- Uroak_Miku
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1)頭の整理を兼ねて少し語ってみます。「わかる」と「知る」の違いについて。国語学者の金田一春彦は、戦時中に中国や東南アジアからの留学生に国語を教えていました。東京の学校です。そしてカルチャーショックを味わった。
2017-04-05 13:06:482)「わかっている」「知っている」とはいうのに「わかっていない」はよくて「知っていない」は不可とされるのはどうしてですか金田一先生?
2017-04-05 13:07:373)すでにお父様の金田一京助先生がこんな研究をしてはいました。「知る」は「意志動詞」で「わかる」は「無意志動詞」だよ、と。
2017-04-05 13:08:474)例えば「釘を打つ」の「打つ」は意志動詞ですが「思わずひざを打つ」の「打つ」は無意志動詞であると分類するわけです。わかるかな。前者は狙って「打つ」のだけど後者は思わず「打つ」。ここが違う。
2017-04-05 13:10:255)「知る」は意志を感じる。相手から聞き出すとか本で調べるとかして「知る」のだから。しかし「わかる」はもっと受動的。知らない果実が目の前にあって、あれこれ調べた末にリンゴという果実だと「知る」。その果実が赤色なのは感覚で「わかる」。この違い。
2017-04-05 13:13:356)ちなみに「わかる」を無意志として使うケースもよくあります。ちょっと紛らわしい説明をしてしまったので少し訂正すると「意志動詞」は「無意志」用法も時にはアリで、「無意志動詞」は「無意志」用法しかない動詞のことです。ややこしいね。
2017-04-05 13:15:277)すると「知る」も「わかる」も「意志動詞」ということになるのかな?素人国語学者なのであまりつっこまないように。で、ケースバイケースで「無意志」用法もありなのです。
2017-04-05 13:16:388)「知らない」と「わからない」についてはどうでしょう。「知らない」は「無意志」用法ですね。「親の顔を知らない」は本人の意志とは無関係だし。「知らない」ことを意志で成し遂げることはできない。それは運や状況の問題なのだから。
2017-04-05 13:18:2312)「わかっていない」は②でしょうか。「わかる」という瞬間的なできごとが、その後オンのまま持続して「わかっている」。それが「いない」のだから、「わからない」という瞬間的できごとがまずあって、その状態がその後ずっとオンなのが「わかっていない」。
2017-04-05 13:28:0113)「わかる」は意志を感じさせる。瞬間的かつ意志的な動詞に「~ている」(または「~ていない」)が付く場合に②になる…と考えていいのかな。
2017-04-05 13:29:5714)「知る」も瞬間的なので「知っている」はやはり②になるわけですが、それでは「知らない」はどうでしょう。「知る」に比べて無意志的です。「知る」はまだ意志がほのかに感じられるのだけど。
2017-04-05 13:31:5416)「~ない」には、動詞を形容詞的にする裏機能があって、とりわけ「知らない」はそれを強く感じますね。「わからない」はそうではないのに。おそらく無意志/意志の違いが関係しています。
2017-04-05 13:38:3617)「わからない」は動詞色が強いけれど「知らない」は形容詞色のほうが強い。そのため「~ている」にはなじまない…というところではないでしょうか。
2017-04-05 13:40:2119)そうそう「ない」については中学国語教科書でもそれとなく取り上げられています。 pic.twitter.com/Audm0gH5me
2017-04-05 13:44:5021)外国人に日本語を教えるとき、このテーマは避けられない。じっくり教え込む必要がある。それなのに国語ではろくに教えない。「日本語」と「国語」のこの距離は何なのだろう。
2017-04-05 13:47:2122)前にも繰り返した話ですが繰り返します。私たちが学校の国語で習ったあの文法は戦前昭和に開発されたものです。いわゆる橋本文法。それの簡略版ですね。
2017-04-05 13:48:2623)戦前昭和は、大日本帝国がアジア「進出」を本格化する時代でした。東アジア(中華文明圏というべきか)全域で日本のことばが通用するようになれば帝国としては嬉しいわけですよ。大英帝国は世界のどこでも英語で押し通したように。
2017-04-05 13:50:2824)しかし「国語」ではなく「日本語」として教えないといけなくなった。朝鮮や台湾は一応「日本」だから小学校から「国語」を教えられたけれど、例えば満州国は一応独立国だから日本のことばを「国語」として教えたりしたら、日本の植民地だと公言するのと同じです。
2017-04-05 13:52:14