"世界樹の迷宮"×"青葉の取材手帳"×"不知火に落ち度はない"『Deep sea Odyssey』

水凪月/予備垢 @miduki_nijiba

「こんばんは、買い取りお願いします」 そう言って今回の探索で手に入れた素材を手渡す。 勿論、酒場に納品する分は分けてある。 「相変わらず良い物持ってくるな、勘定するからちょっと待ってな」 19 #落ちぬい二次

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「あ、これ使って刀の鍛冶お願いできますか」 「こいつなら普通に作って売ると6000enだな」 「じゃあお願いします。代金は売却素材の方から」 「分かった、やっておくから後で受け取りに来な」 20 #落ちぬい二次

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素材の買い取りをしてもらっている間に、売っている武器を眺める。 ハルカが物欲しそうに眺めているクレイドルという鎌、欲しくはあるけれどお金が全然足りていない。 素材は今の私達でも頑張れば取れるとは思うけれど。 21 #落ちぬい二次

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ユウキさん達も、防具の買い換えを検討しているらしい。 私も愛刀のグレードアップをお願いしたから、しばらくはお金が厳しくなりそうだ。 「計算終わったぞ」 その声で一同がカウンターに集まる。 22 #落ちぬい二次

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「全部で7000enだから、刀代を差っ引いて1000enだ」 「有難う。ついでに糸も頂けますか」 「はいよ、100enな」 糸を買って店を出る。 23 #落ちぬい二次

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「さー晩ご飯だ晩ご飯だ」 ハルカが背伸びをしながら歩く。 私もいい具合に空腹なので楽しみだ。 24 #落ちぬい二次

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そして私達は誰かが提案する訳でも無く、いつものお店に向かう。 「あ、Speranzaの皆さん、こんばんは」 「こんばんは、サトミさん。依頼の報告とご飯食べに来ました」 「分かりました、どうぞこちらに」 25 #落ちぬい二次

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この街のに住む人なら誰もが行くという人気の酒場、浜風食堂。 看板娘のサトミさんは料理以外のお仕事を一人でこなしている。 料理以外とは言っても、料理が下手とかでは無く、特定の人にしか作らないだけ。 26 #落ちぬい二次

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…その『特定の人』を目指して、馬鹿な冒険者が無謀な探索をして、命を落としている。 目指したところで、絶対に叶わない夢だと分かっていても。 27 #落ちぬい二次

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「とりあえず、採取依頼の納品分がこれ、あと討伐依頼も完了しました」 「ありがとうございます。それじゃ報酬をお渡しします」 そう言ってサトミさんからメディカⅡを3個と3500enを受け取る。 28 #落ちぬい二次

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「さて、ご飯はどうしようか」 空いていたテーブルに移動し、メニューを見ながらユウキさんが口を開く。 「私これ食べたいです」 そう言って私が指差したのは野牛ステーキのリンゴソース添え。 29 #落ちぬい二次

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「あ、じゃあミドリもそれでっ」 ミドリちゃんとは姉妹だけあって、こういうときの注文で同じ物を頼む率が高い。 「僕とカナデは雪鳥の蟹玉を貰おうかな」 「じゃあ私は鶏唐揚げの甘酢餡かけでー」 30 #落ちぬい二次

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「分かりました、ちょっと待ってて下さいね」 そう言ってサトミさんは厨房へ向かう。 31 #落ちぬい二次

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「さて、ミヅキも刀を新しくすることだし、そろそろ第三階層の探索を終えるのもいいかもしれないと僕は思う」 「って事は…ボス、ですよね」 32 #落ちぬい二次

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この迷宮は、階層が替わると出てくる魔物の強さが段違いに上がる。 そのため、次の階層に進むには大本営から発令されるミッションを受けて、階層のボスに挑む必要がある。 ミッションの受領条件は満たしているので、実際に受けてボスに挑めばいい。 33 #落ちぬい二次

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…とは言え、今の私達で勝てるだろうか。 34 #落ちぬい二次

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「…勝てます…かね」 まだユウキさん達と合流する前に第一階層を探索していた頃、私以外の二人が死にかけたことを思い出す。 出来ることならもう少し万全の状態で挑みたい。 35 #落ちぬい二次

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「大丈夫さ、今の僕らならきっとね」 私の瞳を見据え、力強く答えるユウキさん。 それだけで、自信がわいてくる。 36 #落ちぬい二次

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「お待たせしました、雪鳥の蟹玉と鶏唐揚げの甘酢餡かけです」 「おっ、おいしそーじゃん」 「ミヅキさん達の注文ももうすぐ出来ますからもう少し待ってて下さい」 「はーい」 37 #落ちぬい二次

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「挑むならそれでもいいですけど、ユウキさん達の防具も新しくしませんか？」 「そうだね、じゃあ帰りに注文しておこうか」 多分それなら苦戦はしないと思う。 38 #落ちぬい二次

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間もなく私達の注文していたステーキも運ばれてきた。 「それじゃ、いただきます」 「「「「いただきまーす」」」」 39 #落ちぬい二次

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…ソースとして添えられているリンゴの酸味がさっぱりしていてとても美味しい。 TPが回復してまたすぐにでも樹海に行けそうだ。 でもこの気力は明日に回そう。 40 #落ちぬい二次

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「ご馳走様でしたー」 「ありがとうございましたー」 お金を支払って食堂を出る。 いつもならこのまま宿屋に向かうけれど、今日はもう一度商店へ戻る。 41 #落ちぬい二次

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「おう、鍛冶出来てるぞ」 「有難うございます」 新しくなった刀を受け取る。 …何故か刀身にきれいに溝が空いているのだけれど、これは新しい刀になったら戻るのだろうか。 42 #落ちぬい二次

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「申し訳ないんですが明日朝までにカフタンブラウスを二着、お願い出来ますか？」 「おっ、念入りだな、分かったやっておこう」 「ついでにこれも買わないー？」 お店の奥から軽鎧片手に女の人が顔を出す。 43 #落ちぬい二次