三浦英之記者による南アの「狩猟ビジネス」の実態

朝日新聞アフリカ特派員の三浦英之氏が南アで行われているハンティング用動物の養殖についてレポートする。楽しみの為に殺す動物を生み出すことに対する倫理性、それが野生動物保護にも役立っているという実務性。是非について簡単に結論は出ない。
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三浦英之 「太陽の子」に新潮ドキュメント賞 @miura_hideyuki

①南アフリカで続くライオンの「養殖」。目的は野に放ち、ハンティングの標的にして撃つためだ。人間は動物の命をどこまで弄べるのか。「自然大陸」アフリカのリアル(現実を正確に伝えるため、一部写真は業者パンフレットを接写・加工して使います) pic.twitter.com/23GKsVHpGI

2016-09-10 23:16:57
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三浦英之 「太陽の子」に新潮ドキュメント賞 @miura_hideyuki

②南ア北部のベラベラ近郊。広大な私有地の一角に電気柵に囲まれた巨大なおりがある。飼育されているのはライオン約220頭。生後4カ月で親から引き離され、繁殖に向かなくなったライオンはハンティングの標的にさせられる pic.twitter.com/B8TC1wY09e

2016-09-10 23:19:03
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③電気柵で囲った広大な私有地にはキリンやシマウマなど約4万頭。南アでは国立公園でのハンティングは禁止だが、私有地ではOK。客はガイドを雇い、銃やボーガンで動物を撃つ。年約150人が来る。6割が米国、3割が欧州、1割が中国からだ pic.twitter.com/dS4IVnY8yJ

2016-09-10 23:21:53
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④業者のパンフレットには、仕留める動物ごとに料金が設定されいる。シマウマ(約12万円)、キリン(約35万円)に比べ、ライオンは高額。メスで約70万円、オスだと約185万~約500万円。ライオンは予約後、ハンティングの前に野に放たれる pic.twitter.com/1godH1766u

2016-09-10 23:31:25
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⑤アフリカの野生ライオンは約3万頭。過去20年間で3割減った。一方、南アでは約6千頭が200以上の施設でハンティングで撃つために「養殖」されている。ライオンを含めた国内のハンティング業界規模は数百億円に膨れ上がっている pic.twitter.com/hfYBI8edgE

2016-09-10 23:35:07
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⑥取材に応じた業者は「ハンティングはアフリカの文化だ。牛や鶏を食べ、ワニや小動物を殺してバッグや毛皮を作っているのに、なぜライオンだけがダメなのか。禁止すれば野生ライオンの密猟が増え、生息数が減るだけだ」(写真はパンフレットを加工) pic.twitter.com/mJPpOoT6DI

2016-09-10 23:37:46
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⑦非難は強まりつつある。きっかけは昨年7月。隣国ジンバブエの国立公園で「セシル」という人気ライオンが、米歯科医に射殺された。セシルを保護区外へおびき出して殺害。非難を浴びた歯科医は「約600万円払っており合法」と主張し論争に発展した pic.twitter.com/3yyoblnfRT

2016-09-10 23:40:18
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⑧同時期、南アのジャーナリストがハンティング用のライオン養殖の実態を暴いた映画「ブラッド・ライオン」を公開。狭いおりで多数のライオンを飼育する様子や、殺すライオンを事前にネットで選んでからハンティングに挑む仕組みなどが報じられた pic.twitter.com/PjKlIjUQVM

2016-09-10 23:43:11
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⑨ジャーナリストは「先住民は肉を食べ、身を守るために狩りをしていた。ハンティングはアフリカの文化なんかじゃない。遊びで動物を殺しているだけだ」。NGOは「ライオンを銃で『殺す』ために飼育する。あまりにも無慈悲で残酷な行為だ」 pic.twitter.com/e4e14LDmcx

2016-09-10 23:46:34
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⑩でも私は正直今回の取材で自分の明確な立ち位置を持てなかった。どう考えてみても、ライオンを銃で撃つためだけに養殖していいわけがない。命を弄んでいる。娯楽として殺されるためだけに生まれ育てられる動物を思うと胸が張り裂けそうになる pic.twitter.com/sSb37AeLbk

2016-09-10 23:51:15
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⑪一方調べてみると、ハンティングが資金を生み、野生動物の保護に活用されているのもどうやら事実だった。業者が言うように、ライオンの剝製に需要がある以上、養殖をやめたところで野生ライオンの密猟が増えるのは、象牙などの例を見る限り確実だ pic.twitter.com/QTGycHT48O

2016-09-10 23:52:43
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⑫私は牛や鶏を殺して食べている。業者は言った。「殺される側にしてみれば、食べられるためだろうが、ハンティングのためだろうが、死ぬのは同じだ」。批判派ではなくむしろ肯定派の主張の方に人間としての業を感じる。私は明確な反論を持てなかった pic.twitter.com/R18cr7hEUU

2016-09-10 23:55:02
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⑬かつて読んだ手塚治虫の『火の鳥』(生命編)を思い出す。未来では人間がクローンライオンを作りだし、銃で撃って楽しんでいる。そのうちライオンでは物足りなくなり、クローン人間を作ってハンティングを楽しもうとする pic.twitter.com/n1M4MMW6U5

2016-09-10 23:58:24
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⑭しかし依頼者は「鳥」に自らのクローンを作られてしまう。殺されるためだけに生み出されるクローンの絶望を知り、依頼者はクローン工場を爆破する。確かそんな内容だった。ライオンに限れば、現実はもう手塚の世界に追いついている pic.twitter.com/KIuyDsEyYg

2016-09-10 23:59:17
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⑮RADWIMPSの「おしゃかさま」を聴く。youtu.be/7MaF-bWeLGw「もしもこの僕が神様ならば/全てを決めてもいいなら/7日間で世界を作るような/真似はきっと僕はしないだろう」。本当にその通りだと思う(終) pic.twitter.com/1JIdAb5wI0

2016-09-11 00:01:40
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