ASDのある人の職域開拓~「単純な業務」「煩雑な業務」「複雑な業務」の違い~

知的な遅れのないASD(高機能自閉症・アスペルガー症候群)のある人の職域開拓について考えました。
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

10月9日にすごろくやでアナログゲーム療育講座の中高生・大人編が予定されているので、近頃は高い年齢・知的能力の人のことを考えている。特に就労面での職域開拓について、身近な事例から一つ気づきがあったのでご報告したい。gameryouiku.com/2016/09/10/%E3…

2016-10-03 20:10:14
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

家の近くのコンビニに、夜間、ASDと思しき男性の店員さんが働いている。年の頃は30代半ばといったところ。ご本人に聞いたわけではもちろんないが、目をあわせない、機械的で変化しないトーンの話しぶり、ロボット的な独特の角ばった動作から、ASD特有の傾向が顕著に伺える。

2016-10-03 20:14:21
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

この店員さんの接客や動きは、一般の人にはある種の奇異さを感じさせるに充分なものと思われるが、そのことが業務遂行上の妨げになっていない。飲食業の接客ならともかく、誰もコンビニの店員さんに「常識的な目遣い、言葉遣い、身体挙措」などは求めないからだ。そしてこの店員さんはミスがない。

2016-10-03 20:16:47
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ご存知のようにコンビニの仕事は、通常の小売店で必要とされるレジ打ちや品出しのほか、公共料金の振込や宅急便の受け渡し、店舗設置型のIT端末関連の精算、タバコやおでんのように客の要望に応じて必要な商品を提供するなど、極めて多岐にわたる。

2016-10-03 20:20:06
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

発達障害のある人の就労でよく言われるのは、彼らは複雑な業務は苦手でありできるだけ単純な業務を割り当てねばならないという考えだが、コンビニの複雑極まりない業務をロボットのようにテキパキとこなしているこのASDと思しき店員さんを見ると、一概にそうとも言えない気がしてくる。

2016-10-03 20:23:27
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ASDの人は本当に複雑な業務が難しいのか。そんなことを考えているうちに、ある一冊の本に出会った。「誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる」。この中にある職業の分類がヒントを与えてくれた。 amazon.co.jp/dp/4862760368/…

2016-10-03 20:37:46
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

この本では業務には3つの分類があるとしている。「単純な業務(クッキーを焼く)」「煩雑な業務(ロケットを打ち上げる)」「複雑な業務(子どもを育てる)」。この分類は、発達障害の中でもASDの人の職域を考える上で、特に示唆に富む。 p.twipple.jp/W0eIX

2016-10-03 20:45:11
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

単純な業務とは手順も明確で実行もたやすいようなクッキーを焼くような業務。煩雑な業務とはロケットを打ち上げるような実行は極めて大変だが手順自体は明瞭な業務。複雑な業務とは、子育てのように内容が多岐にわたり、しかも前回上手くいった方法が今回も上手くいくとは限らない業務だ。

2016-10-03 20:48:55
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ASDの人は、状況や相手によって業務内容が変わる企画や営業などの「複雑(complex)な業務」は難しいかもしれない。だがコンビニ店員のように、多様な業務を行うが一つ一つの作業手順自体は明らかになっている「煩雑(complicated)な業務」なら、可能どころか得意かもしれない。

2016-10-03 20:54:36
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「煩雑な業務」という見方を入れてみると、ASDのある人の職域について新しい展望が開けてくる。たとえば、ASDの人は対人接触を伴う仕事が難しい言われる。しかし、コンビニ店員のように対人接触を伴うとはいえその作業がとことんルーティン化されているなら必ずしも難しくないのではないか。

2016-10-03 20:59:51
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

飲食店の積極も、ルーティンに落とし込むことができないわけではないが、コンビニ店員に比べれば一人ひとりの顧客とのコミュニケーションが頻繁であり、その分だけ予期せぬ対応を要求されるという点で、より「複雑な業務」に近いと言える。

2016-10-03 21:04:21
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

発達障害のある人は複雑な業務は難しい、単純な仕事でないとできないと思われがちだが、一旦そう思ってしまうと、どうしても職域が限定される上、業務内容が単純=代替が効くわけだから低い賃金しか見込めなくなってしまう。

