎日読む絵本のレパートリーの1つに加わったことは覚えています。

物語の世界に自分が存在していて、自分だけの世界がそこにあるような感覚が不思議で面白く、またうれしくもあり、ページがすり切れるまで何度も何度も読みました。

ほんじまさんの人生を支え続けている一冊

恥ずかしいですが、いわゆる思春期にちょっとツラいことがあると読み返していました。

絵本について、お祖母さまに感想を伝えたことはありますか。

祖母にはっきりと感想を伝えられたのは大学生の時です。文学部に入ったんですよ。

自分がその進路を選択をしたのは確実に祖母の影響だと思っていましたし、感謝の言葉とともに「あの絵本のおかげで物語のおもしろさを知った」というようなことを伝えたと思います。

祖母は「英才教育の甲斐があったわ」なんて少し冗談めかして言っていましたけど、うれしそうにしていました。

他にもお祖母さまから影響を受けたと感じるポイントはありますか。

「物語」を作ること、文章を書くことの心地良さを教えてくれたのも祖母でした。

祖母は俳句もやっていて、私が大学生の頃に「同じ俳誌に投句しないか」と誘ってきたんです。それで何度か同じ号の俳誌に祖母と孫の私の句が載りました。  

成人してから恩返しじゃないですけど、祖父母を主人公にした短編小説を書いて贈りました。2、3日後に電話がかかってきて、「二人で交互に音読し合ってる」なんてうれしそうに報告してきたので、少しは孝行ができたのかなと思います。

物語の創作意欲は受け継がれていく

今も祖母とはたまに手紙を送りあったり電話したりして、最近面白かった本の話題などを共有しています。この記事の報告をしたら第一声になんて言うか、今から楽しみです。

ほんじまさんに物語の面白さを教え、後の人生の選択にも影響を与えた一冊の絵本。
お祖母さまの物語への愛情、さらには人への温かな愛情の注ぎ方が感じられる素敵なエピソードだった。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。