- walpurgis_marry
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「次、我に相対する勇士は如何なる哉。この神火の末裔、力(炎)と技(剣)を以て汝に応えん」 かのような宣誓を残し、くちなわは宴の席を辞した。 ――ついでにごっそり酒を抱えながら。
2016-08-09 16:48:55「楽しみにしている」 くちなわにそう告げて、去りゆく背を、勿体なそうに眺める。 「ずっと君と斬り合いでも、好いのだがな」 手元の刀にそうこぼし、扉へ。 「……次に殺り合う奴 覚悟しとけよ。俺は戦を楽しめる戦狂いよ。ちょっとの刃じゃ届かせねえ」 振り向き、笑う。そして、退出した
2016-08-09 20:00:58「本当にお酒が好きなのですね」 くちなわ、と名乗った女性が酒瓶を抱えて去っていくのを見送り、微笑する。 「我ら闇の者、言葉より力を交わし、互いを知るが道理と私も心得ます。であれば私も、今日はこれで失礼致します。明日も良き出会いであることを、祈っております」
2016-08-09 18:02:15がじ、がり。 ――ひょい、すっす。 もぐもぐ 「美味い」 いつまでたっても切れない肉に対して口をへの字にしていたが、人形がナイフで切り分けるとあっという間に解決した。 美味なる肉を味わい、しばし堪能する間に去る者がいくつかいた。 ようやく飲み込めた頃合いには半分になってしまった。
2016-08-09 20:51:56「せっかちなこと。妾も強き者は求めるし戦いも吝かではない、が妾はじっくり見たいわ」 同性や候補者が消える合間に声を掛けられんのも、肉に夢中になっていたせいでもある。 「催し物や"つがい"になる殿方を拝めただけでも今は良い」 手を合わせて勝手に納得し、勝手に結論付けた。
2016-08-09 20:52:12「それはそれとしてリーズヴォルプ。そなたの角もまた美味だった。あれは良い栄養になりそうよ。 あぁ、それに吸血鬼の公の味はさぞ喉越しが良いかもしれないし、武人の腕は食いでがありそうだわ」 先の通り"つがい"探しもさることながら、食事好きの悪食屋は、馳走ばかりでは腹も膨れない。
2016-08-09 20:53:53ジタはちまちまとワインを飲みながら、出て行く姿を見送る。スッ、とマリアの姿を目で追いつつも、言葉をかけることはなかった。 ——と、思いがけない言葉。目を瞬く。それをしかと理解したとき、ジタは吹き出して、楽しげに笑った。 「俺の血? 面白いことを言うね」 異端の血を欲しがるなんて。
2016-08-09 21:47:52同族にも居ないんじゃない? なんて、くつくつ笑いながら、葡萄酒を煽る。 「どんな味がするかはわかんないけど、やめといた方がいいと思うよ」 笑った唇はそのままに、真白を細めて、 底の見えぬそれはただただ真意を読ませず、妖しく光っていた。
2016-08-09 21:48:00なぜだろう。突然噴出されたのにはさすがに首を傾げた。 久しく人と話していないせいか、悪食《グルメ》な自分がおかしいのだろうか。 そして彼は口にする。面白いと。 「同族ではないからね。それに異端というならレアでしょう。ゲテモノほど美味かもしれないわ」
2016-08-09 22:45:29少なくとも、葡萄酒よりは面白そうな味がしそうなもの。妖しく怪しく輝く彼が人。 歯ごたえのある鹿が人も良かったが、あぁ中々どうして食欲をそそる。 鋭くもない歯を見せて笑む。褐色の肌と対比して、その歯のいと白きこと。
2016-08-09 22:46:09――料理の後には供物を欲す。王に捧げる貢物を寄越せ。 本能(ほんたい)が囁き疼くものの、深く息を吸うことで抑え込んだ。 「吸血鬼のジタ。あなたとも――それにヤマナとも食い合いが出来れば良いけど」 あるいは鹿の彼とも食えれば。あれは正しく"死ぬほど美味"であった。
