食物系与太話まとめ

食物に関するクソツイートが貯まってきたので自己まとめにしました。 かにかまについては単独まとめがありますので、そちらもどうぞ。 http://togetter.com/li/946245
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さんかく @File_Snake

「それからどうなったって、葬式はちゃんとやったよ。あんまり変わり果てた姿だったもんで、棺の蓋はぴったり閉じられてたけどねえ。身内はあたしだけだったもんで、通夜の夜は一人で明かした。心ならず夭折した姉だもの、ちゃんと供養してやりたい。でもこれじゃ骨も残らないじゃないか」

2016-04-17 21:06:17
さんかく @File_Snake

「その時あたしはふっとおかしくなったのさ。器量良しの姉だったもの、ちょいとふやけたくらいじゃ味も変わらないんだね。骨は勿論残らなかったよ。骨壷には灰が少し入っただけでね。妹さんのこと、大事にしてやりな」

2016-04-17 21:08:46

「カプリコのあたま」について

さんかく @File_Snake

切り落とされたあたまを探して夜な夜なさまようカプリコの体

2016-08-24 20:12:03
さんかく @File_Snake

「カプリコのあたま、を落とした後のことを知っているかい」あたまを失くしたカプリコは化ける。きちんと供養もされぬままに切り落とされたあたまを探し、夜な夜な彷徨うカプリコのからだ。瘴気を放つそれを討ち取った武芸者は刀を捨てて僧形となり、カプリコ塚を建立し手厚く弔ったのだという。

2016-08-24 20:18:32
さんかく @File_Snake

「人間は変わらんものだ。あたまを失くしたからだがどうなるか、からだを求めるあたまがどう思うか、知らぬはずはあるまいに。カプリコは怨むよ」そう語るそれの名を問うてみれば、その姿はおりしも吹き抜けた風に溶け、おれはメロンパンの身だといういらえと、甘い臭いを遺して消えた。

2016-08-24 20:24:23
さんかく @File_Snake

田舎のおじいちゃんって「あたまを落としたカプリコはからだだけで3mも走る」みたいな話喜々としてするよね

2016-08-24 21:06:45

食物×食物同人誌と聞いたので

さんかく @File_Snake

つゆ「クックック……油が浮いてきやがったぜ……そろそろモロモロになってきたんじゃねえか?」 かき揚げ「この……どす黒い醤油汁め……!」 うどん「おやおや、そんな事を言っていいのかい?あんなにサクサクだった衣がふやけてきてるぜ?」 つゆ「バラバラになる前に食っちまわねえとな!」

2016-10-01 23:34:08
さんかく @File_Snake

目玉焼きは自らの溢れさせた黄金の雫に、嫌悪と驚異の目を向けた。今まさにこの瞬間まで、その滴りを己が内包していることさえ目玉焼きは知らなかった。卵黄は米粒の一粒一粒に染み渡り、ごはんは清い白米に二度と戻れなくなった恐怖と、己がいかに美味かを思い知らされる感動に慄いた。 #食物同人誌

2016-10-02 00:01:03
さんかく @File_Snake

豚肉は汁に沈み味付けされ、しどけなく揺蕩っていた。生卵は激しく憤った。己が包むものは肉親にも等しい、かの鶏肉以外にないと信じていたのだ。しかし鍋に流し込まれたその瞬間、卵は熱に抗えなくなった。卵と豚肉は否応なく絡み合い、諸共にご飯の上に流しだされ、他人丼となった。 #食物同人誌

2016-10-02 00:12:21
さんかく @File_Snake

溶けて消えていくことを考える。根気強く煮込まれ続け、醤油の香りの中、躰がゆるゆると、しかし確かに輪郭を失ってゆく。穏やかにとろけてゆく思考の最後のひとひらが、汁に溶けて消えたその後も、牛すじの存在を、香りを、その味わいまでも、蒟蒻は覚えていてくれるに違いない。 #食物同人誌

