#ダークエルフ王国見聞録　その７

へどばん👊🏽皇牙組 @Ero_Thrasher

「上機嫌の酔いどれオークが樽の上で手拍子を浴びながら踊っていると、ドスリとその眉間に弓矢が突き刺さり、樽の上から転げ落ちます。オーク達は、広場を囲む周りの樹や屋根の上に、ダークエルフの戦士達が弓矢や杖を構え、自分たちを狙っていることに気が付きました」 #ダークエルフ王国見聞録

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「ハーブの香り袋を身に付け、獣の生皮をかぶって匂いを消した戦士達は一斉に矢や魔法を放ち、オーク達を一網打尽にしました。大斧を振るうオークの頭目も、勇敢な戦士が討ち取り、その醜い首をすっぱり刎ねてしまいました。里の者達は大喜びで、知恵者を讃えました」 #ダークエルフ王国見聞録

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「夜が明け、里の者達は頭目の大きな首を杭にぶら下げて運び、オークの巣穴に向かいました。二度とこの穴が使われぬ様、入り口に頭目の首を晒し、穴の中に蓄えられていた沢山の宝物や白エルフの奴隷女達を持ち帰って村に平和と繁栄をもたらしました。めでたしめでたし」 #ダークエルフ王国見聞録

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初めはオーク達の蛮行を聞いて怯えた表情を浮かべていた少女は、次第に知恵者の働きに感心したり、同族の勝利を喜んだりするうちに穏やかな表情を浮かべ、安心しきった表情ですやすやと眠りに着いた。こちらも安心した笑みで女家長は彼女の横から立ち上がる。 #ダークエルフ王国見聞録

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知恵者の怪物退治という、民話ではしばしば認められる類型の物語ではある。とはいえ、それぞれ誇張はされているのであろうが、ダークエルフ達の他種族に対する認識や、戦いでは知恵を巡らすべきこと、虚言は身を滅ぼすことなどの教訓が含まれていることは興味深かった #ダークエルフ王国見聞録

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オークが匂いに敏感で繁殖力が高いことをダークエルフ達が警戒していることは明確に表現されているし、エルフに対する“戦いに消極的な臆病者”という侮蔑意識も感じられる。ふと思いつき、隣で松毬を黙々と剥いている女戦士に、物語のオーク退治について尋ねてみる #ダークエルフ王国見聞録

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「まぁ、オークとて見え見えの罠にはまる程、馬鹿ではあるまい。子供らに知恵を巡らせることの大事さを伝えるためのお話だな。とはいえ、一匹でも見つけたら根絶やしにというのは全く同感だ。」 こともなげに答えて、彼女は手仕事を続けるのであった #ダークエルフ王国見聞録