秋色の物語【横山先生×亜紀】

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白色 @whiteeighter

1 9月1日、二学期の始業式 見慣れない先生が端っこに立ってる 眼鏡かけててスーツで 多分若い…? イケメンかどうかは遠くてわかんないな 周りの女の子達もざわついてる 《産休に入られた〇〇先生の代わりに来ていただいた…》 教頭先生が紹介して #秋色の物語

2016-09-18 12:35:57
白色 @whiteeighter

2 壇上に登って自己紹介をしてる てことはうちのクラスの副担任になるんだ んー…やっぱ顔わかんない コンタクト入れてくれば良かった シルエットはすらっとしてる気はするけど 〈かっこよくない?やばいよね〉 〈彼女いるのかな〉 式の後のホームルーム #秋色の物語

2016-09-18 12:36:30
白色 @whiteeighter

3 本の読みすぎでまた視力弱くなったかなぁ…顔が見えないや あ、関西弁だ 人気でそう…なんて思ってると 隣の席からも聞こえる関西弁 《なーなー、女子めっちゃ騒いでるなあ》 クラスメイト兼彼氏の丸ちゃんがこそこそと話しかけてくる #秋色の物語

2016-09-18 12:38:27
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4 丸ちゃんも高校から東京に来て関西出身 明るいキャラだったりするから女子からかなりモテるほう 「東京の女は関西弁に弱いのかもね笑」 《亜紀ちゃんも?》 「別にー」 いくは若いって言っても大人のしかも先生だし どうでもいいよ 私の邪魔しないでくれれば #秋色の物語

2016-09-18 12:43:04
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5 その日は1日クラス中がふわふわして 落ち着かなかった ___ 放課後はいつも丸ちゃんの部活が終わるまで図書室で待つ 空いてるし 本読み放題だし 涼しいし居心地がいい空間 ウトウトしてしまって 気がつけば寝てたみたい 「…っくしゅん!」 #秋色の物語

2016-09-18 12:44:22
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6 風邪ひいたかな 窓閉めて戸締りして丸ちゃんとの待ち合わせ場所に行かなきゃ …はらり 「ん?」 私の肩にカーディガンがかけられていた 『あぁ起きたん?』 「え…、あれ?先生なんで」 『なんや俺、図書委員とかの係?やねんて』 「ああ…なるほど」 #秋色の物語

2016-09-18 12:48:25
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7 前任の先生がそうだったもんね 「これ…先生が?」 カーディガンを手に取り差し出すと 『最近朝晩寒ない?』 私の問いには答えないで微笑んで もう一度私の肩にかけてくれた 『俺車やし貸したるわ。風邪ひくなよ』 柔軟剤なのかコロンなのか #秋色の物語

2016-09-18 12:51:50
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8 いい香りのする中に微かに残る煙草のにおい 急に頭がクラクラして 慌てて脱いでつっ返す 「…いいです、別に」 『あっそう?俺と違て若いから平気か笑』 2人で戸締りをして廊下を歩く 『ほな気ぃつけて帰れよ!』 職員室に入っていった #秋色の物語

2016-09-18 12:55:33
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9 丸ちゃんのいる駐車場へ向かう 《亜紀ちゃーん!待ちくたびれたー笑》 笑顔で自転車を押しながら来てくれた 「ごめんね!うたた寝しちゃって笑」 《ええよ♡帰ろ》 隣に丸ちゃんが…彼氏がいるのに 私の頭の中は先生でいっぱい なんで? おかしいよ私 #秋色の物語

2016-09-18 12:58:54
白色 @whiteeighter

10 きっとドキドキしているのは 先生の香りがまだ私の服とか髪についてて それは 隣で優しく笑う丸ちゃんとはあまりにも違う香りだったから 間近で見た先生の顔が表情が声が仕草が ずっと頭の中で繰り返し浮かぶ 夜風が吹く中 私ひとり…熱い #秋色の物語

2016-09-18 13:09:35
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11 翌日、初めての授業中 ふざけて女子が質問する 〈はーい!先生は彼女いるんですかー?〉 『そういう質問は受け付けません』 そりゃそうだよね 授業を続けるけど女子達はキャーキャー騒いで 関係ない質問ばっかして中断する 『もー分かった。こうしよ』 #秋色の物語

2016-09-18 13:51:38
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12 『今から成績関係ない小テストするから、その裏に質問かいて。満点の人には答えて返却します。』 《せんせー?俺は別に男に興味ないねんけど、どうしたらいいですかー?》 丸ちゃんが手を挙げて言う クラスの男子もそうだそうだと同意して #秋色の物語

