手塚治虫先生のアシスタントに行ったものの「帰っていいよ」しか指示がなかったというお話

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

手塚先生といえば、ヨソでも書いたが。一晩アシスタントに行った事があるよ！　直にお話もできた。うらやましいだろ！　ありがたい漫画の神様から言われた言葉は・・・・「キミ、帰っていいよ」

サトウ・ユウ @tinker2199

@uorya_0hashi @atsuji_yamamoto 手塚プロは仕上げ指示の記号を覚えることとフリーハンドで背景を入れられないと厳しいですよね。特に記号は種類が多いので大変でした。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

@tinker2199 @atsuji_yamamoto いやあ。仕上げ指示もなにも・・・本気でなにもしないまま、「帰っていいよ」だったんですよ。そもそも手塚先生に「帰れ」と言われる前に、本物のアシスタントさんやマネージャーさんも「じゃ、僕、帰るから。あとはよろしく」って。

サトウ・ユウ @tinker2199

@uorya_0hashi @atsuji_yamamoto 呼んだけどその日は原稿が出来なくなったんですかね。手塚先生の都合で。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

@tinker2199 @atsuji_yamamoto たぶん、そうです。そうだと信じたい。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

漫画の神様からいきなり「帰れ」と言われた漫画家は俺くらいのものだ。うらやましいだろ！　ううっ・・・・しくしくしく。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

昔、「怪力漫画館」という自分のサイトがあったんですよ。インフォシークつうとこで、有料で借りて、自分で作ってた。ところが「楽天」がソコ買収して、しばらくすると「インフォシークの事業はみんな辞める！」とか言い出して、「おわびに1年分タダにするから。でも1年後は全部なくすからね！」

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

なんかそんなこと言われてさあ。「じゃあヨソに引っ越すか、作り直さないといけない」。でも、ホームページ作った「なんとかビルダー」みたいなやつがさ。既にバージョンアップしてるOSだと動かない〜とか、面倒なこともあって。時間切れで全部なくなった。いちおうバックアップはしたのだが。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

既に「ブログの時代」に突入していて、今更「自分のホームページ」を作ってもなあ〜という感じで、ほったらかして。なんかそのまんま。〜〜ということで、その「怪力漫画館」でテキトーに書き飛ばしてた駄文を再掲載します。読んだ事ある人もいると思いますが。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

まんがの神様、手塚治虫大明神のアシスタントに一晩だけ行ったことがある。いまでも自慢だ。ムスコなんかには「へえ、すごいじゃん」と言われる。えへん。あれは、東京では珍しい、雪の舞い散る夜だった。俺は、当時、高田馬場のすごく汚いアパートに住んでいた。夜の10時頃、ジリリンと電話が。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

当時、見習い新人漫画家としてお世話になっていた雑誌の副編だ。 「○岡だけど。今から手塚先生の手伝いに来てくんない？　歩いてこれるだろ？」 「なんですと-！！　行く、行く！　死んでも行く。　八甲田山のような吹雪の中でも、 這ってでも行く！」

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

ぐふふふ。マンガの神様の手伝いができるとは夢にも思わなんだ。 たいしたお手伝いができるような腕ではないが、とにかく神のみ技を 間近で見れる千載一隅の大チャンス！　じっくり見てくるとするか。おっと、いかん。サインをもらう色紙は・・・？ そんなもん、ないか。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

じゃあ、この単行本『火の鳥』に書いてもらおう。これでよし・・と。えーと、そうだな。チャンスがあれば、自分の漫画を見てもらおう。念のために、こないだ描いた習作を・・おお、これだ。持って行くとして。 いひひひ。しかし、なんだな。早くも弟子になったような気持ちだな。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

なんというか、まんが道にでてくる藤子青年のような心持ちじゃわい。ぐふふ。完全装備して、夜の雪の中を サクサクと手塚プロのビルへ行くと・・・ 「こんばんわー。スコラの○岡さんから言われて来た大橋ですが。」 「ああ、御苦労さん。そこの机、つかってください。」

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

アスタントルームに入ると、3人の大先輩が。 「よろしくお願いします。」 自分はそそくさと言われた席についた。 「○岡さんは今ちょっと外に出ていますが、すぐ戻るそうですよ。」 「手塚先生は上の階で執筆中です。アシスタントはここにいて、指示を待っているんです。」

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「あっ、そうですか。」なるほど。さすが。プロって感じだなー。 そーか。手塚先生は上の階でがんばっているのか。ふーん。 しーん。 うーん、知っている人がまるでいないのは気詰まりだな。 会話がないのも、どうも・・。 皆さん、疲れているのかな。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

しかし、なんだなー。この部屋。歴史を感じさせるというか、意外と汚いな。 すすけたような感じだ。でも、これがカッコイイんだな。こう、使いこまれた歴史があるねえ。 むう、この机の木製トレス台も、なにやら黒光りしておるわ。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

この、何十年もかけてとびちった墨汁とかホワイト、細かな傷とかが 歴戦のつわものという感じだな。 ・・・ぐふふ。ああ、なんか緊張するなあ。 この大先輩たちと、自分は、いわば初陣に出る心持ち。 おお、武者ぶるいが。

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

ガタッ。おっ。茶色いセーターのスリムなヒゲづらの大先輩が立ち上がった！ ついに始動か！？ 　よっしゃあ！　行くでえええ！ 「じゃあ、そういうことで、僕達は帰りますので、あとはよろしく。」 ・・・・・・「へ？」

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

3人の大先輩たちはそそくさと帰り支度をはじめ、 「電車動いてるかなー？」などと言ってる。 あれ？　あのー、みなさん。手塚先生のアシスタントさんじゃないの？ これから徹夜で漫画描くんじゃなかったのでしょうか？ ボ、ボク、ココに独りになっちゃうんですが、 あのー。それでよろしいんで？

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

あのー、僕は手塚先生のアシスタントに呼ばれたワケではないのでしょうか？」 「ああ、もちろん、そうだよ。大丈夫。君ひとりでつとまるよ。 雪がひどくなりそうなんで、僕ら帰るから。 ○岡さん、もうすぐ来るだろうから、 ちょっと待っててね。じゃ！」 ドアがバターン！

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

おいおいおい。なんだよ。いいのかよ。こんなんで。 手塚先生、上にいるんだろ？　手伝わなくていいのかよ。 俺ひとりでどうなるってもんじゃないだろうが。 あああ、俺、どうなっちゃうの？　 つづく 03/11/30

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

あ～、まいったな。俺ひとりで、どうせいちゅーんじゃ」 と、頭をかかえていると、 ガチャ。○岡副編が現れた。 「かあ～っ、ひでえ雪だな。おっ、大橋くん、御苦労さま。 あれ？　なんでキミしかいないの？」 「なんか、みなさん帰っちゃいましたよ。これこれしかじか」

うおりゃー！大橋＠最後のレトロ派漫画家 @uorya_0hashi

「あっ！　やられた！」きびすを返し、 バタバタとまた外へ飛び出して行く○岡さん しばらくすると、帰って来ました。 上の階に行って様子を見て来たようです。 「手塚先生は確かにいるな。 それじゃあ、ここにいなくちゃ、しょうがねえな。