君と僕がついた嘘

はち公。 @funkastic_8er

1 4月1日 エイプリルフール 「約束だよ」 君が僕についた嘘 「必ず･･･いつの日か、また会おう」 それが嘘だと分かっていたから 僕は何も言えず 俯いたまま手を振るしか出来なかった ────なぁ どうして 泣きながら そんな嘘をついたん？ #君と僕がついた嘘 pic.twitter.com/1yY1bCCX9w

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2 すごく好きあってるのに 別れる事があるんだと 僕は君から知った 付き合って5年？くらい 結婚して僕との 【家庭】を望み始めた君と これまで通り男と女 【恋愛】を続けたがった僕 好きの方向性がズレ始めて 気づくと どうしようもない溝になっていた #君と僕がついた嘘

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3 好きだけど 一緒にいるのが苦しくて 別れる事を選ぶ それが 君と僕の結論だった ────そして、4月1日 「じゃあ･･･行くね」 別れの日 『駅まで送る』 「送る？」 『荷物重そうやん ･･･チャリ、乗せたるよ』 「･･･ありがとw」 #君と僕がついた嘘

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4 夜が明けたばかりの空は まだ黒い部分が少しある 『ちゃんと掴まり？』 「うん･･･」 まだ朝晩は肌寒いこの季節 背中から伝わる君の熱が とても温かかった 『行くで』 「うん」 そうして 明け方の駅へ向かう 最後の小旅行が始まった #君と僕がついた嘘

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5 付き合い出した頃は よくこうやって2人乗りしてたな そんな事を思ってたら 「前はよく、2人乗りしてたよね」 って君も呟いた 『せやなぁ･･･無駄にしてたなw』 「覚えてる？ 夜中にさアイス食べたくなって コンビニまで2人乗りして･･･」 #君と僕がついた嘘

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6 『あー！そんで買うたアイス 家まで待てんくて食べながら帰って』 「そしたら急ブレーキで すばるの背中に･･･」 「『ぐちゃ！！！』」 他愛もない思い出話 でも 声が揃った途端 「ふふw」 『懐かしいなw』 笑いが込み上げる #君と僕がついた嘘

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7 『じゃああれは？覚えてる？』 「ん？」 『お前がこぐって、俺を後ろ乗せて』 「あーw」 『強引に漕ぎすぎてペダルが･･･』 『「ボキッ！！！」』 また 声が揃った 「やだwもぉ、忘れてよw」 『あの音は忘れられへんわw』 #君と僕がついた嘘

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8 そうこうしてるうちに 名物・線路脇の坂道 『っしゃ！いくで！！』 ここをいかに 止まらずに登りきるか 荷物が乗ってる分 想像以上に重いけど 「もうちょっと！あと少し！」 楽しそうに笑いながら 君が応援するから 『ああ！！もぉ！！！』 #君と僕がついた嘘

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9 なんとか登りきって 『っしゃあああ！！！』 てっぺんで声を上げる 「よしよし、よくやったw」 そう言いながら 背中をペシペシ叩く 君の顔が見たくて 顔を上げた途端･･･ 『おお･･･』 視界にいっぱいに 街に映える 朝焼けが飛び込んできた #君と僕がついた嘘

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10 そのキレイな光景に言葉を失う そしたら君は 「世界中に･･･2人だけみたいだね」 って小さく呟いた その言葉が 蓋をしていた たくさんの感情を刺激して （なんで･･･別れるん俺ら） そんな事を思ってしまう （このまま2人でええやんか） #君と僕がついた嘘

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11 それに今日は エイプリルフール （嘘でした！でもええやんか） そうだ それでもいい 引き止めるなら･･･今 そう思って切り出そうとした途端 「さ、行こうすばる！ 電車乗り遅れるw」 ･･･そんなふうに思ってるのは 僕だけなんだと察した #君と僕がついた嘘

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12 （そやな･･･散々話したもんな） うっかり 溢れそうになった涙を堪えて 『あいよ。いくで！！』 一気に 坂道を下った あんなに必死に登った坂を･･･一気に まるで今の君と僕 あんなに一緒にいたのに お別れは･･･こんなふうなんだ #君と僕がついた嘘