2016-09-18 13:53:59
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13 『別に俺に対しての質問やなくてええよ。思春期やから色々あるやろ笑 つーか質問必須ちゃうからー』 丸ちゃんはなるほど…とつぶやいて問題を解かずに何か必死に裏面に質問を書いてた 数学だしある程度は解けるんだけど 質問なんて…何を聞けばいいの #秋色の物語

2016-09-18 14:02:53
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14 『5問だけやしすぐできるやろ?出来たやつから持ってきて』 どうしよう…出来たんだけど質問書けない 《はいはーい!先生これ!》 丸ちゃんが思ったよりも早く提出しにいく 『…丸山お前1問も合ってへんで。やり直し笑』 小テストを戻されてすごすご戻ってきた #秋色の物語

2016-09-18 14:06:31
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15 それから女子が何人も教卓へ見せに行く 返却された質問の答えを読んで一喜一憂 〈やったー!彼女いないって♡〉 〈好きなタイプは…時と場合による?年下いけるかなあ〉 《亜紀ちゃん出しに行かへんのー?》 促されて見せに行く 『おーさすが。満点』 #秋色の物語

2016-09-18 14:11:41
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16 プリントをめくり裏を見る先生 結局何も質問が浮かばなくて書かなかった 白紙のそこへ先生は何か書き込む 『…ん。』 返された小テストの裏を席に戻りながら読む "風邪ひかへんかった?" 何これ 逆に質問されちゃったよ たった10文字にときめく心 #秋色の物語

2016-09-18 14:14:53
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17 〈長谷川さんなんて質問した?〉 〈なんて返ってきた?!〉 女子達が群がるけど わたしは咄嗟にそれを机に伏せて 「…あ、別に聞きたいことなくて笑 何も書かなかったんだー」 〈えー?もったいなーい〉 〈まあ丸ちゃんってゆう彼氏がいるもんね〉 #秋色の物語

2016-09-18 14:17:16
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18 《…亜紀ちゃんプリント見せて?》 「えっ、や…だめだよ」 《答え1個でええから教えてーやー》 「だ、だめ!自分で解いてっ」 《けちー》 私は誰にも見られないように そのプリントを小さく折りたたんで手帳に挟んだ ___ 放課後、また図書室に私一人 #秋色の物語

2016-09-18 14:21:56
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19 昨日の続きの本を読むけど 全くと言っていい程集中出来ない 丸ちゃんに連絡してもう先に帰っちゃおう [丸ちゃん疲れたから今日は先帰るね] [m(。>__<。)mごめんね] [いま休憩!] [大丈夫?!終わったらまたLINEする!] [(T^T)] #秋色の物語

2016-09-18 14:27:38
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20 本をしまって鞄を持って 図書室の扉を開けようとした時 ガラッ 『おお、もう帰るん?』 目の前に先生が 「はい、今日はなんか読む気になんなくて…帰ろうかと」 『…大丈夫?しんどい?』 びっくりするくらいに真剣な表情で見つめられた #秋色の物語

2016-09-18 14:31:53
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21 「いえ、ちょっと疲れただけで…」 『……送るわ。ちょっと待っとって』 「ええっ?!」 先生は職員室にいったん戻って 担任の先生と保健の先生に『長谷川送ってきます』なんて報告しちゃって 気がつけば先生の車の中助手席に座らされていた #秋色の物語

2016-09-18 14:35:11
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22 「すみません…なんか」 『昨日遠慮せんとカーディガン着て帰ったら良かったのに』 遠慮したんじゃなくて ドキドキしたんだけど言えない 黙って俯いてると 後部座席にあったブランケットを手渡される 『あー、ちゃんと洗濯してあるから綺麗やで?笑』 #秋色の物語

2016-09-18 14:39:26
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23 「でも…カーディガンと同じ……煙草の匂い、します」 『え?あ…そうか、ごめん』 照れくさそうに笑う先生の横顔 ハンドルを持つ手が男の人の手で 「謝られても…笑」 『禁煙しとるんやけど…帰りの車の中では1本だけ吸うてまうねんな』 #秋色の物語

2016-09-18 14:44:44
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24 助手席の日除けの横に可愛いぬいぐるみがぶら下がってる 「…これ好きなんですか?」 『あー…いや?』 「じゃあ質問の答えは嘘ついたんですね」 『え?』 「クラスの子が彼女いないって騒いでたけど…明らかにこの車は女の人の気配がするもん」 #秋色の物語

2016-09-18 14:47:23
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25 『俺、嘘はつかへんよ。生徒相手でも』 「…うそ。大人はすぐにそっちの都合で嘘つくでしょ。いいですよ別に」 暫く沈黙が続いて 私の家の前で車が停車する 『俺の嫁が……好きやねんそれ。』 嫁? それは 「結婚…してたんですか」 彼女、ではなく #秋色の物語

2016-09-18 14:50:11
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