掌小説語り~自作ついのべる集7~

自作つぃのべるを纏めました。 2013年1月分
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リュカ @ryuka511

「勝った。」男は微笑む。パソコンの画面は真っ白だった。世界滅亡ウィルスは完成した。世界中にこれを撒けば世界はこの画面のように真っ白に浄化される。「さぁ、行け。」 #twnovel #世界もう滅ぼしたい協会

2013-01-01 22:57:02
リュカ @ryuka511

「感情予報をお伝えします。停滞する涙雨前線の影響で、感情は大荒れになるでしょう。修羅場にご注意下さい。しかし、止まない雨はありません。今は耐えましょう。以上、感情予報でした。」 #twnovel

2013-01-02 23:40:32
リュカ @ryuka511

木を隠すには森の中がいいように、本音を隠すには言葉の中がいい。言の葉に隠された本音は、気付かれる事無く人の心に浸透する。密かな愛をあの方に。秘めた想いを彼の人に。果たせぬ願いをあの者に。本音を隠した言の葉に、気付かぬうちに支配される哀れな者は誰 #twnovel

2013-01-04 00:34:51
リュカ @ryuka511

流れ星にかける願い事は、「大人になんかなりたくない」に決めた。だって周りを見てもニュースを見ても、大人になりたいとは全然思えないから。ずっと子供でいたい。ずっとずっと皆と遊ぶんだ。あ、流れ星!……やけに近くない? #twnovel #世界もう滅ぼしたい協会

2013-01-04 23:43:25
リュカ @ryuka511

「世界の為、国の為、じゃあ自分の為に何ができるの?」魔王討伐に協力を請う勇者は獣人族の長の言葉に戸惑った。「私は世界を……」「自分すら救えないのに世界など救えない」言い放ち立ち去る獣人を勇者は為す術無く見送った、 #twnovel

2013-01-06 02:23:52
リュカ @ryuka511

「忘れ薬を下さい。」魔法薬師の下を訪れた少女はこう言った。薬師は包みを1つ渡しながら告げる。「忘れるだけじゃ解決しない事もあるぞ。」悲しげにうなずいた少女はそれでも忘れ薬を手に去って行った。 #twnovel

2013-01-07 00:19:05
リュカ @ryuka511

秋の夜はごちそうで満ちている。名月と謳われる月の光。密やかな虫の声。甘い金木犀の香り。風に舞う色鮮やかな落葉が立てる音。それらは静かな夜に舞い降りる妖精達の、静謐で甘美な秋の夜の食事。 #twnovel

2013-01-07 23:21:52
リュカ @ryuka511

揺れるお花にひらひらちょうちょ、川のお魚、子猫の追跡どこまでも。気になるものを追いかけ遊ぶ。迷子になっても気にしない。子猫の世界は不思議でいっぱい。いっぱい遊んでいっぱい眠って、子猫は大人になっていく。 #twnovel

2013-01-09 00:13:33
リュカ @ryuka511

午前2時の花火と共に楽園の扉が開く。チョコの木にキャンディの花、クッキーの家。甘い香りに包まれたここは子供達の楽園。夜明け前には夢のように消えてしまうから、帰れなくならないように気をつけて。 #twnovel

2013-01-09 23:30:13
リュカ @ryuka511

故国へ帰ってしまった恋人を想い毎夜彼女は泣いていた。本当に仕事でやむ無く帰国したのか、故国に愛を誓った人がいるのではと不安が募る。悲しげにブレスレットを見つめる。彼女には読めない彼の母国語で「愛してる」と刻まれていた。だが読めないメッセージは彼女の心に届かない。 #twnovel

2013-01-10 22:59:08
リュカ @ryuka511

一目惚れだった。彼女が人間じゃなく人魚だとわかっても構わなかったんだ。海の上で歌う彼女を強引に海賊船に乗せた。俺は俺なりに彼女を大切にした。けど彼女は海に帰りたいと泣くばかり。短剣をちらつかせても彼女の心を強奪出来ない。こんな愛し方しか出来ない自分が悔しかった。 #twnovel

2013-01-11 23:14:49
リュカ @ryuka511

寂れた商店街を老紳士は眺める。幼い頃大好きだったおもちゃ屋の楽しげな音色はもう聞こえない。都市開発が進むにつれ小さな商店は店を畳んでしまった。生活は便利で豊かになったが、それは幸せな事なのか。落書きだらけのシャッターを見つめ老紳士は首を振ると静かに立ち去った。 #twnovel

2013-01-12 23:20:33
リュカ @ryuka511

誰でも扱える機械が浸透し鍛練が必要な魔法は廃れていった。それでも魔法文明を守ろうとした魔法使い達がいたが彼らも姿を消した。今魔法使いはどこにいる?身を隠し魔法の再興を画策していると言われるが真相は解らない。鍛練を忘れた世界は怠惰に満ち、その先にあるのは、滅び。 #twnovel

