公共交通の弱体化と車社会化、という論法

昨今の車社会化傾向を深く憂慮している。現時点で車社会化の傾向が著しいのは先進国では英米と日本だけなのだ。しかも、日本では公共交通の劣化を受けての車社会化であるのに対し、英米は、質が向上しているのに車社会化だけが進むという奇妙な事態になっているという。

2017-03-24 19:55:59

少なくとも日本の公共交通が低レベルなことは、いろんな人が指摘している。「混雑するほど便利」という印象を持つ人が多いだろうが、実際には例えば不便化する一方らしい。そして2010年代以降は公共交通の形骸化も加速しつつある。

2017-03-24 19:57:39

それなのになぜ事実と逆の認識が一般化しているかといえば、単にマスコミの報道姿勢が変化したためにすぎない。実際は不便化いるのに、ポジティブニュースが大きくしかもセンセーショナルに取り上げられるので、鉄道が便利になっているかのような錯覚が拡がるのだ。

2017-03-24 19:58:37

車社会化といえば1960年代~1980年代がピークで、しかも日本の車社会の歴史は急速かつ短いので、社会的な混乱をも引き起こした。公共交通の高度化が進んだのは1990年代で同時期に車社会化が終息。つまり公共交通が便利になるほど車社会化は収まるという分かりやすい話である。

2017-03-24 20:02:53

その後は2011年まで自動車やオートバイの売れ行きは停滞しているが、2012年以降は増加に転じた。なお、新車販売そのものは車両の絶対数の増加による中古車の増加もあってピーク時よりかは減少している。東日本大震災以降公共交通を見限る人が出てきたからだ。

2017-03-24 20:05:00

それで、「公共交通は利便化してない（むしろ逆である）のに、マスコミが安心を煽った結果、大衆からのヘイトを買う日本の状況はおかしい」という考えは筋がとおっているわけだが、しかしこういう論法は危険だと一方で感じた。

2017-03-24 20:07:04

というのも、そう遠くない将来、公共交通が破綻し始めることが容易に予測されるからである。「平和な時代」はもうとっくに終わっている。情勢状況はヒドいのに公共交通利用者が多いのは、いわゆる都会人やミニマミストの多くが、

2017-03-24 20:08:30

まだ民間の公共交通サービスや平時の生活スタイルに依存でき、いよいよ切羽つまっていないからである。もちろん、この状況はあと数ヶ月しかもたないだろう。情勢が軍国主義化に転じると、彼らを救えどころではなくなってしまう。

2017-03-24 20:10:27