@hinoe_uma2 煙草を燻らせながらエッベは笑う。しかし、場の札に目を遣ると、再び口をへの字に曲げた。白い髪だけを酒場の熱気に揺らすクヴァシルの前に、硬貨を滑らせる。 「畜生、あんたの総取りかよ」 幸先悪いな、と溜め息をつくエッベとマグニ。
2016-07-17 06:36:58@hinoe_uma2 相変わらずの無表情で、白きオルガノンは思念だけを笑うように揺らした。
2016-07-17 06:37:24塔の前にて
#狼の足音 #狼一行塔登り 塔の足元。見上げれば天を衝かんばかりの高さまで聳え立っている。頂には瘴気とも呼べる雲が立ち込め、塔自身が発する禍々しき光でそれは黒紫色に染まっていた。 「しかしまァ、登るだけでもいい運動になりそうだなァ」
2016-07-17 16:57:53@hinoe_uma2 見上げながら早くもうんざりとした表情で言うのはマグニである。年寄りにゃこの高さは辛いぜ、と髭の下でぶつくさと零す。エッベは笑いながらその肩を叩いた。 「そう言うなって。これの報酬は三人で山分けだ。終わったら美味い酒が飲めるぜ」
2016-07-17 17:02:07@hinoe_uma2 初老のドヴェルグは鼻からふんと息を吐いた。なんのかんのと言っても約束通り、登る気はあるようだ。 《……金か。そんなにたくさん必要なのか?》 何の表情も浮かべず首だけを傾げるクヴァシル。そりゃあな、とエッベは頷いた。
2016-07-17 17:08:44@hinoe_uma2 先の大戦での戦果により、彼は巨額の報奨金を手にしている。それでも、既に半分以上は諸々の費用に消えていた。先立つものは幾らあっても困ることは無いのだ。それに。 「これから入用なんだよ……いろいろとな」 どこか照れ臭そうに頬を掻く。
2016-07-17 17:14:07@hinoe_uma2 さあ行くか、と毛皮の外套を翻した。快活な研究員から薬瓶を受け取ると、エッベを先頭に扉の前に立つ。重厚な扉を押せば、その手応えは外観にそぐわず、重い。不吉な不協和音を立てて開くそれ。冷えた石の匂いに鼻先をひくつかせながら、薄暗い内部へと足を踏み入れた。
2016-07-17 17:19:56塔攻略 1階
……では、改めましてこんばんは! 担当研究員です。みなさん、本日はお忙しいなか、お集まりいただきありがとうございますっ! 臥塔エテメナンキ――グランクレスト大戦の熱も冷めないうちに転がり込んできた、新たな厄災。 #GCE公式
2016-07-16 23:52:35数度、攻略者さんが乗りこみましたが、それでも最上階への到達はならず……あるひとは逃げ戻り、あるひとは戻ってくることさえ叶いませんでした。でも私は、今回の攻略こそ成功すると信じております。 #GCE公式
2016-07-16 23:53:221.
【危機】床が一部脆くなっていたらしく、崩れ落ちた。穴から抜け出すことはできたが、HP-6、SP+5。 #GC_Etm #狼の足音 #狼一行塔登り twitter.com/twbcdice/statu…
2016-07-17 07:12:23@hinoe_uma2 #狼の足音 #狼一行塔登り 足が沈んだ。硬いはずの石床に。 「え?」 みしみしと音がする。まずいと思ったその瞬間、がご、と音がして足元のタイルが崩れ去った。 「うわっ」 空いた大穴に落ちるエッベ。
2016-07-17 07:25:04@hinoe_uma2 しかし身の軽い彼のこと、難なく体勢を整えて穴の底に降り立った。やれやれ頭上を仰ぐ。 「ちょっ」 眼前に迫る影に絶句した。目に飛び込んできたのは、ドヴェルグの大きな尻。 「がっ」 防御体勢を取る間も無いまま、その尻圧に押し潰された。
2016-07-17 07:28:58@hinoe_uma2 彼らドヴェルグは、背は低いが横幅があり、硬い筋肉で全身が覆われた種族である。見かけよりも重量があり、その体重は人間を軽く超す。その一撃をまともに食らったエッベは鼻血を噴きながら仰向けに倒れた。腹の上へのボディプレスをおまけにして。
2016-07-17 07:36:10@hinoe_uma2 踏まれた蟇蛙のような声と共に、肺の中の空気を全て吐き出した。 「痛ってえ……」 鼻血を拭いながらふと気付く。もう一人後ろに付いて来ていたよな、と。更なる衝撃。掛かる重量。若者の腰が、みしりと鳴った。
2016-07-17 07:42:212.
【戦闘/戦功8】エッベ@連合は村落の近くで敵部隊と遭遇。民に被害は出るが地の利を優先して村を戦場にするならHP-5、SP+6。村に近付けまいと奮闘するならHP-9、SP+11。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #グランクレスト大戦 #GC_Etm
2016-07-18 00:27:11@hinoe_uma2 #狼の足音 #狼一行塔登り 崩れた床の大穴から、どうにかこうにか這い出した一行。エッベは痛めた腰を叩きつつ、次の区画を目指す。曲がり角の直前で、彼の鋭敏な聴覚が音を捉えた。何よりも馴染み深い音――剣戟の響き。 「戦いか!」 外套を翻して駆けて行く。
2016-07-18 00:52:58@hinoe_uma2 喜び勇んで、という形容が似合うその様子に、マグニとクヴァシルはやれやれと顔を見合わせ、後に続いた。 足の遅い二人が――というよりはエッベが速過ぎるのであるが――曲がり角を回り込んだその刹那、何かが飛んできた。避けた二人の間を掠めて壁に叩き付けられる。
2016-07-18 00:59:21@hinoe_uma2 それは黒装束を纏った男であった。早くもエッベは交戦を始めていたのである。多勢に無勢とも言える数の、黒装束の群れを相手に。 「パンドラの連中だとよ!」 飛び掛ってきた一人の鼻面を拳で張り飛ばしながら、狼面の若者が吠える。
2016-07-18 01:07:07@hinoe_uma2 見れば、壁際にへたり込む傷だらけの一団。先に入った攻略者であろう。すまないと掠れた声で呟く冒険者然とした姿の男に、エッベは声だけで答えた。 「放っとくわけにもいかねえだろ。――ってことで、悪いけど手伝ってくれ、二人とも」 追い付いた二人に視線で振り向く。
2016-07-18 01:11:19