【穴だらけのプラン】福間健二 #k2fact165

福間健二 @acasaazul

スープ、ごちそうさま。体があたたまり、もう少し歩く気になった。会えない人を思う。わかりたい。自分のこともいま一緒にいた人のこともよくわかっていないのに。溝に、形のくずれだした死骸。目立たない花になって雨に打たれようとしていたのだと思う。（穴だらけのプラン１）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

意志とはほとんど関係なく競争になっている。しっかり洟をかんだあとは息をひそめるきみとぼくの、理解力の空。いったいなんの用なのか。だれの注文なのか。ヘリコプターがうるさい。棄てたくない。世界の取り分を引いたあとの、ここよりも寒い場所の記憶。（穴だらけのプラン２）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

昼は、小旅行。表面的にはクレヨンの色に溺れる。十二色、それぞれの主張に対してごめんなさいと言うかわりに。背中を見せて顔をあげない演技。絵を描くだろう。夜は、長い旅。パズルで、発熱。いくつもの、わかっていない状態の、裸の背中を組み合わせる。（穴だらけのプラン３）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

もう一軒、涙の家。シャッターを上げてもらう。手で。両手で。子どものように絵を描く手と包帯をした手で。中はどうなっているか、じゃない。静かになった皮膚に軽はずみな線がなにか擦りつけていいはずがない。目を見る。その目に見られていることを知る。（穴だらけのプラン４）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

うしろ、海の波のような音がしている。期待を裏切ることにも飽きちゃったよと誘うツヤツヤの髪。忘れることにしたのを忘れていた。退屈しながら囲む影のために明るく見える神様たちの会議。それぞれクレヨンで描いたみたいに髪の色がちがうからなおさらだ。（穴だらけのプラン５）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

神様。お願いするとしたら、早まった決定はしないでください、それより何より裁かないでくださいですが、聞こえません。耳たち、扱いにくいギリシャ。あれっ、このプランには賢い老人がいない、裏切られた海に投げ込むカラの容器が足りないと気づくときだ。（穴だらけのプラン６）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

影との対話に時間がかかって光を放つ目の始末ができない。だからじゃないけど、気前のよい主婦に会いそこなう。その知恵を借りられないということ。墓地に逃げ込むしかないか。死んだ男を忘れられない男と死んだ男のかわりになろうとする女がいたらいい。（穴だらけのプラン７）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

だれかのかわりになる。なりかわる。そんなことできるわけないと言いながら、壁を越える。後戻りできないように、何個もの重い道具と羊たち、先に投げ入れていた。水が眠るところ。みんななぜ浮くのか。死んだ男が言う。こいつらはわしの言葉がわかるんや。（穴だらけのプラン８）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

自分が存在する。それを確認してもらうこと。だれでもいいとしても、恋のできないおしゃべりや片手間の窓からではね。小惑星たち。静かにして、乾いた粒子を風に運んでもらってからだ。ビーンビーンと弦が鳴る。人のごはんは食べない。人の言うことを聞く。（穴だらけのプラン９）#k2fact165

福間健二 @acasaazul

Ａからなにかを引いたもの＋Ｂからなにかを引いたものというＡ＋Ｂ。道路沿いの足し算も終わらないうちに深夜。お風呂入っていない。髪を洗い、野生のフキの皮をむいた指、もう少しきれいにしたかった。明日はきみに会う。いまも鈍感が武器になる社会で。（穴だらけのプラン10）#k2fact165