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13 券売機で君が切符を買う いつもの癖で 僕も入場券を買った 『あ』 ･･･そこまで見送らなくても って言われるかな そう思ってちらっと君を見たら 嬉しそうに ニコッと笑ってて いつもより その入場券が急に重く感じて ギュって握りしめた #君と僕がついた嘘

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14 そのまま改札に向かって 先にそこを通る君の でかいカバンの紐が引っかかる 「あ･･･」 うまく外せず 立ち尽くして チラッとこっちを見るから 『ぶっw』 思わず笑いつつ 黙って引っかかったのを解いて その後から入場券でついていく #君と僕がついた嘘

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15 ホームに向かうと 電車はまだで 隣同士 少し距離を置いて並んで待った 「すばる･･･」 君が話だす 「ほんとに勝手な 結末を選んでごめんね まだ･･･」 【好きなのに】 って言いそうだったから 『全然大丈夫w』 聞かないよう声を重ねた #君と僕がついた嘘

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16 そんなフレーズ聞いたら 悲しくなるから 大丈夫って、嘘をついた ･･･全然、大丈夫じゃないのに そしたら君は ふわっと笑って 「そっかw」 って言って また、黙った そこへ･･･ ────ジリリリリリリリ 最後を告げる ベルが鳴る #君と僕がついた嘘

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17 風と共に 君を乗せる電車が入ってきて 目の前で 君だけのドアが開いた 「じゃ･･･」 重そうなその荷物を 僕はもう、持ってあげられない なんとか乗り込んで くるりと君がこちらを見る でも 見てられなくて 僕は俯いた #君と僕がついた嘘

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18 そんな僕に 君の声が響く 「ねぇ、すばる」 その声は震えていた 「約束だよ･･･必ず いつの日か、また会おう」 強がってたけど 声は震えてた だからそれが 本心じゃない事くらい 俺は分かる 分かるから俯いたまま 手を振るしか出来なかった #君と僕がついた嘘

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19 そんな2人を遮るように ドアが閉まる ハッとして顔を上げたら やっぱり 君は ボロボロと泣いていて 『･･･頑張れ』 思わず呟いた 『頑張れ！』 今度はさっきより大きく 動き出した電車からでも見えるように 手も大きく振って #君と僕がついた嘘

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20 それでも足りなくて 慌てて改札に向かい 停めてあった自転車に乗り まだスピードの緩い電車を追いかける 『頑張れ！』 少し並んで このまま･･･ 君の乗った車両を目指すのに ゆっくりと 確実に 距離が離れていく #君と僕がついた嘘

はち公。 @funkastic_8er

21 それでも 『頑張れ！！』 泣いてた君に伝えたくて 『頑張れ！！』 せめて最後に 背中を押してあげたくて 『頑張れ！！』 見えるかもしれないから 大きく手を振りながら 『頑張れ！！！』 その電車を･･･見送った #君と僕がついた嘘

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22 どうして君が最後に あるはずの無い約束を 俺の所に 置いていったのかは分からない それでも なんとなく･･･ それが君の優しさだった事は 伝わったから 『頑張れ･･･』 せめて俺からも 最後は優しさを･･･ #君と僕がついた嘘

はち公。 @funkastic_8er

23 この別れが 無駄じゃなかったと 言いきれるくらい幸せになれ 『頑張れ･･･』 僕の事は忘れて 君を本当に大事にできる人と 『頑張れ！！！』 どうか･･･ 幸せになってください──── #君と僕がついた嘘 pic.twitter.com/lzhsaerFd6

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24 ────ねぇ、すばる どうして あんな嘘ついたの？ 『全然大丈夫！』 ･･･大丈夫じゃないくせに こんな勝手な女 もっと罵ってくれてよかったんだよ 君は 大丈夫じゃない時ほど 大丈夫って言うから ･･･気になっちゃうよ #君と僕がついた嘘 pic.twitter.com/Pk9tFKZVga

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25 動き出した電車の中 泣き崩れた私は ずっと顔を伏せていた 《ねぇ、見て！ 自転車で追いかけてくるよ！》 何処からか声がした 《追いつくかな･･･なんか カッコいいね！》 たぶん･･･すばるだ 《あぁ･･･離れてく》 離れて･･･いったか #君と僕がついた嘘