北日本新聞 社説「子宮頸がんワクチン〜安全性が問われている」全文

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子宮頸がんワクチン／安全性が問われている｜北日本新聞ウェブ[webun ウェブン] webun.jp/item/7302775

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国が 接種を 呼び掛けた 子宮頸がんワクチンを 打ったら、全身の 痛みや しびれなどの 副作用を 起こしたとして、全国の 10、20代の 女性 60人余りが 先月下旬、東京、大阪など 4地裁に 一斉提訴した。

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中には、自力で 歩けなくなるなどの 重い 症状を 訴えている 人もいる。

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厚生労働省は、接種の 呼び掛けを 3年前の 2013年に 中止し、再開については「科学的に 判断する」としている。

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再開を どうするかも 問題ではあるが、厚労省は まず、副作用を 訴えている 人たちと 真摯に 向き合い、因果関係を 明らかにすることが 重要だ。

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接種による 副作用を 訴える 人が 大勢いて、訴訟にまで なったのである。

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「接種と 副作用の 因果関係」という 根本的な 問題が 科学的に 解明されなければ、呼び掛け再開は あり得ない。

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そもそも、厚労省が ワクチンを 承認した 段階で、がん予防の 有効性と 安全性が 十分 確かめられていたのか、あらためて 検証する 必要もあろう。

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行政は 得てして、接種呼び掛けなど、いったん 下した 判断を 問い直すことを 嫌う 傾向がある。

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メンツがある上、過失や 不備が あったとされれば、責任を 問われることにもなるからだ。

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だが、何よりも 求められるのは 安全性である。

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たとえ、がん予防に 効果があるとしても、それ以上の 重い 副作用があれば 使うべきではない。

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子宮頸がんワクチンは 09年 10月に 厚生労働省が 承認し、12月から 国内販売が 始まった。

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翌 10年 11月に 公費助成を 始め、13年 4月からは 小学6年〜高校1年の 女性を 定期接種の 対象とし、計 339万人が 接種を 受けた。

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だが、健康被害を 訴える 人が 相次ぎ、接種の 呼び掛けは 13年 4月から 6月半ばまでの 約2か月で 中止された。

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厚労省には 今年 4月までに 2945人から 副作用の 報告があった。

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県内では 12年度までに 延べ 約2万3千人、13〜15年度に 延べ 2878人が 接種を 受けた。

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うち 11人に 副作用が 出ている。

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2か月で 呼び掛けを 中止するなど 異常な 状況だったにもかかわらず、厚労省の 専門部会は 中止から 7か月後、副作用は 注射の 痛みや 不安を きっかけに 症状が 現われた「心身の反応」という 一つの 見解を 示した。

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これでは 副作用を 訴える 患者や 家族らが 納得できないのも 当然だ。

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岡山大学の 津田敏秀教授も「他の 予防接種では、子宮頸がんワクチンについて 報告されているような 症状が ほとんど 観察されず、精神的要因だけでは 説明できないと 考えざるを得ない」と 指摘している。

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中学2年で ワクチンを 接種した 埼玉県新座市の 18歳の 女性は 接種直後に 体調が 急変し、突然 意識を 失ったり、手足を 激痛が 襲うようになった。

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十数か所の 病院を 回ったが、原因不明と 言われるばかりで、5年たった 今も 症状が 改善していない。

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接種の際に 聞かれたのは、どちらの 腕に 注射を 打つかだけで、副作用の 危険性についての 説明は 全く なかったという。

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こうした 人たちの 訴えに 応えることが、国の 最低限の 責務である。