@steelmgmg 「それじゃあゴルディウスが悲しむんだもの」 「それに僕も……殺したくない人を殺すのはもう嫌なんだ。もう諦めたくない」 ほら、こんなにも自分勝手な理由で僕は君の必死のお願いを無下にして壊す。 なかなかの悪行だと思うけどどうだろう。 →
2015-06-13 04:54:35@steelmgmg ぐっと顔を近づけて、同じように濡れている金色を覗き込む。 僕の大好きな色によく似ている。 その瞳の近くに涙が落ちて、もうどちらの涙がわからない。 ゆっくりとリギルを抱きしめた。 形を確かめるような、そんな強さで。 ごめんねと呟く。 →
2015-06-13 05:00:37@steelmgmg 蝶の羽が起こした風は、巡って蝶を柔らかく押し流す。 その風はいま、祈りを、祝いを、呪いを、声を、届けた。
2015-06-13 05:09:38@sendis_19 唇が動く。 ( ) 聞きたくない。聞こえない。 首を絞めていた指が、化物じみた力で引き剥がされる。 やめろ。両腕を縫いとめられたら。 耳が塞げない。
2015-06-13 13:04:44@sendis_19 『僕は君にとって悪い人でいたくなる』 何度もお前は自分を悪だと言う。 善悪の天秤が、そのたびに重みを測りかねて揺れて。 本当はもう、解ってる。 目の前にいる男が善悪の彼岸にいることを。 この男の意志に、自分は負けたのだ。
2015-06-13 13:05:03@sendis_19 物心ついた頃から怪物と共にあった。 未来を計算し、出来る限りの最適解で生きてきた。 自分が善か悪かなんてどうでもよかった。ただ弟と自分の世界を守れさえすれば。 守りきれないものは両親でも良心でも見捨てた。
2015-06-13 13:05:40@sendis_19 誰かから愛されていたのかもしれない。でもその感覚は、怪物の情報処理における変数の一つでしかなかった。 こんな化物に生まれてきてごめんなさい。 存在し続けようとしてごめんなさい。 リギルグレイヴの記憶。
2015-06-13 13:05:55@sendis_19 生まれてきてごめんなさい といつも心の中で謝っていたのは 生まれてきたことを後悔してるからじゃない 生まれてきたことを誰かに許してもらいたかったから
2015-06-13 13:06:20@sendis_19 私の所在。 “抱き寄せられた腕の中、薔薇と涼風の馨り” 名の定義。 “リギル” 命令の記述。 “君はまだ、続くんだよ”
2015-06-13 13:07:39@sendis_19 貴方が私の生を許可するなら。 この境界を、記憶を、想いを、許可してくれるなら。 『ごめんね』、その、許可することへの謝罪を。 私は許し、受け入れる。
2015-06-13 13:07:59@sendis_19 殺してくれて、 「ありがとう」。 さようなら、リギルグレイヴ・クロバキウス。 “私”の記述者。死んだ奇術師。 “HelloWorld” こんにちは、世界。 「おはよう、センディス」
2015-06-13 13:08:58@steelmgmg ぱちりとしたひとつの瞬きの間に、リギルは、何かが変わっていた 組み換え。書き換え。違う形へ。 かわる。かえる。 元の形を殺して、その上に成る。 自分の腕は確かにそれを抱き込んだ。 →
2015-06-13 13:36:12@steelmgmg 『ありがとう』 『おはよう、センディス」』 その感謝と挨拶に 「おはよう、リギル」 応答を。祝福を。 →
2015-06-13 13:37:38@steelmgmg 腕の中のリギルに、 それ以上何も言えずに、ただ見つめることしかできなくて。 小指に巻かれた蔦がきゅうと締め付けたきがして。 「もらったよ」 何かに宣言するように呟いて、ほほえみながら、力が抜けて倒れ込んだ。
2015-06-13 13:44:52@steelmgmg 「ゴルディウスがね」 「待ってるから」 「行こう、ねぇ……」 「でも、ちょっと疲れたから」 「少しこのままでいい?」 緊張の抜けたゆるい口調 この世界に新しく反映されたばかりの君に甘えるのはなんだか申し訳ないけど。 初めての修羅場は、つかれた。
2015-06-13 13:54:53@sendis_19 「いいよ。休んで。私が見てるから」 演算するまでもない。明らかにセンディスは私より消耗している。 "ナントカは家に帰るまでがナントカです"……というのはザダムの受け売りだが。 センディスと一緒に帰らないと。 無事な左腕を彼の背中に回し、頭を預ける。
2015-06-13 15:57:41@sendis_19 幸いここは人が寄り付くことなど滅多に無い。 落ち着いたら、キブスにセンディスを運ばせよう。 ……この人もいずれ、しかるべき場所に戻したい。
2015-06-13 15:58:02@sendis_19 ふと。 私は、ゴルディウスに、どんな顔して会えばいいんだろうか、と思う。 センディスのように微笑んでくれるだろうか、それとも? 頭を軽く振り、思考を振り落とす。
2015-06-13 15:58:16@sendis_19 メサイアでもヒーラーでもない自分に、人を癒す力は無い。 だからセンディスの気分だけでも良くなるように。 異界の音楽を口ずさむ。 歌は、祈りに似ているから。
2015-06-13 15:58:43@steelmgmg 「いいね」 リズムにのるようにゆるゆる頭を動かす。 「それ、すき」 自分はどうにも音楽のセンスがからっきしで歌うことはできないけど。 耳に流れてくる声、旋律、すべてがじわりと身体に染みるようで、嬉しそうに微笑みながら、子守唄にまどろむ赤子のように目を閉じた
2015-06-13 16:13:45ファンイラストです。ご査収ください。