小坂井敏晶『責任という虚構』読書メモ集

小坂井敏晶『責任という虚構』(東京大学出版、2008)の読書メモをまとめました。
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荒木優太 @arishima_takeo

精神分析と行動主義は二〇世紀前半から心理学界で勢力を奮ったが、これらの学説はどちらも人間の主体性を否定する。ひとの行動を根本で規定するのは精神分析学にとっては無意識であり、行動主義では条件反射だ。by小坂井敏晶『責任という虚構』

2016-08-09 14:21:56
荒木優太 @arishima_takeo

ミルグラム実験で人間が割と酷いことをすることは分かったけど、じゃあ、そんななかでも酷いことを拒否できる条件を見つけ出す実験というのは誰かやったのだろうか。むしろ、そっちの方が大事じゃ…。

2016-08-09 14:25:25
荒木優太 @arishima_takeo

「両親からの遺伝は単なる外的要因の結果にすぎない。化粧や整形手術による美貌の方が、その原因がより直接に本人の意志と結びつけられるので、因果関係からみると自分の美貌をより誇れるはずだが、そうはならない」(小坂井敏晶『責任という虚構』)。確かに。

2016-08-09 14:35:31
荒木優太 @arishima_takeo

いや、それはそうなんですけど、それをひっくり返して、じゃあ残酷なことをやってしまわない(しまえない)「環境や命令」はどんなものなんだろう?というのが私の疑問です。 twitter.com/fathom500/stat…

2016-08-09 14:39:23
Chihiro @fathom500

@arishima_takeo むしろ彼の一連実験の教訓は、残酷なことをする人としない人にパーソナリティに違いがあるわけではなく、ごく一般の人が、環境や命令次第で残酷なことをやってしまうことを明らかにしたことにあると思います。

2016-08-09 14:33:54
荒木優太 @arishima_takeo

「影響されると言う時、外力が働かない限り自己同一性を保つ存在としてすでに我々は人間を表象している。しかしそのような同一性はどこにもない」(小坂井敏晶『責任という虚構』)。うん、でも「同一性はない」って書く小坂井さんの同一性はある…っていうか信じてるんじゃないの?とか。

2016-08-09 15:40:19
荒木優太 @arishima_takeo

「アメリカ合衆国のタカ派検事は、死刑判決を躊躇する「弱気」な裁判官を批判し、自分自身で死刑執行に立ち会おうとした。しかし執行の場面を実際に見たらもう二度と死刑を求刑できなくなるからやめた方がいいと殺人課の刑事に諭され諦めたという」(小坂井敏晶『責任という虚構』)。へぇー。

2016-08-10 18:19:55
荒木優太 @arishima_takeo

意志とは、ある身体運動を出来事ではなく行為だとする判断そのものだ。人間存在のあり方を理解する形式が意志と呼ばれるのだ。人間は自由な存在だという社会規範がそこに表明されている。by小坂井敏晶『責任という虚構』

2016-08-11 12:39:28
荒木優太 @arishima_takeo

自由だから責任が発生するのではない。逆に我々は責任者を見つけなければならないから、つまり事件のけじめをつける必要があるから行為者を自由だと社会が宣言するのである。by小坂井敏晶『責任という虚構』

2016-08-11 12:52:06
荒木優太 @arishima_takeo

「他者との比較を離れて私自身が本当に必要とするところを知るためには〈一般意志)〉ーーこの発想はロールズ『正義論』における無知のヴェールに相当するーーに問いかけなければならない」(小坂井敏晶『責任という虚構』)。ロールズにとってルソー意外と大事って言ってた人いたよな。誰だっけ。

2016-08-11 22:50:35
荒木優太 @arishima_takeo

ロールズの想定する公正な社会では最下層に生きる人間にもはや逃げ道はない。社会秩序が正義に支えられ、階層分布の正しさが証明されている以上、自分が貧困なのは誰のせいでもない、まさしく自分白身の資質や能力が他の人より劣るからに他ならない。by小坂井敏晶『責任という虚構』

2016-08-11 23:00:22
荒木優太 @arishima_takeo

神の死によって成立した近代でも、社会秩序を根拠づける〈外部〉は生み出され続ける。虚構のない世界に人間は生きられない。by小坂井敏晶『責任という虚構』

2016-08-11 23:03:12
荒木優太 @arishima_takeo

「責任という虚構。大切なのは根拠の欠如を暴くことではなく、無根拠の世界に意味が出現する不思議を解明することだ」(小坂井敏晶『責任という虚構』)。まあ言いたいことは分かるんだけど、で、解明したからなんなの?とは思わずにはいられない。

2016-08-11 23:06:26
荒木優太 @arishima_takeo

「~は虚構!」系論者に対する根本的な疑問は、その虚構が不可避的なものならば、その暴露ってあんま意味なくって、後続する「だから」がなきゃ駄目な気がするんだよな。「虚構は避けがたいんだけど、虚構のタイプを替えることはできる、タイプにはABCとあって、Aは…」みたいな記述。

2016-08-11 23:14:34
荒木優太 @arishima_takeo

たしか、ロールズの講義録でのルソーに着目した日本の論考があったと思います。それ以上のことはちょっと忘れてしまいました。 twitter.com/abpathologos/s…

2016-08-11 23:16:04
荒木優太 @arishima_takeo

本の一番最後のセンテンスなので、きっと著者渾身のドヤ顔だと思います。 twitter.com/matsurara/stat…

2016-08-11 23:17:22
荒木優太 @arishima_takeo

「~は虚構!」系論者が往々にして行き着く先は、要は宮台的アエテなんでしょ? でも、アエテとガチって実は行為の上では峻別できないから(大澤真幸「アイロニカルな没入」)、単なる自意識の空転しかもたらさないんじゃないの、って疑問があるわけで。

2016-08-11 23:20:40
荒木優太 @arishima_takeo

小坂井敏晶『責任という虚構』読了。アイヒマン裁判、死刑制度、自由と因果論、ロールズ批判と、色んな話があるので刺激は受けたが、他方「なんでこの話がここで?」という疑問は残った。特に第六章の政治哲学論+岩井貨幣論が割と謎。まあ責任論が近代論でもあるからなんだろうけどさ。

2016-08-11 23:30:51