研究への意欲と大学院進学のリスク

センスのある学生が進学して研究者の道に進まず就職してしまうのがもったいないという話から、大学院に進学することのリスクの話題へ。
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青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

そうしていくと、最初は分からなかったらしい作品の魅力が「分かった!」という学生がちらほら出てきた。たとえば、「月の供華ピアノの上に灯を塞ぐ 竹中宏」における言葉の精妙なずれや、「豊旗雲の上に出てよりすろうりい 完市」における“すろうりい”の俳句性などを、面白いと感じるような。

2011-02-23 22:30:33
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

で、一回りした後で「朝顔の双葉のどこか濡れゐたる 素十」あたりを読むと、「写生」の不気味さを感じとる生徒がいたり、あるいは「風に落つ楊貴妃桜房のまま 久女」にもっとも悲哀を感じた、という生徒もいた。森澄雄と飯田龍太では格が全く違うのでは、と指摘する生徒もいたり。

2011-02-23 22:47:17
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

もちろん、最後まで素十や龍太の句は分からない、と感じる学生もいたが、段階を踏んで幅広い作風を紹介しながら、有季定型の読解のコツのようなものを提示し、そして俳句に関する複数の価値基準を提示することで、15回の授業でもかなり高いリテラシーを身につける学生がいた、というのが実感。

2011-02-23 22:54:39
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

凄い学生、(実は)いっぱいいますよ。で、そういう人に限って、文学と関係ない仕事に就くことが多いんですよw 今のところ、ほぼ全員かな… RT @0919nowaki @k551_jupiter おそろし。

2011-02-23 22:59:38
helpline @helpline

わかります。それ、ありますよね。 RT @k551_jupiter: 凄い学生、(実は)いっぱいいますよ。で、そういう人に限って、文学と関係ない仕事に就くことが多いんですよw 今のところ、ほぼ全員かな…

2011-02-23 23:01:13
@0919nowaki

@k551_jupiter 勿体ない…でもそういうことはありますね。学生時代、こいつは凄い、と思ってた文学系のが数人エンジニアになりました。

2011-02-23 23:04:49
帝江@近世怪異小説の現代語訳をカクヨムでする @tei_kou

@helpline ただそういう人は縁がなかったんだなーと思いますね。残ってほしいのは山々ですけども

2011-02-23 23:05:39
helpline @helpline

@tei_kou ぼくも実は、「センスがいい、でも(文学や研究に)執着がない子」より、「センスはないけど、執着がある子」の方が好きですよ。結果的には後者の方が続くわけですし、(人生はともかく)研究者としては可能性があるわけなので。

2011-02-23 23:10:50
関悦史 @Seki_Etsushi

私が文学部の学生だった頃も、適性のない人に限って大学院に進んでいたな。

2011-02-23 23:13:23
帝江@近世怪異小説の現代語訳をカクヨムでする @tei_kou

@helpline 以前、外の研究会である政治史の教授とお話したときに「自分より優秀な学生は同期に沢山いたけどそういう人にかぎってどんどんドロップアウトしていった」とおっしゃっていて、どの分野でもそうなんでしょうけど、聡いこととその道である程度に達するのは別なんでしょうね

2011-02-23 23:14:20
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

同じ経験、ありますw 生徒に二人、友人に一人。天才的に文章がうまく、頭も論理的で切れて、そんなに本を読んでいないらしいのに文体が完全に出来上がっていた。でも、sのうち二人は理工系、一人は音楽に行ってしまい、いずれも文学と違う世界へ。

2011-02-23 23:15:54
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

それ、私かも。だからこそ訓練(?)するために、もっとも短詩型の俳句を研究対象にしたのかな、と感じることが多いですね。凄い人が周りにいたため、よけいにそう思います。 RT @Seki_Etsushi 私が文学部の学生だった頃も、適性のない人に限って大学院に進んでいたな。

2011-02-23 23:20:28
関悦史 @Seki_Etsushi

@k551_jupiter いや、俳句に興味のない学生から短期間でそこまでの鑑賞を引き出す手腕はすごいです。

2011-02-23 23:22:13
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

@Seki_Etsushi 授業は一種のセオリーというか、パターンがあるので、ある程度の道筋は慣れると付けられるので、何度か続けるとできるようになりやすいんですよ。それと、言語に対する感応能力や俳句の読解センスは、たぶん別レベルにある気がします。

2011-02-23 23:28:27
helpline @helpline

研究者視点に立つと、もったいないって思っちゃいますけど、研究者の道がすべてではないですし、センスのいい子たちはどこでも充実した人生を切り開いていきますからね。広い視点に立てば、就職して広い世界でセンスを生かすのは、本人にとっても社会にとってももちろんよいことだと思います。

2011-02-23 23:28:56
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

センスというと、「先天的な感覚・才能」というニュアンスが強いですが、自分がこれと信じたことを執着をもってやり続けることも一つの才能ですよね。「好きこそものの上手なれ」というか、その過程で身につける「センス」や自分の(知らなかった)能力に気づくことも多いわけですし。

2011-02-23 23:33:42
helpline @helpline

大学の状況も、特に人文系は今は厳しいですからね……。実のところぼく自身ももう広い世界で自分の力を試したいという気持ちになっていたりします。

2011-02-23 23:34:47
河野至恩 / Shion Kono @shionkono

@helpline @k551_jupiter 人文系の大学院がこのような状況なので、文学専攻で大学院に進学することは一般論としては勧められませんね。文学的センスや書き手としての能力がどれだけあっても、誰にも安心して勧められるキャリアパスではないと思います。

2011-02-23 23:36:28
河野至恩 / Shion Kono @shionkono

@helpline @k551_jupiter 大学院進学という入り口は大きいけれども出口が狭い。ノンアカデミックで専門教育が生かせる道をもっと開拓していかなければならないと思います。

2011-02-23 23:37:49
河野至恩 / Shion Kono @shionkono

文学研究における「センスの良さ」というのは、ある意味危険な言葉ですね。それは研究者として成功するための必要条件のひとつでしかないので…。むしろ、持続することを可能にする様々な力のほうが重要な気がします。

2011-02-23 23:41:46
helpline @helpline

@shionkono ぼくは院生ですが、大学院進学、特に博士に進学したいという学生に相談を受けると、どう答えたらいいか迷ってしまいます。もちろん本人も大学をめぐる状況はわかっていて、その上で進みたいと言ってるので、結局は本人が熱意と覚悟で進学するという形ですよね。

2011-02-23 23:45:13
helpline @helpline

@shionkono シビアに考えるなら、仕事と研究を両立できる能力とバイタリティーがある人でないと博士に進学してはいけない時代だし、ほんとはもっと強く止めなければならないのかもしれないとよく思います。ここまで厳しい選択を強いられる状況も厳しすぎるし変わればと思うのですが。

2011-02-23 23:53:49
河野至恩 / Shion Kono @shionkono

@helpline 一番の不確定要因は、研究能力や才能がある人が就職できるとは限らないということです。偶然に左右される要素が多すぎます。そこで続けるかどうかは、本当にシビアな決断ですね。

2011-02-23 23:57:12
青木亮人@『愛媛 文学の面影』『教養としての俳句』 @k551_jupiter

仰る通り、ですよね…文学専攻大学院は間口が広いにしても、専門教育やノウハウを身につけた後、生かせる道が極端に少ない。特にポスドクまでいくと厳しすぎる。在野のノンアカデミックの受け皿も(今は)ないため、もう苦行僧のような世界に入ってしまいます。経済面でもそうですが、精神的にキツい。

2011-02-23 23:58:11