ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? その3

ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? その1 http://togetter.com/li/805920  ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? その2 http://togetter.com/li/1001720
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iPatrioticmom @iPatrioticmom

【ICRPの内部被曝評価モデルは合っているのか? その3】 その2 togetter.com/li/1001720 でTe132/I132の壊変数を試算しましたが、血液配分の違いがどのくらい線量評価にに影響しそうか、日本人のボクセルファントムの重量に基づいて試算&考察しました。

2016-10-02 09:13:02
iPatrioticmom @iPatrioticmom

使用したデータは「平均的成人日本人男性ファントムを用いた光子及び電子比吸収割合の評価」jolissrch-inter.tokai-sc.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-D… Table C-4 とC-5です。組織IDごとに、血液(C-4)とbody tissue(C-5)がどれだけ割り当てられているかを示しています。

2016-10-02 09:14:38
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1. 血液の配分について Table C-4とC-5から、日本人男性ファントム(JM-103)の各臓器に配分されている血液とbody tissueの重量と割合を転記し、比較しました。docs.google.com/spreadsheets/d…

2016-10-02 09:42:17
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現行モデルでは血液がbody tissueの重量に応じて配分されていますので、血液よりbody tissueの割合が多い=血液が過大評価となっている臓器をピンク、body tissueの割合が少ない=血液が過小評価となっている臓器をブルーで表示しました。まとめるとこうなります。 pic.twitter.com/HyLQ79SBas

2016-10-02 09:19:11
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筋肉、脂肪、骨といった組織加重係数の小さい臓器が5割弱過大評価となり、肝臓、肺、心臓と大動静脈内の血液と小腸壁で約4割過小評価になっています。 肝臓、肺の血液配分を変えて、心臓と血管の等価線量を評価すると、Te132/I132の線量は現在より高くなりそうです。

2016-10-02 09:20:10
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なお、63の大静脈内容物の血液配分は1%になっていますが、ICRP89ではLarge Veinsが18%となっていますので、これよりかなり多いはずです。 pic.twitter.com/0VuGgNWo4P

2016-10-02 09:21:29
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2.骨の血液配分について 骨格にはJM-103もICRP89も血液全体の7%が配分されています。現在はbody tissueとして骨全体に均一に配分されていることになりますが、ICRP89をみると赤色骨髄が4%、骨梁が1.2%、皮質骨が0.8%、その他骨格が1%です。 pic.twitter.com/8fEzfehguh

2016-10-02 09:23:19
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骨の構造は、この図のように骨髄の中央に血管が通り、毛細血管がはりめぐらされているようです。血液が骨格全体に均一に分布することを想定すると、赤色骨髄が過小評価となるのではないでしょうか? pic.twitter.com/YygLRdyG5V

2016-10-02 09:25:02
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赤色骨髄 4%、梁骨1.2% 皮質骨1% その他0.8%(ICRP89 Table2.14) に分布している血液が、均等に分布すると想定されていると、赤色骨髄が6割過小評価になり、他が平均で6割過大評価になると思われます。飛距離の短いβ線は特に影響が大きいのではないでしょうか。

2016-10-02 09:26:54
iPatrioticmom @iPatrioticmom

さらにICRP89によると、骨髄のうち造血が行われる赤色骨髄の割合は年齢によって大きく異なります。新生児では100%が赤色骨髄ですが成長するに従ってinactive(黄色骨髄)が増え、成人男性では約3割です。成人の赤色骨髄の血液配分が4%なら、乳幼児や子供はもっと多いはずです。 pic.twitter.com/yg7HzUOzI5

2016-10-02 09:29:52
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現在のファントムでは骨の構造まで再現されていませんが、赤色骨髄と血管を再現して血液配分を正しく評価すれば、血液→赤色骨髄の吸収線量は、特に子供では現在より大幅に上がるのではないでしょうか。

2016-10-02 09:31:01
iPatrioticmom @iPatrioticmom

以上により、最初のまとめtogetter.com/li/805920?page… は、「ぱとり仮説②原発周辺での小児白血病の増加はリンパ組織の内部被曝の影響である」としていましたが、「赤色骨髄中の血液で壊変する短半減期核種の影響である」に変更します。

2016-10-02 09:32:31
iPatrioticmom @iPatrioticmom

原発近隣での小児白血病の増加が、放射線に原因があるのかその他の要因かで議論になっていますが、赤色骨髄中の血液の壊変分を正しく評価すれば説明がつくかもしれません。ATOMICAにも骨髄は放射線感受性が非常に高いと書いてあります。rist.or.jp/atomica/data/d…

2016-10-02 09:33:25
iPatrioticmom @iPatrioticmom

I132についで半減期の短いI135(6.57時間)とI133(20.8時間)の血液コンパートメントでの壊変数を計算すると、I135は44-45%、I133は26-27%となりました。 pic.twitter.com/CYhfhY7wiZ

2016-10-02 09:37:27
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原子炉爆発直後からプルームが拡散したチェルノブイリでは、I133、135の影響もあると思われます。チェルノブイリでも事故後数年間、小児白血病が一時的に増えたようです。kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKEN…

2016-10-02 09:39:28
iPatrioticmom @iPatrioticmom

正しい血液配分に基づいて計算すると線量評価にどのくらい影響がでるかは、ファントムを精緻化して計算してみないとわかりません。 この分野の専門家におかれましては、ぜひ赤色骨髄中の血液、血管と心臓の評価を検討してくださいますよう、お願い申し上げます。(以上)

2016-10-02 09:41:13