『リスクとリターンの関係』がおかしいんじゃない？と、なぜそう思ったかの話。

がっきー@漫画家総合垢 @gakky88NSR

クリエイターは遊びを作る時に『リスクとリターンの関係』を意識するんだけど、みんなリスクばかり作り込んで、リターンは少な目なんだよね。 今までのゲームは苦労に対する褒美が少ないと感じる。 リターンのためにゲームやるんだから、もっと与えて良いと思うけどな。

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これは先の『RPGの進める程に報酬が遠ざかる問題』にも関係するんだけど、色んなゲームで『リスクとリターン』のバランスがおかしいと思う。 プレイヤーを気持ちよくさせるべきなのに、ストレスを与えすぎ。 これは昔のゲームの難易度がクリエイターに残っているからだと思う。

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ブルードラゴンのリングエンカウント周りは僕のアイデアなんだけど、元々は坂口さんが「複数の敵を同時にエンカウントすると敵同士で戦ったり弱体化したりしたい」というアイデアから生まれたものなんだよね。 僕はバトル担当じゃなかったけど、ちぐはぐな事になっていたので口を出した。

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まず、敵の歩くスピードが主人公より速いので「主人公より遅くして下さい」と頼んだ。 「え？なんで？」 「敵と敵を組み合わせたいのに、敵の方が速いと組み合わせる敵の所へ連れて行けないからです」 「でも主人公のが速いと敵から逃げれちゃうじゃん」 「逃げられていいんです」 「？」

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「逃げ続けられるなら戦闘なんかしないんじゃない？」 「戦闘しない方が得ならそうですね」 「？」 「RPGは成長しないと中ボスでやられます。なので戦闘しないといけません」 「じゃあ益々逃げられたらダメじゃん」 「違います。プレイヤーから仕掛けさせる作りにしないとダメなんです」

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「敵から仕掛けられるのはストレスですが、自分から仕掛けるのは自分の意志ですからストレスになりません。 なので、どんどん自分から仕掛けさせる仕組みが必要なんです。」 「複数エンカウントがこのゲームの戦闘の華なら、複数エンカウントをすればする程得になるようにするんです」

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「単独で戦闘するより経験値アップとか、お金が増えるとか、良いアイテムが出るとかあると、複数エンカウントをする動機になるでしょう。 その仕組みを活かすには、敵のスピードは主人公より遅くしなくちゃいけないんです！」 「ほぁ…」

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この後反対されたんだけど、1ヶ月色々と検証した結果「君の言うことが正しかった」と僕の案になった。 どうも、敵はプレイヤーを邪魔するべきだというのがみんなの頭の中にあったみたい。 そうじゃなくて、『敵はプレイヤーに気持ちよくなってもらうために存在する』んだよね。

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そして『ゲームはもっとプレイヤー主導であるべき』なんだよね。 ゲームデザイナーがこう遊んで欲しい、というのも面白いけど、そうじゃないプレイヤーもいて、だからゲームデザインは幅を持っているものが良いんだよ。

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どうして僕がこう思うようになったかというと、坂口さんなんだよね。 ブルードラゴンでバリバリアという魔法があって、これは弱い敵なら触れるだけで倒せるんだけど、それを使って簡単にレベルアップができてしまう。 何人かは「これは問題じゃないですか」と坂口さんに会議で聞いたら、

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「別にいいんじゃない？発見したプレイヤーのご褒美だよ」って言ったんだよね。 「いや、でもゲームバランスが…」と食い下がると、「プレイヤーがそうしたいと思ってやってるんだから良いんだよ。 FFⅦの時もマテリアの組み合わせで凄く強くなるって知ってたけど、あえて残したんだよ」

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「だって、そうやって俺つえー！って気持ち良いじゃない？やりたくない人はやらなければいいんだしさ」と。 もちろんそれはいくら強くなっても影響が出るのは戦闘のみで、ゲーム全てが破綻するワケじゃないというのが前提なんだけど、それを聞いて、僕は感動したんだよね。

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坂口さんは映画の様なゲームを作る人だと思われがちだけど、本人はプレイヤーに自由がある方が良いと考えていて、例えそれがゲームバランスを壊すようなことでも、プレイヤーが望んだのなら仕方ないでしょ、というスタンスで、僕はそれを正しいと思ったんだよね。

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以上、ほとんどのゲームクリエイターはご褒美をあげ過ぎる事を躊躇するけど、実は全然大丈夫で、もっとあげても良いんじゃないでしょうか？と、ゲームはプレイヤーを楽しませるためにある。という話でした。