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鎌倉市図書館の【時々の鎌倉のお話】終わっちゃった体育の日にちなんで(笑)「鎌倉遠馬」のおはなしです

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鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

ふと気づいたら体育の日が終わってました。以前はどこの学校もこれくらいの時期に運動会だった気がします。(今はそうでもないらしいですが)。今月の【時々の鎌倉のお話】は終わっちゃった体育の日にちなんで(笑)「鎌倉遠馬」のおはなしです。

2016-10-11 14:35:58
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

鎌倉遠馬というのは江戸時代、18世紀の半ばくらいから盛んに行われた馬術鍛錬のひとつで、江戸から鎌倉まで、馬で一日で行って帰ってくるというものです。最初は将軍家しかできませんでしたが、後に許可をとれば大名家もできるようになり、流行しました。

2016-10-11 14:36:17
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

江戸から鎌倉まで、果たしてどれくらいで行って帰ってこれるのでしょうか?当時の馬は日本の在来馬なわけで、走力を推しはかるのは難しいそうなのですが、だいたい時速15~20キロくらいのようです。

2016-10-11 14:36:33
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

当時の記録をみると、江戸~鎌倉間の道のり(直線距離でなく)が約70キロとあります。単純計算なら片道4時間ほどですが、休憩したり、渡し舟に乗ったりしますので、もうちょっと時間がかかります。

2016-10-11 14:36:57
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

たとえば文政2年の蠣崎さんの記録ですと、江戸下谷の松前藩邸を午前4時に出発→午前9時に鶴岡八幡宮に到着して、お参りして休憩→午後4時帰着。

2016-10-11 14:37:20
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

この人、次の日も同じ馬で鎌倉遠馬をやってまして、2日目は午前4時出発→午前11時鶴岡八幡宮に到着・休憩→午後8時過ぎ帰着。二日連続で同じ人が同じ馬で来るなんて初めてだ!あなたは偉い!と神主さんに大いにほめられたそうですが、馬が気の毒すぎる気が…(-ω-;)

2016-10-11 14:37:43
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

さて、この遠馬のルートにあたる村々も大変なんですよ。ちゃんと前もってお触れが出るんですね。「馬の口洗い水を用意して、人を一人つけておくこと」「渡し場には船を用意してすぐ乗れるようにしておくこと」

2016-10-11 14:38:07
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

「竹や木の茂っている所はちゃんと刈っておくこと」「道の危ない場所には竹に赤い紙をつけて「ここ危ないですよ~」とわかるようにしておくこと」「道を聞かれたら間違いのないよう答えること」(笑)。…今のマラソンとほとんど変わらない!

2016-10-11 14:38:25
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

この鎌倉遠馬、娯楽の要素が強いんじゃないの?という感じもしますが、江戸時代も後期になると落馬を怖がって馬に乗るのを嫌う若武者もいたそうです。やっぱり武士に必要な鍛錬だったのでしょうか?

2016-10-11 14:38:49
鎌倉市図書館 @kamakura_tosyok

参考文献:『甲子夜話』『宝暦現来集』(『鎌倉市史 近世近代地誌紀行編』所収),『鎌倉の武士と馬』(「馬の博物館研究紀要第12号」),『図説鎌倉年表』文政二年二月十四日条 ほか

2016-10-11 14:39:09