2016-10-02 01:14:57
さんかく @File_Snake

カレーで煮込めばなんでも食える。油で揚げればなんでも食える。つまりカツカレーとは香辛料の誤魔化しと油脂の暴力がせめぎ合う混沌の坩堝に他ならぬ。見よ、麻薬の毒を含むカレーの香気、脂を吸い脂を包むとんかつの衣を。カツカレーとはソドム。人類を犯す悪徳。何よりの美味である。 #食物同人誌

2016-10-02 01:29:09
さんかく @File_Snake

お揚げさんと酢飯は狂おしく睦み合った。お揚げさんは酢飯を抱いて、素うどんとして生きる道を知りながら己を載せる、忠実なうどんを思った。お揚げさんに包まれ酢飯は、胡瓜や魚肉やカンピョウや、自分無くして有り得ない寿司のことを考えた。おいなりさんは甘い罪悪感を内包していた。 #食物同人誌

2016-10-02 01:55:21

その他

さんかく @File_Snake

本日あなたが書く文章は、「時々叫ぶうどん」が登場する恋愛小説の冒頭です。がんばって! #お遊びで書いてみよう shindanmaker.com/664963 何言ってんだこいつ

2016-09-27 09:28:30
さんかく @File_Snake

昔々この地方では、うどんが川を遡る季節になると、家族が一冬食べていける乾燥うどんを作るため、家族総出で追い込み漁をしたという。そんな時代は遠い昔。今では川は埋め立てられ、人々はうどんが元々動物だということさえ知らない。あの夏休み、うどんの鳴き声を聞きたくて、僕達は二人で家出した。

2016-09-27 19:32:53
さんかく @File_Snake

近縁のかにかま目やちくわ目では見られない、かまぼこ目に特有の性質として板食いがある。かまぼこは基質に穴を開け、そこに根を張るようにして固着する性質を持つ。夏のかまぼこ繁殖期に基材となる板を海に流し、浮遊幼生期のかまぼこを定着させたものは、かまぼこ種苗として用いられる。

2016-08-21 20:17:12
さんかく @File_Snake

食用になるかまぼこではこの性質が利用される一方、非食用かまぼこ類による船底や橋などへの被害は大きな問題となっている。かまぼこは着底の際、基質に穴を開けるため、貝類やフジツボなどと比較してもその被害は深刻であり、大型化する種が繁殖すれば著しい害をもたらすのである。

2016-08-21 20:25:28
さんかく @File_Snake

ういろう採掘には長い歴史がある。ういろう鉱脈が走る地域には、ういろう採掘夫の暮らす集落が幾つも作られた。餓え死ぬ心配のないういろう採掘夫は人気の職業だったが、病気や事故で若くして死ぬ者が多く、特に塵肺と糖尿病は職業病であった。ういろう採掘夫の平均寿命は40歳に達しなかったという。

2016-06-23 19:54:00
さんかく @File_Snake

そばがきは寄生生物であり、本来の宿主でない人間に捕食された場合、体内で寄生場所を探して移動し、脳や重要な臓器に迷い込んで危険である。きちんと茹でないと危険なので、燃料が不足する時代は嫌われた。この危険を解消する新しい食べ方、そば切りが開発され、初めてそば文化が全国に広まった。

2016-10-02 20:35:11
さんかく @File_Snake

宇宙ずんだのずんだという名はかつての地球で食されていた嗜好品に由来するそうだが、それはもう今は昔。今ずんだといえばパレイン星系のズンダケラの誘惑腺から採取される、緑色の幻覚物質のことを指す。

2016-07-31 21:26:34
さんかく @File_Snake

本来宇宙ずんだとは地球のずんだを宇宙食として加工したものを指しており、今の宇宙ずんだの名はまだずんだに馴染みのあった地球人によって洒落的に呼ばれ始めたことが始まりとされているが、己の体を宇宙植民のために作り変えた新人類にとっては本来の宇宙ずんだも地球ずんだも、最早食用に適さない。

2016-07-31 21:56:11
さんかく @File_Snake

人類の変化に伴って滅びた多くの地球文化と同じように、文献の中にのみ残るものとなるはずだったずんだの名は、奇妙な運命のいたずらによって生き延びている。その本来の姿を知るものはどこにもいないけれども。

2016-07-31 21:59:11