Side Story 8 フー・クゥド・イート・ソーリー?後日譚

脳内妄想艦これSS 独自設定注意 リカルド様#咆哮SS 新作の回収話 http://www65.atwiki.jp/team-sousaku/pages/18.html
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

------------------- ┌ ┐ ┏ ┓ #風見SS ┗ ┛ └ ┘ -------------------

2017-01-04 00:02:44
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__ Side Story 8 フー・クゥド・イート・ソーリー?後日譚 __

2017-01-04 00:06:54
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SS-8-1 襲い来る痛み、脳を揺らす衝撃。激痛。 視界に深く黒い靄がかかっていく。頭が回らない。 どんどんと暗くなって…何も見えなくなっていく… ただ、僅かに動く思考が見せてくるのは… 緑に迸る 禍々しい 炎

2017-01-04 00:11:36
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SS-8-2 遠くを人魂のように揺らめいていた炎は、徐々に近づいてくる。 近づくにつれてそれが人の顔の「半分」を模っていることが分かってくる。 「顔のない顔」は私への接近を止めようとしない。 ぐんぐんと近づいて、仕舞いには私の目前まで迫り来て… そして一言、言い放つのだ。

2017-01-04 00:16:15
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SS-8-4「_____!!!」 私はそこで跳ね起きた。同時に、微睡みの中で夢の中の出来事のように感じていた激痛が、現実のものとなって全身を襲ってくる。 「痛ッ…痛い…!!」 「あわわ、まだ動いちゃダメです!」 酷く慌てた様子で、明石さんが私の横に駆け寄ってくるのが見える。

2017-01-04 00:19:38
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SS-8-5「わた、私は…ここは…」 「聞きたい事は此方も色々とあるんですけどね」 動いた衝撃による痛みが過ぎて周りを見れば、どうやら自分はベッドの上。そして鼻が感じるのは、最近になってようやく慣れてきたと思っていた、部屋に染み付いた種別不明の薬品のにおい。 監獄島の、医務室。

2017-01-04 00:23:03
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SS-8-6「監獄島…」 首を回そうとして、また激痛がそれを妨げる。 ふと気付いてみれば、どうやら固定具やら包帯やら点滴やらで全身酷い有様になっていた。 「私…何をしてたんだっけ…」 「…覚えていないんですか?或いは起き掛けで記憶が混乱しているのか」 明石が困ったように頬をかく。

2017-01-04 00:27:40
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SS-8-7「秋刀魚漁の応援のシゴトです。綾波ちゃん、血相を変えて連絡してきましたよ、貴方が死にそうだって…ホント、何があったんです?」 「秋刀魚漁…」 頭が少しずつ回転を始める。 秋刀魚漁、夜の海。『私』の意識を一時的に『彼』が眠らせて、それから…次に入り混じった時には…

2017-01-04 00:32:07
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SS-8-8 緑の焔、無貌ー …ドクン… 言い知れない『恐怖』が思い起こされ、心臓が強く鳴った。 「ちょっと!本当にどうしたんですか!?」 明石が驚きと焦りの入り混じった顔で此方を見ている。ー身体が意識とは関係なく震えていた。 「あ、あ…そうか…私、は…」

2017-01-04 00:37:47
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SS-8-9 それからがまた大変だった。治療とケアにかなりの時間を要し、身体が万全になれば今度は提督への報告に難儀した。 難儀した理由はと言えば、自分の口から報告出来ることが殆ど無かったからだ。というのも… 「あ、こんなところにいた」 ふと聞こえた五十鈴の声に、視線を持ち上げる。

2017-01-04 00:43:42
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SS-8-10「やっと治ったのね…一時はどうなる事かと思ったわよ」 腰掛けていたドラム缶から降り、五十鈴の手渡してきた林檎を受け取る。彼女なりの快気祝いという事なのだろうか。 「あんなズタボロで死にそうになってるアンタを見るなんてね。綾波ちゃんなんて、それこそ泣きそうだったわよ」