2016-08-09 22:47:33「まだまだ妾は談笑に耽りたいが、皆と同様に妾(わたし)も吾(わたし)の英気を養わないと。 また会おう。夜が明けた後か、また夜に」 殿方二人に会釈をし、ローブの先を摘まんで礼を。 あぁ、これで会っているだろうか。淑女の真似事は完璧だろうか。
2016-08-09 22:47:57ヤマナとくちなわ、ジタとマリアが戦っていたのか、と彼らの会話と態度で知る。 …やはり少し早急すぎたかの、と退出するのを見送りながら、 「…う、うむ?褒められているんじゃろな、それは、うむ。……その、なんだ、味を褒められるというのは流石に初めてだの。驚いた」
2016-08-09 23:32:32肉ならまだもうちょっと戸惑わずにいられただろうか。それを想像するだけでもちょっと背筋が冷えるが。……よくよく考えてみると、これまで自身へ食欲を向けられたことはなかったな、と彼は思う。今回が初である。……よく挑発じみたことを言ったりしたものだ、と思い返してしみじみと息を吐いた。
2016-08-09 23:32:58次があったとき、またああ言えるかはちょっと自信がない。 明日の相手はどちらだろうか、と見送ったうちの二人を思う。どちらが相手でも特段何が変わるわけでもないと思考を打ち切って、もう一つ林檎を取りかじりつく。 ……やはり少し早急すぎたかもしれない。
2016-08-09 23:33:33後悔は後からするもので、つまりは後の祭り、思ってももう仕方のないことなのでこれ以上考えても無意味であるとは承知の上でそう思う。だって久々なのだ、もっと言葉を交わしたいというのは本心だったし、でもそれだけでは足りない、力を交わしたいとも思うのもやっぱり本心だ。
2016-08-09 23:33:54「……せめて友ぐらいにはなりたいのー」 色々と考えて、最終的に出たのはそんな一言だった。色々と考えすぎて、脈絡はどこかへ行っていたし、ついでにそれを声に出して言っていることに彼にはさっぱり自覚がなかった。 それから林檎を平らげてジタへ話しかける。
2016-08-09 23:35:52「…その。揃ったばかりであったのに、済まぬ。もっと貴方も語らいたいことがあったろうに。貴方だけでなく他の皆も」 くちなわは今宵は此れで充分と言った。マリアも言葉より力をと。でもアルティメットはもっと話をと言ったし、彼はどちらも取りたかった。我儘のようなものと承知の上で彼は言う。
2016-08-09 23:36:50…ひとりは多分気楽だった。こんなことを考える必要はなかった。先のことを考える必要もなくて、でもそれだけではとても、とても。再び言葉を交わすことを共に力を振るい合うことを知ってしまった以上ひとりにはもう。 「我はもう少し此処に居ようと思うが、」 そこまでで言葉を切った。
2016-08-09 23:37:47三つ目の林檎を掴みながら、引き止めたいわけでもないけれど、何か話をするのなら。…自分が聞いてどうするのかとかは思う。思うけれども。
2016-08-09 23:37:58「『食い合い』ねえ。ははっ、楽しみにしてるよ」 くつくつ笑いながら、ジタは笑いながら、アルティメットを見送る。あまり食事をする趣味がない自分にしては珍しく、楽しみで愉快だった。 そうして、リーズヴォルプの言葉に目を瞬く。また小さく吹き出した。 「何、何。気を遣ってくれてる?」
2016-08-09 23:53:28珍しいなあ、とか、不思議だなあ、と思いながら、林檎を食べる彼を見遣る。なんで謝られたのか見当もつかなかった。 「気にしないでいいよ。わかりやすくていいじゃない、みんながどんな奴なのか」 また葡萄酒を一口飲む。ジタは気にしてないし、どちらでもよかった。力だろうと、言葉だろうと。
2016-08-09 23:53:34ジタはただ流れに身を任す。それが他の起こす流れか、自分が起こす流れかくらいは気分で選ぶが。常にそうやって生きてきた。気分屋なのだ、つまるところ。それでいて、自分が不快でなければなんでもよかった。 「んー、じゃあ、俺も居ようかな。君と話すのは楽しそうだ」
2016-08-09 23:53:39