野尻先生の簡易アトラスSUSY探索講座
先週のnatureにLHCの結果を踏まえて、SUSYが不利になってきたという論調の記事が出ていますが.. まだ時期尚早という気が門外漢からはするのですが、どうなんでしょう..?
2011-03-09 17:04:13これについて。RT @ipmu_supporter: 先週のnatureにLHCの結果を踏まえて、SUSYが不利になってきたという論調の記事が出ていますが.. まだ時期尚早という気が門外漢からはするのですが、どうなんでしょう..?
2011-03-09 17:14:46LHC で超対称粒子が生成される率というのは質量によって全然違います。今回の実験で一応制限される質量の領域はだいたい squark gluino の質量が700GeV~800GeV くらいのところです。それも 95% CL といって、実際は軽いけれども、統計的なふらつき(続)
2011-03-09 17:17:01によって発見されない可能性が5% くらい許した場合の制限値です。生成断面積でいうと 2pb ぐらいのところです。(専門用語なので意味がないですが)さらにこの制限は LHC で生成される強い相互作用をする超対称粒子と一番軽いLSP の間の質量の差がとても大きいことを仮定しています。
2011-03-09 17:19:07コメントありがとうございます。記事にリファーされていたarXivの論文読んで見ます。RT @Mihoko_Nojiri: これについて。RT 先週のnatureにLHCの結果を踏まえて、SUSYが不利になってきたという論調の記事が出ていますが.. まだ時期尚早という気が門外漢..
2011-03-09 17:18:36例えばLSP の質量とスカラークオークやグルイーノの質量差が 2:3 くらいになると多分この制限は限りなく弱くなるとおもいます。
2011-03-09 17:20:21ではなぜ Nature がそういう記事をかいたかですが、例えば超対称模型のなかでもさらに対象を minimal supergravity 模型と言われるものを選ぶと、超対称粒子の質量だけでなく、暗黒物質の量も同時に決まってしまい、
2011-03-09 17:22:30それが適切になる領域を今回かなり削ってしまったということがあるのかもしれません。だた超重力模型自体が、超対称模型のパラメータがあまりにもたくさんあるので、それを他の制限と矛盾しないようにとりあえず減らすというだけの理論的根拠のない模型なので、私は重要ではないと考えています。
2011-03-09 17:25:39実際私自身は20年前は超重力模型の予言を中心に研究をおこなっていましたが、ここ15年ほどはより一般的な可能性について研究しています。
2011-03-09 17:28:14あぁ Nature がなんかいってるならブログかかないといけないかな。今ちょっといそがしいんだけど(ぶつぶつ)
2011-03-09 17:29:58LHC の limit を決めているのは、生成数と、バックグラウンドがないところに粒子が出る確率の積で決まっています。質量が重かったりルミノシティが少なかったりすると生成されないので生成数が減り(前者)質量差が少ないと高いエネルギーの粒子がなくなって見えなくなります(後者)
2011-03-09 17:34:50LHC は今年度は生成数は今年の20倍以上になるので、いまだと生成確率が低すぎる領域にアクセスできるようになります。生成量を多くなると、よりバックグラウンドの少ない領域に特化した解析ができるので、 limit が上がるようになります。
2011-03-09 17:37:03超対称模型にはいろいろなケースが考えられ、今回 ATLAS 実験で制限された超重力模型と違うパターンもありえます。アトラス実験では、バックグラウンドを落とすカットをいれた状態でシグナルがどの程度低くないといけないか、という制限をだしていますから、
2011-03-09 17:40:49この結果を超重力模型以外に応用することができます。現在、学生やPD にはこれは必ずやるように指導しています。シグナルが見えた時に、現実的な状況のなかで自分の模型のシグナルがどのくらいの量でるか把握できることはとても大事なことです。
2011-03-09 17:42:24@ama_sci @ipmu_supporter 分かりにくい事とかあったら聞いてもらえるとブログ書くときに改良できるので、遠慮なく mention 投げていただければ。
2011-03-09 17:46:01@Mihoko_Nojiri おつかれさまでした。可能性の組合せが複雑過ぎて、すっきりと説明するのは至難の技ですね。ブログに書いていただければ少し翻訳します。
2011-03-09 17:50:24@ymorita まあ京都方面の素粒子論学者であるはずの方から「見つからなかったそうですね」とかメールがくるくらいの物で(しかし物理学者としてそれではいかんとおもうのだが)
2011-03-09 17:53:01あ、で、なんでこんなにやっかいかというですね、LHC で超対称粒子発見のじゃまになる top と anti top を生成する生成断面積が 200pb (7TEV の値は記憶曖昧 14TeV なら800pb) くらいあるのですが、
2011-03-09 17:57:40