掌小説語り~自作つぃのべる集~37

自作つぃのべるのまとめです。 2016年5月分
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リュカ @ryuka511

詩人の合図で精霊が歌うと人々は真っ青な顔で許しを乞い始める。何故なのだろうと見ていると人々は苦悶の声を上げ次々と倒れた。その歌は裁きと滅びの歌だった。詩人は私を振り返る。「人は滅びた。お前は自由だ」詩人は厳かに言い残し消えた。私は人ではなかったのか?答えは無い。 #twnovel

2016-05-25 22:32:16
リュカ @ryuka511

教会の慈善活動でスラム街を周ります。しかし、お腹をすかせた子にパンを渡してあげたらキョトンとしていました。それが食べ物だと知らないのです。私が籠のパンを食べて見せると、ようやく解ってくれ嬉しそうにパンを食べ始めました。安堵と同時に己の無知と傲慢さに失望しました。 #twnovel

2016-05-27 00:04:32
リュカ @ryuka511

「何かを守れない自分に意味はない」「どうして?君は世界を魔王から守ったじゃないか」不思議そうに問う友に首を振る。「お前を守れなかった」俺の答えに友はすまなそうに俯いた。「気にしないで。僕の力不足だ」友の手は俺の身体をすり抜ける。「親友を守れない英雄に意味はない」 #twnovel

2016-05-27 23:41:01
リュカ @ryuka511

「その物騒な所持品を置きな」忠実な部下のフリをして油断させ撃ち殺すはずだった。目の前に銃口。「あんたの兄貴は俺を裏切った。だから殺した。これでも信用してたんだぜ?」震える奴の声。惑わされるな。「好きにしろよ」悲しい目。銃を構えた。兄貴、真相はそっちで聞くよ。 #twnovel

2016-05-28 23:30:42
リュカ @ryuka511

彼女の美しい声は凶器だった。彼女の命令はどんなものでも実行される。誰も彼女に逆らえない。彼女の命令は欲望というより渇望だと気付いた頃、彼女は俺に命じた。私を愛せと。「うあぁー!」彼女の声を聞かないように叫ぶ。初めて抱き締められた彼女は、困惑顔のまま涙を零した。 #twnovel

2016-05-30 00:25:22
リュカ @ryuka511

私の頭の中に生える棘は、言葉となって口から飛び出していく。止めようもないそれは誰も彼もを傷付け増殖していく。誰とも近づかず、誰かに言葉を発しなければいいのだと、棘だらけの頭の中で考える。自分の言葉で自分が傷付くだけで終わるなら、こんなに平和なことはないだろう。 #twnovel

2016-05-30 23:20:45