2013-01-13 23:42:52
リュカ @ryuka511

スーツ姿が様になって、酒や珈琲を旨いと感じるようになった。昔は良かったが口癖になって、子供の頃の夢を思い出さなくなった。雪が降っても交通の乱れが気になるばかり。大人になるって、こんなにもつまらない事なのか。大切な事をどこかに忘れている気がする。 #twnovel #twnvday

2013-01-14 23:57:17
リュカ @ryuka511

桃太郎の襲撃を受けた鬼ヶ島で生き残った最後の鬼は、復讐を誓って生きてきた。 #twnovel 鬼退治を誓った桃太郎の最初の記憶は鬼の攻撃を受け沈む船だった。対峙した2人は互いの哀しい瞳に気づくも刃を交えるしかなかった。

2013-01-15 23:26:23
リュカ @ryuka511

彼女は道端で歌い日銭を稼ぐ貧しい暮らしをしていた。だがある日、貴族の息子が彼女を見初め周囲の反対を押し切って彼女を家に迎えた。憧れた豊かな暮らしだが彼女の心は晴れない。歌っておくれと言われると彼女は決まって悲運の歌を歌う。私は物のように買われたのだと嘆いていた。 #twnovel

2013-01-17 23:28:55
リュカ @ryuka511

退屈なパーティを抜け出し道端で歌う娘に出会った。貧しい身なりだが凛とした佇まいは貴族の令嬢よりずっと美しい。彼は反対を押し切り娘を妻に迎えた。贅沢な暮らしができれば喜ぶだろうか。だが彼女は笑わない。歌を請えば悲しい歌ばかり。どうしたら彼女は笑ってくれるのだろう。 #twnovel

2013-01-18 23:36:25
リュカ @ryuka511

貴族の青年とスラムの歌姫。心通わぬ2人だが青年は彼女を周囲から庇い続けた。やがて娘が生まれるも、彼女は我が子を愛せない。だが自分は買われただけだと言う彼女に幼い娘は言った。「パパはママがとっても好きなのね。欲しくないなら買わないもの」その言葉に彼女はハッとした。 #twnovel

2013-01-20 01:58:12
リュカ @ryuka511

周囲からの風当たりは小さかった。彼が守っていたからだと気付く。身分の低い自分を上流社会で守るのはどれほど辛かったか。彼の家柄ならいい縁談が沢山あっただろうに。彼女は夫の下へ走った。驚く彼に聞いてほしいと彼女は愛の歌を歌う。涙を溢し歌う彼女を彼は静かに抱き寄せた。 #twnovel

2013-01-20 23:12:09
リュカ @ryuka511

舞い降りた天使の羽が僕を包んだ。その温かさに涙が零れる。僕は疲れていたのだと自覚した。天の祝福なのか天へのお迎えなのかわからないが、そんな事はどうでも良かった。目を閉じて温もりに身を委ねる。ずっとこうしていられたらどんなに素敵な事だろう。 #twnovel

2013-01-21 22:39:12
リュカ @ryuka511

夢を叶えたくて遠い地へ行く。恋人を置いて。見送りに来た彼女は、涙を隠しただ僕を応援してくれる。僕を待つと言う。気丈な彼女の瞳に、僕を「忘れて」なんて言える訳ない。「必ず迎えにくるよ。」彼女の瞳を見つめ誓った。 #twnovel

2013-01-22 21:03:50
リュカ @ryuka511

この暗い現実に灯る、君は小さな光。何も知らない君でいて。暗く重い現実に巻き込まれながら君は皆を癒す小さな天使。君を巻き込んだ僕達を許してくれなんて言えないけど、君の存在に本当に感謝してる。君が大きくなって覚えていなくてもありがとうを言わせて。ハッピーバースデー。 #twnovel

2013-01-24 00:03:18
リュカ @ryuka511

青空を渡る渡り鳥。彼らは自ら生きる場所を選ぶのか、それとも追われるように渡るのか。帝国の支配から独立するため戦う俺達に、生きる場所はここしか無い。彼らが渡る理由などわからぬまま、渡り鳥達を見送った。 #twnovel

2013-01-25 00:20:04
リュカ @ryuka511

どこからともなく響く優しいオルガンの音色に誘われ、夜道を歩く。辿り着いたのは小さな古本屋。見た事ない所なのに懐かしくてたまらない。飛び交う幾つもの物語。人々の手を渡り歩いた古本に心和ませ眠りに落ちる。今宵も不思議な古本に綴られた物語が眠れぬ人々を眠りへ導く。 #twnovel

2013-01-26 00:13:22
リュカ @ryuka511

空の上から観るこの星はこんなにも美しいのに、なぜ地上で暮らす人間には自ら生きる星の美しさが見えないのか。人間は争い、自然の恩恵を忘れていく。そこで私は人間が暮らす世界を滅ぼし、美しい星だけを堪能する事にした。#世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2013-01-27 00:28:58