2016-10-03 21:14:42
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

だが、発達障害のある人には難しいと思われている「複雑な業務」を、さらに「煩雑な業務」と「複雑な業務」に切り分けてみることによって、「煩雑な業務」の側に新しい職域開拓の可能性を見いだせるのではないかと思う。

2016-10-03 21:15:18
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

障害者雇用では、「レジ=接客」であり「発達障害の人は接客できない」と思われているので、レジできるとなると評価は高くなりますね。「レジができるんだからお客様に商品のご提案もできるよね」とかなっちゃうと厳しいですが。すこしずつステップ踏んでいけるといい。@makumaan

2016-10-03 21:30:20
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

ポイントはそこですね。マニュアルから外れた対応は他のスタッフが対応すると言うのは徹底しないと難しい。だからおっしゃるとおりワンオペは難しいですね。@ykura

2016-10-03 21:40:59
ホンソメワケベラ @mouse_1365

自分の経験の範囲では、ASDある子はコンビニの接客は割とできる。セリフ決まってるし、客として見たことあるからイメージしやすい。商品も馴染みがある。躓き易いのは、暇なときの同僚との関係と、真面目なのでどんどんシフトに入れられて断れず過労になる点。急に行けなくなったり。 twitter.com/gameryouiku/st…

2016-10-03 21:56:32
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

あっそうでした。今年芥川賞の「コンビニ人間」がまさにこうしたあたりのことを書いてるみたいで。一度読んでみないとですね。 twitter.com/add_designer/s…

2016-10-03 22:06:39
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

そうなんだよねー。まあ先程は業務の性質の話をしたけど、「仕事」は「業務」だけで成り立っているわけではない。同僚との関係もそうだし、疲労のコントロール(適切な勤怠管理が必要)が関わってくる。そうした部分を配慮するのに障害枠の制度はやはり必要だと思うんだな。

2016-10-03 22:10:38
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

あともう一つはキャリアアップの問題で、これはまさにさっきの「煩雑な業務」と「複雑な業務」の話だよね。平社員のうちは、大変だけどルーティングが決まってた「煩雑な業務」が、管理職になった瞬間、マネジメントという「複雑な業務」を任されるという。

2016-10-03 22:12:45
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

あと発達障害のある人が「マニュアルがないと仕事できない」というのは思い込みかもしれない。一度確立した方法が相手や状況の変化によって使えなくなることが難しいのであって、一つの方法を確立してそれを淡々をこなしていくような仕事は向いている可能性がある。

2016-10-03 22:19:00
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

私の知ってる高機能ASDの人で、造船所で働いていて、自分だけの机を与えられて船を溶接する小型ロボットの修理を担当している人がいる。修理のマニュアルはなくて、その人は自分で修理方法を編み出して今では工場にはなくてはならない存在になってる。

2016-10-03 22:23:11
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

この人の場合、機械の種類と壊れ方のパターンが一度わかってしまえば、それに応じた修理法も開発できた。この場合、機械の種類と壊れ方が限られていることが重要で、業務内容に一定の再現性があればマニュアルがなくても能力を発揮できる、ということ。

2016-10-03 22:25:52
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

フロアスタッフの場合は、「複雑な業務」に要求される臨機応変さも去ることながら、姿勢の悪さや挙措動作のぎこちなさ、発声などがスムーズでないなどの身体的な課題も大きそうですね。@makumaan

2016-10-03 22:28:17
kosequrage @kosequrage

仕事で考えると ・「複雑」な業務 =ある業務に複数の別の業務が入り組んで成立(単純の反対) =マルチマスク→ディレクション、マネージメント方向 ・「煩雑」な業務 =幾つもの手順を経ることで成立 =連続シングルタスク→専門的な方向 twitter.com/gameryouiku/st…

2016-10-04 01:10:45
ょっ🍩ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ @Donu4t

同感です。 「福祉的な魂」は企業に受け入れられることは少ない。 一般企業への就労定着支援では、いかにそこに配慮の人手を割かなくて済むか、の具体的な提案を求められる。 見守りの人手と企業の理解だけを求めるジョブコーチや就業定着系の事業所は3ヶ月後には歪みが出る印象。 twitter.com/gameryouiku/st…

2016-10-04 08:44:26