2017-01-04 00:46:11
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SS-8-11「五十鈴さん…」 「…ん?」 容器から出した林檎を自分の口に運ぶ最中だった五十鈴は、どことなく感じた違和感でピタリと固まった。 「ごめんなさい」 「………………」 そして、頭を下げて謝る『私』を見て、時間が停止したかのように暫く完全に動かなくなってしまった。 __

2017-01-04 10:59:31
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SS-8-12「浮かない顔ですね」 雲龍の検査結果を執務室に持ってきた扶桑が、開口一番に言う。 「当たり前だ、どうにもスッキリしない」 風見は扶桑には目線をくれず、机の上の調書を一文も逃すまいと読んでいた。 「どうも、知らないところで俺の首が飛びかけたような、そんな気がする」

2017-01-04 11:06:29
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SS-8-13 秋刀魚漁の護衛中、船団は奇妙な風体の深海棲艦の一団に襲撃された。外部鎮守府の艦娘達と協力し、これを撃破し、トラブルこそあったもののその後無事に漁を成功させたところまでは良い。 しかし、それでは雲龍の重症に説明の付かないことが多すぎた。 「何があった…」

2017-01-04 11:09:23
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SS-8-14 綾波、浜風、五十鈴の報告によれば、深海棲艦に捕縛された際には雲龍は既にその場に居なかった。そして、目撃証言からリカルド提督の下の『鹿屋の死神』こと吹雪に『引き摺られる』ようにして、捕まった船団の目の前に現れた。 …これだけの証言が有りながらも、詳細の分からぬ原因…

2017-01-04 11:13:26
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SS-8-15「(吹雪も雲龍も同行時間についての報告が曖昧過ぎる…)」 二人が船団の前から姿を消していた時間の詳細が、彼女らの口から得られないせいである。雲龍があれ程の重傷を負う相手があの海に潜んでいたか?…そうでないとすれば『二人で戦った』のだろうか? 「(笑えねぇ)」

2017-01-04 11:18:49
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SS-8-16 任務中にその様な真似は許されない。だが、状況はどうにも二人の勝負を物語っている気がしてならなかった。 「(そうだとして…何故リカルド提督の艦娘は事実を語らない?)」 吹雪の口からはその点について何も触れられていない。 更に悪い事には、当の雲龍本人がー

2017-01-04 11:24:43
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SS-8-17「ああ、くそ」 風見はファイルにぶっきらぼうに調書を押し込み、身体を伸ばす。 「どちらへ?」 「…少し外に出て頭を冷やしてくる」 そして、深い溜め息を残すと、執務室を後にした。 「(…鍵を握っているのはどう考えても『照海』のヤツだ。なのにー)」

2017-01-04 11:28:18
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SS-8-18「投げ飛ばして反省させるバカヤロウが目の前に居ねぇってのは、こうもイライラするもんかね」

2017-01-04 11:29:44
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SS-8-19「アンタ…い、いや、貴方…アイツの意識が無いの?」 二人で並んでドラム缶に腰かける五十鈴と雲龍。 五十鈴の問いかけに、雲龍はゆっくりと頷いて見せた。 「船団の護衛を開始する前…拠点で『彼』が感じた極度の緊張感と興奮、高揚感が私の心を完全にねじ伏せたの」

2017-01-04 11:34:23
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SS-8-20 任務直前、資料室…そこで照海に意識のコントロールを完全に奪われた。それからの事は記憶に霞がかかったように思い出す事が出来ない。 「意識が戻ってみれば私は医務室のベッドの上…おまけに『彼』の心はボロボロになっていて、動くこともままならない状態だったの」

2017-01-04 11:40:03
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SS-8-21「ねぇ、アイツは大丈夫なの?…何でそんな事になってるの?」 「分からない」 この身は一つ。想いも記憶も感情も、二つが入り混じった一つ。 なのに、傷ついたのは片方の心だけであり片方は記憶も読めない。 「五十鈴さんがここに来た時の話、聞いたのだけど…」 雲龍が口を開く。

2017-01-04 11:44:31