硬貨は金融純資産か? 通常の政府会計と、国家全体の金融評価(資金循環統計)の考え方の違い

「硬貨発行は金融純資産形成と言えるか」を端緒に、通常の政府会計と、それを俯瞰した場合の評価の齟齬について。 http://mokuroku.biwako.shiga-u.ac.jp/WP/No126.pdfによると、紙幣と硬貨の会計的な扱いに差が出るのは、政府が現金主義的会計、日銀が発生主義的会計を用いていることに由来するようだ。
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

twitter.com/motidukinoyoru… この話の続きなのだが、硬貨発行を政府財政側で純粋な利益(純資産形成)として計上できるのは、通貨発行益を「先取り」で計算しているからである。(ということを理解するには、まず通貨発行益を理解する必要があるのだが)

2016-11-14 12:06:19
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「硬貨は金融純資産か 通常の会計と、国家全体の金融評価(資金循環統計)の考え方の違い」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1047782

2016-11-13 00:38:33
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

まず、統合政府(中央銀行+政府)の通貨発行益の形態は二つある。知られている通り、中央銀行は発行通貨の運用による利子収入で通貨発行益を得る。一方政府は、徴税により通貨発行益を得る。後者については解説が必要かもしれない。

2016-11-14 12:11:09
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

政府の必要条件の一つは、市民から(基本的には対応物なしで)経済資源を徴発できるところにある。(いわゆる徴税) そこで政府は、徴税の形態として、直接の経済資源の徴発でなく、納税手段としての通貨を発行し、それで実物を購入し、事後的に金銭徴税で回収するという代物を採用できる。

2016-11-14 12:13:30
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

通貨を発行し、仮にすべて回収したとして、政府は、国民に何の対応物を支払うこともせずに実物を得ていることがわかる。(実物納税と構造が一緒) ということで、政府にとって通貨発行益は、発行した通貨を回収することによって、発行通貨で得た実物の分だけ計上可能であるということになる。

2016-11-14 12:15:32
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

裏を返せば、国民に通貨(政府に対する納税手段であり、それは対政府債権と同義。また政府は徴税の際、実物ではなく通貨を差し出されるという関係にあり、政府にとっては対民間負債である)が保有されている限り、その分だけ通貨発行益は割り引かれなければならない。

2016-11-14 12:17:11
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

ところが、現金主義的会計を取った結果として、政府は、まだ徴税による償還を行っていないにも関わらず、通貨発行支出時点で、通貨発行益を先取りして計算してしまっている。だから、その時点の会計だけ見ると、経済全体で純粋な資産が生まれたかのような錯覚をもたらしてしまう。

2016-11-14 12:19:45
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

しかし、すでに概説したように、政府による通貨発行は、経済全体で何らかの純粋な資産を生むような構造ではない。通貨発行益も、きちんと見れば、それは民間からの経済資源徴発に基礎づけられていることが分かる。そして通貨は、実物徴税前借をした負債の証書であるからこそ、民間にとって資産になる。

2016-11-14 12:22:00
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

中央銀行の場合、直接の徴税という形はとらず、対応資産購入による対応を取っており、その資産の収入を通貨発行益としている。 しかし、管理通貨制度では、対応資産はすでにほぼ国債であることに注意してほしい。その結果、実は中央銀行とその通貨発行益は、政府財政と一体的なものになっている。

2016-11-14 12:23:47
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